3.ごくふつうの恋/えみこ山

 全2巻。

 ただし内容は同人誌の総集編みたいなものだけど。

 何があるというわけでなく淡々と日常なんですが。

 ともかく昭和とビンボのかほりが実に懐かしくもいとおしひのですよ。


 夏の終わりなんですが、この団地にはクーラーはございません。扇風機のみどす。

 部屋の端にあるのはカバーかかってる足踏みミシン。端っこテレビ。


 「外メシ」。

 何かしらおかず持って外で食べるだけ。忙しすぎる相方のために用意。公園のベンチで夜お食事。

 ……ちょうど90年代不況だったんですね…… 蚊とりぶたと、手持ちランタンを新規で入れたという。


 友人からガスオーブンの古い奴をもらってやっと自宅で焼き菓子が作れる~という話。スコーン!

 オーブンの形も何だけど、この時1つコンロはつかないけど、というのがポイント。それまでは友人宅でケーキは焼いてたのだけど。

 ちなみにその前のエピで出てくるケーキは作者も好きだったようで、別作品でも作ってます。一見地味だけど切ると市松模様になってびっくりという。


 夏が迫った時期。

 つい安く買ってしまった牛肉を冷凍庫に入れて放っておきすぎて、解凍してたら忘れてた…… のを洗って酒に漬け込んで根性でビーフシチューに。そんで正露丸を用意(笑)。

 ヒジキも昨日の残りの根性で傷んでねえよな部分をサラダに。

 こういう昭和の根性論が入ってくるとこが楽しいw

 なおオチは「練り物でおでん」だった。これも危ない、と……(笑)


 映画館ごっこということで、団地のいつもの部屋に簡易ソファ作って、マクドのカップとかとっといてポップコーン作ってレンタルを見るというやつ。


 あと夏の終わりのバルサンとか、すだれをしまうとか、公設市場で買い物とか。

 それにあれだ。大阪(関西)グルメがちょこちょこ出てくるんだよなあ。

 麩まんじゅうとかふたばの豆大福とか差し入れにもらったり、ムジカの紅茶とか、節約生活だけどここには、というのがいい。


 そしてこれだな。おまけページに転載してある、「あまったおかずをおからで別の一品に!」。

 ……まあこういう手間をかけられるか、という問題ではあるんですが、この片方のひとは家でミシン内職しているという設定なんでごはんを如何に安く済まそうかというネタは出てくるんですね。


 あとはガス代がもったいないから風呂に一緒に入るとかとっとと寝るとか。(そして普段は素っ気ない片方がそういう時は距離が近くなるので片方が嬉しいとか)


 夏の娯楽が「昼寝」で、牛乳かん作っておくとか。(クーラーではない!)


 のどやかですわ~

 まあえみこ山さんという方は、こういう人々がかつては厳しい過去持ってるから「こそ」毎日のささやかな幸せを大事にしような~という話を書くのうまかったからなあ。


 今はえみくりも身体壊したりして活動停止。

 ワシが同人買い出した30年前に既にある程度の大手→オリジ最大手になりつつある頃だったよなあ。

 くりこさんの「中国トラブル・トラベリング」(ともかく硬車の切符が取れなかった時代だ!)読んで卒業旅行に行きたくなったあとに天安門!

 ああ懐かしき90年代よ。

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