60.超展開バレエマンガ谷ゆき子の世界/谷ゆき子

 ……タイトルに偽りなし。

 いやー、疲れると本の衝動買いするというクセがあるんですが、これは正解だった。

 ワタシと年代が近い人はご存知かもしれまへんが、学習雑誌に当時必ずあったバレエまんが「星」ものですよ。

 ワタシは結構記憶が断片なんすが。

 ただ覚えてるとこと、そーでないとこがあって。

 まあ例えばですね。「まりもの星」。

 すずらんを取りにふらふら踊りながら崖っぷちに。落ちそう!

 ……というこのシーンの前は確か、この主人公が熱にうかされてふらふら外に踊りだすんですよ。

 で、何故か途中で寝間着からチュチュになっている。

 夢の中で? お母さんの記憶喪失を直すためのすずらんを取りに行こうとするんだけど、崖のところに生えてる。取ろうとして……という展開だったと。

 ちなみにその踊りだす彼女を見て村人が「可哀そうだな……」とまあ、気がふれてしまったよな、という対応しているのが子供心に焼きついたwww

 しかしこの後どうなったかは知らず、……なんですが。

 ただし「まりもの星」という作品自体のラストは、何か記憶していてですね。

・主人公が身を寄せていたバレエ研究所が倒産

・そこへ援助者が。既にバレエ研究所もある。

・何とそこにお母さんがいる。だけど記憶喪失のまま。そんで目の見えない、身体も弱いらしい少女スポンサーの「お母さん」になってる。

・その少女が「まりもの星」というバレエのストーリーを書いてるとこで主人公、「本当は目が見えるんじゃないか?」と疑うんだけど、落ちたスプーンを拾えない辺りでやっぱり見えない、と思い直すとか。でも書いてたものは読める(笑)。どういうこっちゃ。

・それをバレエにしてお母さんも一緒に踊ることに。厳しい練習。

・そんで発表会。……で良い成績? かどうか判らないけど、電話が。少女が亡くなってしまう。その遺体にすがって主人公の名を呼ぶことで記憶が戻る! 

・で、北海道に戻ると。


 という最後。

 おーい。

 あと個人的に「こういう展開だったよなあ」というのが「アマリリスの星」……だと思うんだけど。


・途中で嫌がらせライバルに山で行方不明にさせられた主人公

→助けてくれた「仮面の人/実は研究所の先生で母親の友達」から「スワン・ジャンプ」を教わる

→森の動物達と一緒に遊んでいるうちにそれをマスターし

→それを見守っていた仮面の人から帰るように言われる

→戻ってライバルと公演のヒロイン争い

→ライバルはモダンバレエ(見開き)、主人公はスワン・ジャンプを完成させて披露→「ねずみと白鳥」という作品で、ライバルはねずみ、主人公が白鳥に

→そこでライバルの父親/スポンサーが口出し。役を取替え

→実はねずみのほうが高度なんですけど。公演で素晴らしい踊りをするんだけど、ライバルの画策で飛び込んだ先に置いてあるはずのマットがない!

→負傷。

→病院の診断を窓の外で盗み聞きする主人公、「足を切るしかない」という声。

→そこへ海外からの新ライバルが。何とかやる、とそのまま突進。

→最後は外人ライバルともいうまくいき、カーテンコールの時に足が何ともないことに気付く(おい)

→この先も素晴らしいバレリーナに……


 ……書いてみて思うけど、絵が美麗だった(小学1、2年にはもったいないくらいに!)ので、異様な説得力があるんだよなあ。……筋だけだと「ありえねえ」なんだけど。


 でも実際気になってはいたし、この人のマンガが単行本に一切なっていなかったことを考えると、よくこの本と、あと「バレエ星」とか、立東舎が何でだかこれを出したというのすげーなーと思うざんすよ。

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