第13話ショッピングモール見学 食事は定食屋

ホテル・アフロディーテのショッピングモールは、凄まじいほどに巨大だった。

直人が、都内で、また横浜などで見た、どのショッピングモールより大きくて豪華だ。


衣料品は、欧米系の超高級ブランドから、日本の庶民的な価格のブランド店もある。

雑貨店も呆れるほど広い、とても見切れないほどの商品が並んでいる。

その隣の書店も大きい。洋書、和書、今は珍しいレコード、CDがどこまでも積み上げられている感じ。

電化製品、コスメティックスも半端ではないので、途中で見るのをやめた。

病院もあった。(内科、外科、歯医者、心療内科等)(いずれも最先端の医療提供とのこと)


病院まで見て、直人は少し疲れた。(腹も減っていた)

その直人の気持ちを察した杉本瞳が声をかけた。

「直人様、お食事にしましょうか」

南陽子が聞いて来た。

「全て無料ですので、何なりと」

「和洋中、エスニックもあります」


直人は、恥ずかしかった。(でも、口に出てしまった)

「高級料理は食べたくなくて、普通の定食屋、ありますか?」

(実際、そういうものしか、食べて来なかった)

(こんな豪華なショッピングモールに定食屋があるかどうか心配だった)


杉本瞳は、花のような笑顔になった。

「ご心配いりません、定食屋さん、あります」

南陽子も、満面の笑顔。

「趣味が合いますね、私たちも定食が大好きです」


豪華なフレンチレストラン、ステーキ店、割烹、寿司屋、イタリアンが並び、その隣に「定食屋」があった。

そのまま、その定食屋に入り、直人はメニューを見た。

涙が出るほどうれしかった。


「とんかつ定食、かつ丼、アジフライ定食、刺身定食、天ぷら定食、豚肉生姜焼き定食、カツカレー、麻婆豆腐定食、中華丼、天津飯・・・・」


どれも直人の大好物ばかりだった。(入院した聖アフロディーテ病院では、とても食べられる雰囲気ではなかったから)

直人が迷わず「豚肉生姜焼き定食」を頼むと、杉本瞳が笑った。

「いいですねえ・・・若い男の子って感じ」(杉本瞳は、そのままカレーを注文)

南陽子も笑顔「分け合って食べましょう」で、とんかつ定食を注文している。


ただ直人は「分け合って食べる」から、「距離近過ぎ」を感じている。

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