第75話「多国籍茶店:仮称」準備作業 直人が指導力発揮

丼物専門店での爆食を終え、支配人室で、「多国籍茶店:仮称」についての検討が行われた。

藤田支配人は、とにかく積極的だった。

「実に面白いご提案です」

「私も毎日通いたいほどです」

「後は、設計、内装、検討して職人と話し合って」

「私たちも全面的に協力しますが、リーダーは直人様にお願いします」

「そのサブとして、エリザベス様、ソフィ様、カトリーヌ様に」


直人も素直に、リーダーを引き受けた。(自分が言い出したことでもあるので)

「当面、手に入る全ての種類の紅茶、珈琲を淹れられるように、自分たちで特訓したいと思います」

「僕も含めて、サブリーダーも、全員同じように淹れられるようにします」

(エリザベス、ソフィ、カトリーヌも、素直に頷いている)

「そのための、茶葉、珈琲豆、器具を、これから店舗で揃えます」


沢田副支配人が頼もしそうに直人を見た。

「味も楽しみですね、内装も期待できるかな」


直人は、ふわっと笑う。

「なるべく、ゴテゴテしない感じ、それでいて気品があるような」

「飲み物と、重くないお菓子程度なので」

「結局、何かしているほうが、気が紛れます」

「カリキュラムをこなすのも、勉強になるとは思いますが」

(ここでも、エリザベス、ソフィ、カトリーヌも頷いている)


支配人室での、初回検討の後は、茶葉店、珈琲豆店で、全種類の茶葉と珈琲豆、器具を揃え、直人の部屋に運んだ。(全てが無料だった、ホテル・アフロディーテ滞在中の全ての経費は、西側諸国からの拠出金から支払われるため)


直人は、女子たちを前に、また話し合い。

「まずは、申し訳ないけれど、整理整頓」

(全員、お嬢様なので、やや、不安はあった)

(やはり、持ち込んだ茶葉、珈琲豆、器具は、膨大)

(直人の広い部屋でも、かなりのスペースを占めている)


エリザベスは、うず高く積まれた茶葉と珈琲豆を見た。

「茶葉と珈琲豆は、産地別かな」

直人も考えた。

「パソコンで在庫管理も必要かな」

「そうしないと、困る場合が出てくる」

(去年の夏のコンビニでのバイト経験を思い出した)

ソフィが不安そうな顔。

「私、食器洗ったことがないの、全てメイド任せ」

直人は、やさしい顔。

「怪我をしない程度に、練習しよう」

「食器をきれいに洗って拭くのも、気持ちがいいよ」

(ソフィは、うれしそうな顔になった)

カトリーヌは、スタッフに言及。

「お友だちの女の子も、参加したいみたいで、増やせるの?」

直人は、首を横に振った。

「あまり、大勢の人で動き回っても、混乱するだけ」

「当初は、この4人で、しっかりまとまって、腕を磨いてから、弟子を作る」

(文化祭の実行委員長だったので、嫌と言う程実感している)


エリザベスは、納得して立ち上がった。

「直人、まずは、整理整頓ね、どこに何があるか、わかるように」


直人が指示を出した。


「僕とエリザベスが、茶葉」

「ソフィとカトリーヌが珈琲豆」

「まずは、アルファベット順に、パソコンで在庫表を作って、その後産地順にする」

「とにかく、今は混在なので、便宜上」

「それが終わったら、全員で器具と茶器の整理」

「落ち着いて、作業すること」

「失敗はあるから、慌てないこと」


直人の的確な指示に、お嬢様全員がキビキビと動いた。


杉本瞳と南陽子、エヴァ、ソフィのメイドのアンヌ、カトリーヌのメイドのリリアは、ただ、不要となった包み紙や段ボールを処分する程度だった。

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