第77話多国籍茶店(仮称)準備期間
直人をリーダーとして、エリザベス、ソフィ、カトリーヌがサブリーダーになった多国籍茶店(仮称)準備チームは、2か月間、懸命に紅茶と珈琲の種類や種類に応じた淹れ方の習得に励んだ。(必要に応じて、ホテル・アフロディーテの各レストランから出張講師を頼んだ)
他の女子(サラ、香麗、田村涼子、茜)も参加を希望したが、淹れ方ではなく、客として味見係だけだった。
(直人は、当初の決め事を徹底していた)
(2か月後には、淹れ方も指導すると約束したので、味見係の女子たちも、納得した)
メイドたちの役割は、それぞれの主人のサポートに加え、スイーツの調理だった。
世界各国のスイーツを調べ、簡単な物は自分たちで調理、必要に応じて、ホテル・アフロディーテのパテシィエに指導を仰いだ。
また、多国籍茶店で働く女子たちは、全員、直人と同じ20階に部屋を変えた。
(そのほうが練習はしやすかった)(直人の部屋での練習だったから)
調整が難しかったのは、女子たち(メイドも含めて)が、夜になると「直人」を求めること。
(直人の体力にも限りがあるので、全員に抱かれるのは無理)
結局、沢田副支配人が「一晩一人とメイドのみ」に調整した。
(直人の懇願もあった)
(※ホテル・アフロディーテは、女性の求めに、男性が応じるのが基本)
直人には、その多国籍茶店での練習以外にも、カリキュラムは課せられた。
(英語、フランス語、イタリア語、ドイツ語、地政学、経営学など)
また、ピアノ練習も懸命に行い、サイモンの厳しい指導に応えられる程度に、成長を見せた。
さて、(その2か月が経過した現時点の)、ホテル・アフロディーテの会議室で、次の課題の検討会が始まった。
(試験店舗の完成予想図が、モニターに映し出されている)
藤田支配人は柔和な笑顔。
「毎日、味見をさせてもらっておりますが、もう開店しても問題ないのでは?」
「待ち焦がれている方も多いので」
沢田副支配人は、直人にウィンク。
「大丈夫だよ、心配ない」
直人は、試験店舗の完成予想図を見ながら
「当初計画通り、当面50席を守ります」
「営業日は、カリキュラムの調整を行っていただいて、金曜日から日曜日まで」
「午前11時から午後5時まで」と試験店舗の制度を説明。
ソフィも確認。(頷く)
「それ以上は無理だよ、カリキュラムもあるし、お客様相手も初めてだから」
エリザベスの目は、輝いている。
「厳しい特訓したから、活かしたいよね」
カトリーヌは、少し考えた。
「やがては、大きなフロアに出るのかな、そうなるとスタッフが足りない」
直人はサラ、香麗、田村涼子、茜に目をやった。
「約束通り、味見係を研修しながら、増やそう」
「とにかく、手抜きはしたくない、全員が同じ高い技術と知識の水準になろうよ」
(女子全員が頷いた)
藤田支配人が話題を変えた。
「試験店舗の実施中に、本店舗の計画検討になっておりますが」
「具体的な、こだわりはありますか?」
「試験店舗は、あくまでも、シンプルなので」
直人は、女子全員の顏を見た。
「そのシンプルさに、エレガントを加えようかと」
「もう少し、落ち着いて喫茶を楽しめるように、広めのフロアで」
「カップ類、サービスする人の制服も、極めてエレガントに」
「ただ、増やしても100席までにしたい」
「ミスなく、安心して喫茶を楽しむ雰囲気を守りたい」
(女子たちと、検討済みのようで、女子たちは全員が頷いている)
沢田副支配人は、クスッと笑った。
「直人君、完璧」
「私も、指導されたい」
「早くスタッフにおいで」
直人は、窓一面に見える紀州の青い海を眺めた。
「今は船出の時期」
「着実な航海の後に港に」
(少し寂しそうな顔ではあった)
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