第67話エリザベスとエヴァは直人の部屋に①意外な展開
約30分後、直人の部屋(大きな部屋)のドアがノックされ、エリザベスと、エヴァ(かなり青い顔)が入って来た。
二人が、謝罪しようとしたけれど、直人は手で制した。
「まずは、お茶を」
エリザベスと、エヴァは、しょげた顔で直人と向かい合わせに座った。
再びエリザベスが、「あの・・・」と言いかけたけれど、直人は、ここでも手で制した。
「まずはお茶を」
エリザベスとエヴァは、テーブルの上に置かれた、紅茶を一口、飲んだ。
エリザベスの目が輝いた。
「これは・・・不思議な香り」
エヴァも、一口飲んで魅了された。
「すごく甘くて、ワクワクするような」
直人も一口飲んで笑顔を見せた。
「『マルコ・ポーロ』と名付けられたお茶です」
「詳しくは、私のメイドに後で聞いて欲しい」
エリザベスが、また謝罪を言いかけた。
「あの、さっきは・・・」
直人は、ここでも手をヒラヒラとさせて制した。
「ここは、僕の部屋です」
「僕の部屋でのことなので、ここでのことを楽しみませんか?」
少し間を置いた。
「謝りに来られる、あなた方にその気持ちが生じて、僕はそれをお聞きした」
「その時点で、許しています」
「もう、それは消えました」
エヴァの目に涙が浮かんだ。
そのまま直人の手を握った。
「本当に無神経なことを無神経な言い方で・・・」
「いつも注意されてはいたのですが」
直人は、ここでも謝罪に付き合わなかった。
それどころか、別の話題に変えてしまった。
「エヴァさんは、スウェーデンですか?」
「名前からの勝手な連想で申し訳ない」(実は、杉本瞳が調べていたが)
エヴァの目が、丸くなった。
「はい…父方が移民で」
直人は、続けた。
「スウェーデンのお菓子で、プリンセスケーキというケーキがありますよね」
「あれ、大好きなんです」(杉本瞳と南陽子は、少し離れてネットで調べている)
エヴァは、笑顔に変わった。
「あーーー!はい!私も大好きです」
「丸いケーキで、スポンジと生クリームを重ねてマルチパンをかぶせて」
直人もニコニコした。
「いろんなバージョンができるかなと」
「チョコレートもできて、ピンクの桃みたいなのも見たことがある」
エヴァは、また笑った。
「直人様は、ケーキ好きなんですか?」
直人は、素直に頷いた。
「そうかな、ここに来て、約一週間」
「その前は約一か月病院にいて」
「ケーキを食べてないなあと」
エヴァが、また笑顔になった。
「私が焼きましょうか?」
「母に教わっておりますので」
(エリザベスには、初耳のようで、エヴァをじっと見ている)
直人は、エヴァの申し出をこころよく受けた。
「うん、ありがたい」
「食べさせられるまま、飲まされるままも、退屈かなと思い始めたのでね」
(この時、直人は、新しい構想が出来始めていた)
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