106.蜻蛉 1~7巻/河惣益巳

 河惣せんせいはこの「蜻蛉せいれい」を隔月刊のMELODY、「ツーリングEXP」シリーズを花丸漫画に連載しておりまする。

 後者についてのキャラ限定サザエさん空間はまあ無視! 無視しないとやっていけないぞ! 何せこの話が始まった頃、まだソ連があって、東西冷戦が下敷きの様々な事件とかやってたんだから。そんな時代に5歳かそこらで登場したゾフィーがもういい青年だというのに(笑)。

 だからもうあれはゾフィー周辺以外はサザエさん空間になっているというお約束で見るしかない(笑)。そうすれば少女マンガの範疇でシビアな国際関係の話を読めるぞ、という。


 なんですが。

 このツーリングとジェニーのシリーズで、これでもかとばかりに世界情勢を絡めたおはなしを描いてきた河惣せんせいなんですが、「日本がらみ」それに「中共と半島」は全く描いてなかったんですね。

 いや、一度だけ京都にゾフィーとかと来てた時はあったけど、「日本」が舞台だっただけで、内容は日本の政治とは絡んでなかったよなーと。

 まあたぶん避けていたんだと思います。じゃないとこのあからさまな飛ばし方は無いと思うのですよ。あんだけ中央アジアとかアフリカとかゲリラとか色々出してくれてるのに。

 なのですが。

 花丸漫画に移ってからのがやっと単行本までまとまったというので購入した時、「あれ?」と思ったのが、シャルルが国際社会での日本の態度を微妙に皮肉ってたとこなんですね。

 と思えば、「蜻蛉」の内容は実にわかりやすい。そして河惣せんせいが何とかと左傾化しやすいマンガ畑でずっと黙っていた理由もわかるというもの(笑)。


 ええまあ、はっきり言ってこれ古代ファンタジーの形を取ったアレですよね(笑)。見れば一目で何処が何処の国を意味してるかわかりますもん。

 これまで描かなかったとこへの批判がもろ出てます。が、ワタシ的にも似たスタンスなんで、「いやーよく描いてくれたなー」なんですね。

 あとは「島国という利点」「国の一番上は祭司」「自然との共存」をよく。

 日本という国と文化を実に愛してることは、今までの作品でもよく出てるんですな。国内を舞台にする時にはそこを突き詰めるし。


 MELODYという、「大奥」「秘密」という大物作品はあれど、基本的には実に地味で固定客、「大人の少女マンガ」隔月刊というところで、連載時にはトーン貼らなくていいくらいの立ち位置だからこそ描いてもいい内容なんだと思いますわ。(いや本当に雑誌掲載時には本当に白いんですよ! この話にしろ、その前までの連載にしろ。おそらく最少人数か一人で描いているのではないかと推測)

 たぶんその意味で、花丸漫画というBL誌に移ったことでツーリングも自由度上がるんじゃないかと思いますよ。

 白泉社は集英社系なんで、まーたぶん、言えないことも多かったんではなかったかと思います。

 ジャンプみたいにバッシング受ける程の場所ではないのでぜひのびのびやってくださいませお願いします! ですよ。

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