10.記憶をひもとく70年代~80年代前半マンガ(2)「なかよし」~1972年まで。/付録本・そしてまるやま佳
んで。
「なかよし」の話をしようと思うんだけど、記憶を補完するのにちょうどいいものが手元にございまして。
珍しく手元に当時買ったコミクスが残っていたんですな。
んで、これはかなり自分が買うようになった中でも初期のものなんですわ。
んで、ここで見ておきたいのが、これ。この時期に出ていた主なコミクス。
・里中満智子
・泉みのり
・原ちえこ
・いがらしゆみこ
・別府ちづ子
・牧村ジュン
・高階良子
・まるやま佳
・松島裕子
・志摩ようこ
・曽根まさこ
・鈴賀レニ
・神崎順子
・たかなし♡しずえ
と言った面々が並んでいるんですな。
なのでそれを順繰りに語ってみようかなとも思うんですが、まあ今でもよくわかる大御所はとりあへず後回し。
「まるやま佳」に関しては公式アーカイヴがあるのはありがたいざんす。
どうやらワタシは彼女が「なかよし専属作家」時代を見たようでして。
で、この方に関して自分がよく覚えているのは「別冊ふろく」なんですな。
ヤフオクで揃いで出ているんだけど、1973年1月~12月号、1974年1月号に出ている訳だ。
ワタシが知っているのは
8月 高階良子「昆虫の家」
……フランス人との混血児の蝶に異様に執着をみせる孤児・クレールが突然財産を相続。それまで欲しかった蝶だけでなく、「蝶の様にテニスをプレイする」少女をも奸計巡らせて拉致。だけど飼っていたアゲハチョウの幼虫に寄生するハチが変質したものに少女が刺されてしまい、クレールは少女を美しく保つために悲しみつつも毒を注射する。
彼女と一緒に拉致された男女が一人ずつ居たのだけど、女子はかつてクレールを「赤毛のあいのこ」と言ったことがあり、それを覚えていたクレールは「あなたはカマキリのようね」「私はカマキリが大嫌い」と殺してしまう。カメラ青年は何とか火事を起こす。だけどガラスケースの中に横たわる少女を「私のチョウよ」と背にするクレールを目にした後何とか脱出したけど、しばらく話すこともできなかったという……
9月 まるやま佳「ルウルウお手やわらかに」↓に
10月 藤原栄子「くつをみがいた王女さま」
……腹を空かせた靴磨きの少女キャロンと青年二人が知り合って、その時期捜索されていた南米?南欧?のブランアッチ王家の行方不明になった王女になりすます計画を立てる。
当初は乗り気ではなかったキャロンも青年の「彼女に幸せになってほしいからだ」という思いにやる気を出す。実際王も何となく亡き妻に似ていると思う。だが一度こじれて彼女は靴磨きのところに戻る。そこへ直接王が会いたいとやってくる。ドレスを着る間も無く対面。
だが会話の中で王女だけが知っていることを記憶していたり、首筋に昔王女が負った傷あとらしきものがあった。つまり彼女は本物の王女だった。だが何の見返りも求めず去ってしまった青年のことが忘れられず、父王の許しを得て青年のもとへ走っていく。
11月 ?「夕暮れはさよならの時」
……これは記憶が胡乱。
何かしら薬を飲んで、昼間だけは可愛い姿になれるけど、夕方になると元の姿に戻ってしまう主人公…… と、絵を見て思い出した。
12月 川上則子「アニー、きみは美しい」
……「奇跡の人」ネタ。
恋人の家に招かれたジムは、そこで隠されていた耳が聞こえず言葉が話せない恋人の妹、アニーの存在を知る。サリバン先生よろしく別荘でジムがアニーに言葉を教える。
のだが、次第にジムが妹の方に惹かれていくことに(アニーも同様)姉の方が焦り、パーティの際に婚約を発表してしまう。そこへアニーが行方不明の知らせ。ジムは姉の方に謝り探しに。雪の山から飛び降りるアニーを見て、無事だった彼女に愛を告げる。
1月 まるやま佳「恋のビーナス大作戦」
なんだけど。まるやま佳が二度出てるんだな。この付録本をまたよく読み返したこと!
ヒロインのビーナス。
父親と二人で詐欺師をしていたのだけど、ある日のカモが名門女学校の教頭だったことから、目指せ玉の輿計画がはじまる。父親は土方(……でしょうな、当時としては)をし、「両親の結婚を認められなかった不幸な金持ちの孫娘」を演じるビーナスにドレスだの何だのを送って話を補完する。
下の階に住んでいる画学生アンジーは何かと親子と縁があり、計画に参加させられる。たとえば学園の超金持ちのダイナのドレスにわざと酒をこぼしたり、バックだけハサミで切ったり。
そんな中で「これ」という格好いい相手を見付け、何とか婚約までこぎ着ける。だがウエディングドレスのために無理をしすぎた父親は結婚式の日、行き倒れてしまった。ビーナスは「パパが大変なんだよ!」と叫んで飛び出す。そこで何故か父親は金持ちのハロルド卿によって助けられていた。実はアンジーは卿の息子で、親子の愛情を見るうちに飛び出していた家を懐かしくも思い、また結婚するはずだった相手がやっぱり詐欺師だったことをビーナスに伝える。
何もかもおじゃんになったか、と思ったところで、「別の金持ちはどう?」とアンジーがもちかけ、最終的には父親が退院したあたりで二人は結婚、ハッピーエンド。
9月の「ルゥルゥ」は。
これも架空上流階級話なんだけど、「じゃじゃ馬ならし」がベース。
女は女らしく、と父親の前では演じていたルウルウだったが、ある日ぶち切れて、男の様な格好と、彼女をお姉様と慕う少女達を引き連れ社交界に登場。
そこに見合い相手? 婚約者? の男、ジェラールが登場。彼女を預かってじゃじゃ馬ならしをする、と引き取っていく。用意されたのはピンクにつぐピンクの部屋だの調度だの服だの。
当初はハンストかと思われたが、実は取り巻き達が差し入れをし、部屋の中や服や食事は不自由なかった。
だがその少女達が「ルネもカミルもブリアンも」とジェラールが言ういとこ達にたぶらかされ、彼女は日干し状態になり、とうとう「ありがとうございます旦那様」という言葉だのでようやく食事ができることに。
仕方なく言われるままの格好をしているところにようやく抜け出してきた取り巻きの一人が接触。「言うことを聞いたふりをしてお披露目のときに一気にひっくり返そう」ということに。
だがそのお披露目の時にジェラールが用意したのは男っぽい格好だった。彼は彼女と丁々発止している時が一番楽しかったことに気付いていたのだった。
その服を見たルウルウは自分からドレスを着て登場。「何で用意したものを~」等またばちばちと火花が散るが、まあそれは既に犬も食わない何とやらだった。
……という話をきっちり収めてくれていたんだわなー。
ところでこの方は「トリオ・ザ・新扇組」でも「玉三郎」というキャラを出したり、結構セクシャリティ曖昧なひとを出したりすることがあったんだよな。
ワタシの記憶の中で鮮明なのは、「***・**・趣味・料理」という短編でな。
主人公の少年は父子家庭で、家事が好きで学校に自分の焼いたお菓子を持ってくる様な子。
これが転校生の少女に惚れてしまうんだけど、彼女を狙うアメフト部のイケメンとか見て、「男らしい方が好きなのかな」と一瞬プレイヤーにトライ。すぐにダウン。彼女同様マネージャーに。
その部の合宿で、他校との交流の時に夕食の支度に関して連絡ミスがあり、戻ってきた時に何もできていないという事態に。
残っていた女子を責めるだけのイケメン達に対し、主人公はてきぱきと皆で食事をつくる様に配置していく。
主人公を見直した周囲はイケメンを無視し、主人公のいつもの行動に「ケーキ食べたい!」と支持するようになるという。オチは「俺も料理習おうかな」というイケメン。
他にも作品はあったかもしれないけど、この方に関しては華やかな絵の中でそういうおはなしがちゃんとできていたなー、と思ったんだよなあ……
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