第50話涼子の事情 フィットネス 混浴

私、田村涼子の、午後のカリキュラムは、フィットネスエクササイズ。

直人君と一緒。

(実は、私のメイド日向晃子と、直人君のメイド杉本瞳と南陽子が事前に調整した)

(もちろん、私が直人君に、興味を持ったからだけど)


直人君と一緒にいて感じるのは、とにかく賢いこと。

いろいろと辛いことは、「端的」に聞いた。

このアフロディーテから、「当分出られない」も、辛いと思う。

「いきなり暴言を吐かれフラれ、新宿駅で突き落とされ、病院に入院したと思ったら、この紀州のアフロディーテ」

しかも敵は人違いに関わらず、直人君の命を狙っている、と言うのだから。

その敵も、半端ではない、無差別テロに長けたB国の諜報機関。


でも、表情を見る限り、懸命に耐えている。

(男の子だなあと、思う)

(とにかく、ここで、がんばるしかない、とも)


直人君から聞くだけでは、不公平と思ったので、「私の事情」も、話した。

関西に昔から根を張る極道一家の直系組長の娘であること。

対立抗争が激しいので、高校卒業とともに、このホテル・アフロディーテに預けられたこと。

対立する極道の組は女の誘拐には長けているから、組長の親として、安全を期したため。(実際、高校入学の頃から、常時付き回され、子分衆も追い払うために、苦労していたから)


それを聞いた直人君は、真っ直ぐに私を見た。

「しかたないです、涼子さん、これも人助けかも」

「ここから外に出れば、自分のために、周囲が危険になることがわかっている」

「出られない・・・辛いけれど」

「そこで、ニーチェの超人でもないけれど、耐えて乗り越えましょう」


さて、それはともかくとして。


一緒にフィットネスをしていて気がつくのは、直人君の身体の固さ。

おなかが出ているわけでもないのに、前屈も中途半端。

背中を押してあげたら「痛いです」と泣きごとを言う。

股関節も固い。(私の半分も開かない)

(お尻叩いたら、無様に転んでいるし)


直人君は「ずっと病院で寝たきりでした」と言い訳をするけれど、いつまでも、それではよくない。


「直人君、ストレッチ教えるよ」

「高校の時に体操部だったから」


「はぁ・・・でも、今日?」

「もう、今の時点で身体のフシブシが痛くて、リタイヤしたい」


あまりに泣き顔なので、いじりたくなった。

「だめ・・・そんなんじゃ」

「マッサージもするからさ」


その後は、直人君の泣き顔を「楽しみながら」、彼のあちこちの筋を伸ばしました。

(直人君、悲鳴あげて、可愛かった)(哲学で負けたから、仕返しもしたかった)

相当汗をかいたので、フィットネスルームの横の大風呂(貸し切りだから混浴)に。


直人君を先に入らせて・・・急襲しました。

(混浴は言わなかった)(そのほうが、直人君の反応を楽しめるから)

もちろん、前は隠しません。

「見ないの?」


「それを言えと?」


「言いなさいよ、男は度胸だよ」

ザブンと入って密着しました。


あちこち押し当てて、真っ赤になるのを見て、またイジリました。

「立ちあがれる?」

「直人君も見せて」


直人君は、抵抗しなかった。

そのまま、「元気に」立ちあがった。

(私は・・・それから目が離せなくなった)


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