84.記憶をひもとく70年代~80年代前半マンガ(5)「なかよし」~1972年まで。/志摩ようこ

 志摩ようこ。

 ワタシはたぶんものすごーくこの時期楽しんで読んだんだけど。

 ウィキで見てもこの時期以外のものが出てこないんだよなあ……

 ただし!

 今電子であちこちで出ているのでぜひ皆様見てくださるとよいと思う!


 絵は今見るともの凄く特徴があるというか、確かにこの時期にしか通じない部分はある。

 お姉さんである曽根まさこがその後もミステリーだかホラーだので延々描き続けたのとは対照的。

 何でじゃろ。


*恋のクッション作ります

(短編集)

恋のクッション作ります

手のひらいっぱいの恋

バスケットに入った赤ちゃん

卒業日記


 いやまじこんなにクッションばかり作ってどうすんだ、と思った話なので記憶に強い~。

 後の作品は今一つ思い出せず。


*白夜のナイチンゲール

 原作が名木田恵子(水木杏子)。北欧を舞台にした兄弟+地下室の楽園(のような場所)で育てられていた言葉も知らない少女との話。実はこの少女は……


*ハッピー・ハートは神様デス

(短編集)

ハッピー・ハートは神様デス

兄きにカンパイ

バスにゆられて

マダム・フルールの玉手箱(原作あり/実は曽根まさこ原作でした)

あまえんぼ天使のひとりごと

あとがき(2007年時点!ご本人の作品解説もあり。現在の絵のタッチが一瞬でも見られるのは必見)


 この表題作は自分が持っていた訳ではなく、どっか他人の家で読んだ記憶があるんだよなあ…… 自分が買ってもらいだす前だった。

 マダム~は面白い筋書きだった。偏屈な金持ちマダムにずっと親身に仕えてるメイドの主人公が残されたのが古い小箱。その中には肖像画が一つ。ところがそれが今では抽象画の大家であるひとの若い頃の書いたレアものだった…… そこで主人公とその彼氏は何とか借金返せて結婚もできるよよかったね! というもの。

 筋で読ませるなーと思ったら曽祢さんだったのかと改めてびっくりだったり。


*咲子の七日間

(短編集)

咲子の七日間

夢つむぎ

椿咲く日


 地方だったり貧しくて苦労する若者の現代もの三編。個人的には後二編は未読だったので興味深かったざんす。


*こんにちはミスティーヌ

こんにちはミスティーヌ

マリッジリングをとりかえせ!


 これも未読。無国籍(現実の地名は出てきてもリアリティはない)的なとこが当時だなあ。


*ロリアンの青い空

 四人の少年少女→大人になってまでのはなし。途中で金持ちと貧乏の立場が切り替わるとこ、愛情の形の異なるとこが面白い。

 と思ったらやっぱり名木田恵子原作だった!


*リリアーナの黒髪

(短編集)

リリアーナの黒髪

せんこう花火

6年はずれ学級(原作つき)

星のひとかけら

過ぎ去りし日々に


 だいたいこの辺りは記憶にあるから、まとまった時期だと思う。

 「星の~」を読んでガラスのかけらの角が取れた奴を探したくなった記憶が。


*丘の上のベティ=アン

丘の上のベティ=アン

花に埋もれてベティ=アン

ティータイムはお静かに

ちょっぴりメルヘン秋の午後

ふんわりハートの雪あかり


 小学生ベティ=アンを中心にした架空欧米の田舎の連作ばなし。……全く知らなかったなあ。


*白き鳥の子守歌

(短編集)

白き鳥の子守歌

とおり雨が上がったら

青葉山コン線日記

マリンブルーの風


 これも知らなかったなー。


*ナナ色毛糸♡ラブもよう

ナナ色毛糸♡ラブもよう(三話)

真っ白手ぶくろ恋ひとつ

恋は平行四辺形


 主に手芸なはなし。

 いろんな展開図とか出ているのが楽しい。ただしかぎ針編みばかりなのがとっかかりやすいように、という配慮かな。

 恋は~の中で犬が「もう10歳なので……」と言っていたあたりに当時の犬の寿命がわかるというもの。


 あと電子に入っていない作品としては。

*遠い日のミリーヌ

 この本の中から単話売りで「天使たちの船出」「潤のあしたは」が出てるんだけど……

 何故かタイトル作が出てないんだよなあ。

 ここで記憶。


 海辺の町で育ったジャンとミレーヌ。知恵遅れの彼女は母親が働きに出ているかで預けられているのだけど、周囲からは揶揄われていたり。

 そんなミレーヌをジャンはよく相手をして、砂に「忘れないで」という言葉を書いて教えてやったりする。それで「びんに母親への手紙を入れて流す」ことをしたり。

そんな町に映画の撮影がやってきて、ジャンが女優にスカウトされる。彼はそれについて行き、やがて都会でルウ・ジャンネールという名で売れっ子になる。

 一方ミレーヌが養家で邪険にされすぎていたので、ジャンの祖父が彼女をひきとる。ミレーヌはずっと変わらないまま「忘れないで」の一言しか知らず、母親ではなく、ただジャンを待っている。そんな彼女を見かねて、ジャンの祖父は「びんに入ったジャンからの手紙」を置いてやる。

 だがそれを取りに海に入ったミレーヌの上に大きな波が……

 数年後、売れっ子役者として故郷にやってきたジャンは祖父からミレーヌが既に亡くなっていること、戻ってこなかった孫が既に他人であるという素振りを見せる……


と、なると出さないのも何となく想像がつくやうな……

 電子で出たらこれはこれで偉いと思う。

 出ている二作は、前者は両親を亡くして兄妹で中卒でがんばっているところに悪性腫瘍ができて腕を切らなくては…… という。

 後者は目が見えない少女が親戚が待ってるということで船に乗るところで、三年前に飛び出した兄と間違えて詐欺師のカップルと知り合う。カップルは隠れ蓑に少女を利用しようと思うが、次第にほだされてしまう。


*あいとK・K・圭

 これは女性不信の三人組と、仲良し少女三人が夏休みの勉強会で最終的に全部それなりにくっつくまでのはなし。


*愛の賛歌をあなたに

*チェリーナのなみだ

*ペアのマフラー編んでいい?

 これが何で単話売りなのか謎。1冊まとめてもいいと思うんだけど(ページ数的にも)。

 愛の賛歌~は前後編だったらしく、途中で二色刷っぽい部分が出てくる。で、これは音楽と病気とか絡めた感動もの。

 チェリーナ~は短い童話の様なはなし。

 マフラー~は学園祭もの。


*シャトル 真夏の空へ!

 これは付録で一冊まとめて出たもの。

 バドミントン部に所属する主人公は、入ってとんとん拍子に選手になっていった友人との間にコンプレックスを持っていて消極的になっている。

 だがそんな時、彼女をかばって友人がケガをしてしまう。友人は彼女に自分の代わりにがんばって欲しいと願う。だが消極的な性格からなかなか本気を出せない。……なのだが、友人と付き合ってるのでは……? と言われている少年の言葉から次第にがんばる様に。

 そして友人のライバル的な強い選手と、作戦の一つとして当て馬的に当たることになるが、そこで一生懸命プレイすることによって相手からも「あなたステキだったわ」と言われる。

 そして彼女を待っていたのは、別に友人とは何ともなかった少年だった。


 ……っていう記憶。

 しかしそのあとの志摩ようこがどういう活動していたのか判らないんだけど、アマゾンのマーケットプレイスに80年代に「三つのお人形のものがたり」って本が出ているあたり、何処かで描いていたということ判るんだけどね。

 さてさて。

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