第82話ヴァロワ家のカトリーヌ①
私はヴァロワ家のカトリーヌ。
ヴァロワ家と言っても、嫡流男子は約450年前に暗殺(国王でありながら!)、途絶えてしまった。
その後はブルボン家がフランス国王を継承した。(最後は革命と称する暴徒に、公開処刑されてしまったが)
確かに、その時代(約450年前、ブルボン家が継承する時期)はカトリックとユグノーの大抗争期。
サン・バルテミー事件(数千人のユグノーが殺された)も我がヴァロワ家統治時代のこと。
かのマキアベリの薫陶を受けた王母カトリーヌ・ド・メディシスでも防げなかった大衝突で辛い歴史である。
(私が名前をもらったカトリーヌが黒幕と言われているが、そうではない)
(カトリーヌ・ド・メディシスは平和を願うだけの現実主義者であって、カトリックもユグノーも、国と国王家に忠誠を捧げる限り、何の差別もしなかった)
(むしろ、平和的共存を強く望み、その画策に動いていた人なのだから)
そんな難しい話はともかく、私も直人に強い興味を抱いている。
それは、直人の東京の実家から持って来た書籍を見た時からだ。
(例の美少女本ではない)
(美少女が、ただ脱いでポーズを取っているだけであって、どうでもいい)
その強い興味とは、私の趣味と一致する書籍が多かったから。
敬愛するマキアベリの「ローマ史論三巻」、「君主論」もあった。
塩野七生先生の「ローマ人の物語」他、塩野先生の本は、全部書棚にあった。
そして「カトリーヌ・ド・メディシス」の伝記、ギリシャ神話論もあった。
直人は、(書籍の趣味から見て)ようやく、話が合う男の子と思う。
ホームシックになるなど、やや繊細な面はあるけれど、とにかく深い歴史談義をしてみたい。
(残念ながら、ブルボン家のソフィ、ハプスブルグ家のマリー、軍事産業のエリザベスとは、できない、趣味が合わない)
直人も、そういう話になれば、また元気を取り戻すのではないか、そう思っている。
直人を「抱く」「抱ける」も、楽しみたい。
(評判も高い、全員が直人を、また抱きたいと言うのだから、興味深い)
(ブルボン家のソフィなど、メロメロになって戻って来た)
(自分の部屋に入って、甘美が過ぎて、腰が立たないとも)
私も、その「甘美」を味わいたい。
性欲は否定しない、むしろ楽しみたい。(理屈っぽい女だけではない)
直人との予約は、西洋中世史の講義の後だ。
私は、そのまま直人を自分の部屋に入れると決めた。
露天風呂で直人を洗い、直人に洗われる。
そして、ずっと、心ゆくまで直人を抱く。
その後、直人は何を言うのかも楽しみ。
「疲れた」とは言わせない。(もっと抱こうかな、少し意地悪もしたい)
それを考えただけでも、楽しくなって来る。
直人と、二人だけで食事を楽しみたい。
でも、フランス料理ではない。
(フランス料理は、ブルボン家のソフィに任せる)
私が直人に食べさせたいのは、私が名前をもらったカトリーヌ・ド・メディシスの出身地の料理、フィレンツェの美食なのだ。
ビステッカ・フィオレンティーナ(特大ステーキ:フィレンツェ特産のキアーナ牛の中でも生後12か月以内の若い仔牛の肉500g)
トリッパのトマト煮込み(ハチノスをトマトソースでじっくりと煮込んだもの)
クロスティーニ(トーストしたパンの上にレバーペーストをたっぷりと乗せたもの)
・・・
食べさせたいものは、限りない。
とにかく、直人に精力をつけさせたい。
・・・ドアがノックされた。
メイドのジャンヌが入って来た。
「カトリーヌ様、西洋中世史のカリキュラムでございます」
「直人様と御一緒になります」
「うん、待ちわびました」
ジャンヌは、含み笑いだ。
「食事の準備は、出来ております」
「講義の後、そのまま食事に?」
「いや、その前にお風呂で直人を食べたいの」
(恥ずかしくない、本音を言っただけ)(むしろ胸を張った)
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