第90話聖女神アフロディーテの特別神殿④

お花畑をしばらく進むと、神殿らしき建物が見えて来た。

純白のコリント様式の柱が、円形に立ち並んでいるように見える。


「お待ちになっておられます」

明るい、うれし気な声だ。

ユリアは、美しい乳房をプルンと揺らした。


直人は、円形神殿の中心に、ぼんやりと白い光を見た。

「あれが、聖なる女神アフロディーテ様ですか?」

ユリアに聞き返したけれど、ユリアはいない。

今まで歩いて来たお花畑を振り返っても、ユリアの姿はない。

ただ、一面のお花畑が、ほぼ無限に広がっているだけだ。


次の瞬間だった。

また、不思議な事が起こった。

直人は、いきなり円形神殿の中心に立っているのだから。


「お待ちしておりました、直人君」

おだやかな、やさしい感じの声だ。

声は若い、20代前半のような、明るい響きもある。


直人は、その声の方向に身体を向けた。

そして、赤面した。


美の極致としか言いようがない、女性・・・いや聖なる女神アフロディーテが、直人を手招きしている。

何と言っても、服を着ていない。

それでいて、ため息が出るほど美しい。

むしろ、服を着ている自分のほうが、不純なものを身に着けたように思えて来る。


「おわかり?」

聖女神アフロディーテは、ふんわりと微笑んだ。


「はい」直人は、理解した。

甘くさわやかな風が円形神殿を吹き抜けた直後、直人も全裸になっている。

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