第20話心を病んだ少女 茜 ③

直人と茜は、2階の談話室から、20階の直人の部屋に入った。

茜も、落ち着いたのか、「事情」を素直に直人に話した。


要約すれば、

・茜を生んだ母は、茜が9歳の時に事故死した。

(近所の交通事故なので、直人も覚えていた)

・後妻は、すぐに来た。「直美」と言う気の強い女性。

・茜の父がいない時に、いつも苛められた。

(テストで満点を取れないと、ぶたれた)

(それで泣くと、近所迷惑になると、また、ぶたれた)

(張り手も痛かった、途中から木の棒になった、すごく痛かった、血も出た)

(父に泣きついたら、翌日、もっと叩かれたから、言えなくなった)

・部屋に閉じこもったら、食事をもらえなくなった。(3日以上の時もあった)

・後妻直美がいない時に、父からもらった小遣いで、コンビニでパンを買って食べた)

・幸い、使用人がいたので、中学入学手続きは、任せた。

・でも、揃えた新品の教科書は、後妻直美に、全て破かれ、燃やされた。

(父が叱責しても、後妻のDBは止まらなかった)

・あまりにも酷いので、父の手配で全寮制(中学・高校一貫)に入った。

・このホテル・アフロディーテに来たのは、県議の要職になった父の手配。

(後妻直美が、全寮制に文句を言い出したため、何をするか不安だったから)

・後妻の直美には秘密の作業だった。


ここまで言って、茜は直人に、ションボリと寄り添った。

「私が直人君を見つけたの」

「さっき・・・一階で、お店屋さんを見ていたでしょ?」

「まさか・・・と思った、でも直人君とすぐにわかった」

「首のホクロで」


直人は、思い出した。

「そう言えば、小学生の時に?」


茜は、目を潤ませた。

「直人君の首に、北斗七星のホクロがあるって、笑ったよね」


直人は、茜を抱きかかえた。

「それ・・・3年の時?」

「一緒に七夕に」

「クラスで、だったけれど」



「直ちゃん・・・」

茜は、また泣き始めた。

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