第39話ホテル・アフロディーテの見解 沢田看護師と再会

内閣官房の小野田氏は、話を続けた。

「ただし、里奈さんと良樹さんが、お亡くなりになられたのは、今回の直人様のホテル・アフロディーテでの保護とは、直接関係はありません」

「先般申し上げたように、B国の無差別テロのリスクが無くなっていない、むしろ高まっているのが現実なのです」

「政府として申し訳ないと思いますが、当分は、よろしくお願いいたします」

(いささか、念押しをするような口調だ)


直人が、仕方なく頷くと、小野田氏は席を立ち、支配人室から出て行った。


その代わりに、見覚えのある女性が入って来て、藤田支配人の隣に座った。

直人は、驚いた。

新宿の聖アフロディーテ病院の沢田看護師だった。

「お久しぶりです、直人君」

「いろいろと、ご活躍のようで、おめでとうございます」


直人は、藤田支配人を見た。

沢田看護師の登場も意味不明だけれど、初対面との女性との「交情」の方が不安で、どうしても聞きたかった。


「支配人、幼なじみの茜は驚きました」

「しかし、サラ、そして香麗と、関係を持ってしまいました」

(正直に言おうと思っていた)

「ただ、全て自分からの意思と言うよりは」

「サラには押さえつけられて」

「香麗には媚薬を飲まされ」

(メイドの頼みもあったけれど、行為をしてしまった責任もある)

(そこで問題があるのなら、このホテルを出て、警察に逮捕も覚悟していた)


藤田支配人は、表情はやわらかなまま。

直人に頭を下げて、説明。

「詳しくは、沢田看護師に説明を、お願いをしますが」

「当アフロディーテ・ホテルでの恋愛は、ご自由でかまいません」

「女性から求められれば、体力が続く限り、応じてあげて欲しいのです」

「それについては、全く問題としてはおりません」

「愛と美と性の女神アフロディーテのお導きと、お考えを」

少し間を置いた。

「当アフロディーテ・ホテルで問題視するのは」

「例えば、ジェラシーからの暴力行為、体調不良でしょうか」

「その場合は、他の地域のアフロディーテ・ホテルへの転院措置もあります」


藤田支配人は、そこまで説明をして、また、頭を下げた。

「ここからは、女性からの話の方がいいかとい思います」

「沢田看護師から、説明をさせていただきます」


藤田支配人もそこまで説明をして、支配人室を出て行った。

(直人が支配人室で見るのは、沢田看護師だけになった)


沢田看護師は直人の手を握って、うれしそうな顔。

「かなり血色もよくなりました、安心いたしました」


直人は、懐かしいと言うより、沢田看護師の手の感触のほうがドキドキする。

「いろいろ心配なことがありまして」

「支配人は、問題ないということですが」


沢田看護師は、直人の手を揉みながら、説明を始めた。

「まず、最初に言わなければなりませんが」

「男性にあるように、女性にも、性欲はあります」

「直人様が望む以上に、女性に望まれ、直人様が応じられた」

「それも、見事に、女性に期待以上の快楽を与えました」

「性の女神であるアフロディーテの願いにお答えになられました」

「私は、もっともっと、ご活躍を期待しています」


直人が、まだ理解できないでいると、沢田看護師は説明を続けた。

「例えば、妊娠などは、ありません」

「全て、女性の体調、もちろん男性の体調も、体液やDNAレベルで大型コンピューターで管理しております」

「その上で、カリキュラムを組み、茜様、サラ様、香麗様は、直人様とお逢いになりました」

「ただ、茜様は、性的行為の前に、心理的カンフルが必要でした」

「ですから、直人様による着衣での抱擁までです」

「やせ過ぎて、身体を見せたくないとのことでしたから」


直人は、頭を抱えた。

「女性のお相手役を?性にも倫理があるのでは?」

「僕にも、自由が必要かと」


沢田看護師は、直人の手の平を揉み続けた。

(直人は、強い眠気を覚えている)

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