第76話支配人藤田昇の全面的な協力

私は、紀州のホテル・アフロディーテの支配人藤田昇です。

直人君と、ヨーロッパトップクラスのお嬢様の動きを、モニターで拝見しておりました。

(あえて、身分などは、度外視してのコメントになります)


気付くのは、まず、全員の表情が輝いていること。

やはり、他人に奉仕されるだけの生活よりは、自ら動いて何か、新しいことに取り組む、そのほうが面白いからでしょうか。

確かに、若い面々には、今までの生活は、退屈だったのかもしれません。


そして、直人君の指導力は、やはり確かです。

(キレキレのような感じ)(身分差など、全く意識していません)

(小学生時代から、実は生徒会長を歴任するタイプだったようです)


「多国籍喫茶:仮称」は、大いに結構です。

誰も反対はありませんし、コストもほとんどかかりません。

内装職人も、椅子やテーブルの職人も、話を伝えた瞬間から、笑顔です。

(つまり、参加したくて仕方がない様子)


ただ、直人君も賢いです。

「全ての茶葉と珈琲を、当初のスタッフが完璧に淹れられるようになってから」と言うのですから。

確かに、それが妥当とは思いますが、待ちどおしい。


そんなことを思ったので、沢田副支配人と、作業中の直人君のお部屋にお邪魔しました。

「直人様、何か欲しい物があれば、ご用命ください」

「我々も、一日でも早い開店を望んでおります」

「出来る限り、協力いたしますので」


直人様は、茶葉と珈琲豆の配置を考えておりました。

「ありがとうございます」

「そうですね、できれば整理棚でしょうか」

「茶葉、珈琲豆、茶器、カップを保管しやすくて、取り出しやすいような」

(すごく現実的な、返事でした)


沢田副支配人も興味津々です。

「私も何かしたくなりました」

「みんな動いているから、突っ立っていられない」


直人様は苦笑しました。

「あと10分動いたら休憩します」

「そうですね、その珈琲器具・・フレンチプレスをすぐに使えるように、箱から出すとか」

「出したら、洗って拭いて」

(沢田副支配人も、すぐに動きました)


その10分後、直人様が珈琲豆(ウガンダ豆)をミルで粗挽き、フレンチプレスで淹れて、全員に配りました。(カップは純白のシンプルなもの)


エリザベス様は目を丸くしました。

「マジ?甘い」

ソフィ様は、直人様の動きをじっと、見ていました。

「少し蒸らして、ゆっくりお湯を入れる・・・そこでまた、待つの?」

直人様はしっかり応えます。

「うん、珈琲豆の旨味を全部出す感じかな」

カトリーヌ様は味の言及です。

「これは・・・芸術的な旨味かな」


沢田副支配人は直人様の隣に張り付きました。

「こんな芸もあったんだ」

直人様は、赤い顔です。(年上美女に弱いのが、直人君です)

「この味は、フレンチプレスなら、時間さえ間違えなければ、誰でもできます」

「ただ、ペーパーフィルターで淹れても、美味しく飲めるようにしたい」

私も意見を言います。

「確かに、このウガンダ豆は至高です」

「ただ、エスプレッソを好きな人もいます」


直人様は、すさまじい種類と量の珈琲豆と茶葉を見ながら、真面目な顔です。

「まずは、今のスタッフでが全員、全種類上手に淹れられるようになって、取り組みます」(やはり、ブレないタイプです)

ソフィ様は笑顔です。

「私も楽しみ、生きる気力かな、忙しくて大変だけど」

カトリーヌ様からは要望です。

「部屋を直人の近くにして欲しいの、練習したいから」


エリザベス様と、ソフィ様も、同じ要望でしたので、支配人権限で移動させることにしました。(本国には、その事情を通達いたしました)

(エリザベス様のご両親も納得しました)

(直人様の階は、もともと、最高クラスの厳重警戒の階と、説明いたしました)

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