第79話家族とのオンライン面会 ブルボン家のソフィ

翌日の午前、厳重なウィルスセキュリティ対策を施された上で、直人と両親、そして妹のオンライン面会が実現した。


まず、直人の両親は、北海道小樽のアフロディーテに保護されていた。

父も母も元気だった。


父保夫は直人を見て笑顔。

「評判は聞いている、しっかりやっているようだね」

母圭子は、泣いていた。(もともと、涙もろい)

「どう?少しやせた?食べる物はしっかりね、それだけでいいよ」


直人は、父と母の仕事を聞いた。

父保夫はアフロディーテのスタッフになっていた。

「暇を持て余すのが嫌でね、支配人秘書になった」

「事務仕事が多いかな」

母圭子は、胸を張った。

「いろんな文化イベントの企画立案よ」

「すごく優秀なアーティスト、音楽、演劇、美術、文学、食文化もあってね」

「実に楽しいわよ」


直人は、ようやく安心、しかし、こんなことになった自分の失態を詫びた。

「ごめんなさい、僕がボンヤリ歩いていて突き落とされて、こんなことに」


父保夫と母圭子は、首を横に振った。

父保夫

「今さら、直人の責任ではない、でもめげては、いられない」

「大きなテロで他人様に迷惑をかけられない」

母圭子は父より厳しかった。

「まずは、直人を期待する人に、精一杯応えなさい」

「しっかりなさい」


父母との面会の後、オンライン画面は、妹恵美に切り替わった。

妹恵美も元気だった。

「もう・・・寂しかった・・・アホ兄貴はアホなりに寂しい」

「今は、宮崎のアフロディーテよ」

「すごく勉強も厳しいけれど、たくさんの外国人と仲良しに」

「可愛い子も、かっこいい子も多いよ」


直人は、ここで危険な発言をしてしまった。

「前より、丸くなった?」

妹恵美の顏が変わった。

「あのさ・・・美味しいものが多いの、しかも無料で」

「太るなって言う方が無理よ」

「でも、ジムでのトレーニングもあるから、筋肉も増したよ」


直人は、紀州のアフロディーテでの取り組みを話した。

「多国籍茶店を作ろうかなと」

妹恵美がうれしそうな顔になった。

「兄貴ならできる、ようやく、やる気を出したか」

「当分は、そこでがんばってね」


・・・・・・・・


家族とのオンライン面会は、終わった。

直人は、沢田副支配人にお礼。

「気持ちが落ち着きました、ありがとうございました」

沢田副支配人は、直人を強く抱いた。

「いいの、また企画しますよ」

「直人君が元気になるのが一番」

「そもそも、ご家族は、全員元気でした」


直人は、ようやく笑顔を見せた。

「そう思うと、おなかが減って来ました」

杉本瞳が、頭を下げた。

「ブルボン家のソフィ様が、ご一緒したいとのことです」

直人は、頷く。

「わかりました」

「ゆっくり話したいなと」


南陽子が、ドアを開けると、ブルボン家のソフィが入って来た。

直人を見て、小走り、そのまま強いハグ。

「元気になった?御家族とお話、しっかりできた?」

「すごく心配したの、私、直人大好きだから」


直人も、ソフィのハグを楽しんだ。

「ソフィって、すごく柔らかくて、温かい身体」

「性格も好き、輝いている」


ソフィの顏が、赤くなった。(直人の変化を感じた)

「直人も・・・あ・・・元気」

「ずっと欲しかった・・・お願い」

ソフィは、そのまま直人の唇を吸っている。

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