第4話ホテル・アフロディーテからの招待状

ホテル・アフロディーテからの封筒には、支配人藤田晃自筆の招待状が入っていた。


拝啓 井上直人様


本日、当アフロディーテ・ホテルにおきましては、井上直人様ご転院の準備が整いましたことを、ご連絡いたします。

風光明媚な紀伊半島の中でも、青い海の絶景を堪能できる。当ホテル・アフロディーテにお越しください。

スタッフ一同、貴殿のリハビリテーションのお役に立てるよう全力を尽くす所存でございますので、どうぞご安心なされてください。

それでは。井上直人様の御到着を、スタッフ一同、心待ちにしております。


令和5年9月2日 

ホテル・アフロディーテ支配人 藤田晃」


読み終えた直人は、封筒に入っていた「転院同意書」に、自筆でサインした。

沢田看護師は、その転院同意書をすぐにPCに取り込み、転送処理。

(おそらくPDF)

署名した同意書は、現在入院している聖アフロディーテ病院で保管する、とのことだった。


直人は、それでも疑問があった。

「沢田さん、新宿から紀伊半島って、どう行くの?」

「電車?それとも車で?」


沢田看護師は、首を横に振った。

「ご心配は無用です」

「お迎えに来ますので、眠っている間に着きます」


沢田看護師は不思議なことを言って、窓のカーテンを開けた。

「移動手段はヘリコプターになります」


直人の目に。確かに飛んで来る白いヘリコプターが見えた。

ヘリコプターには、赤い色で、「ホテル・アフロディーテ」と書かれていた。

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