9.記憶をひもとく70年代~80年代前半マンガ(1)そもそも~「小学館学習雑誌」「なかよし」「チャンピオン」

 ワタシが最初に​マンガ雑誌を毎月買ってもらえるようになったのは6歳の時​だった。


 ……もうこの時点で何かおかしい。

 現在52歳のワタシの6歳は昭和48年、1973年だ。

 マンガ読むとバカになるーとか言われていた時代でもあった訳だ。

 なのだが。


 ウチは気付いた時には壁一面に本棚がある家だった。父親は分家して土地もらって家建ててもらったんだが、実家にでかい本棚が無かったからそういう家を夢見てたやうで。

 ただ血筋としては頭良い家系だと思う。のちに出てくる十歳上のワタシの従姉は当時! 静岡県から山梨県の都留文科大学に出してもらっていたし、従兄も関東の何かしらの大学に行っていたはずだった。当時だぜ。

 ちなみに彼はずっとただの工員でした。昼には家に戻ってごはん食べられる様な環境だったのがよかったんだろな。町内全体が同じ様な仕事やってて、夕方になったら戻ってきて、銭湯に通って、という昭和な時代。夜には体育振興会でソフトボールだのバレーボールだのやったり。町内の花壇の世話したり。

 んでもってきっちり年金もらえる年齢になったら仕事しなくなった。で、晴耕雨読的な感じ+ご町内で任される図書室の用事とかやってたんだけど。

 若い頃にはもっと勉強したかった、という忸怩たる思いを残してたひとだったんですよ。

 農家の次男坊だったから、市内一番の高校に行ける学力があったけど行けずに定時制の農業高校に行かざるを得なかったという。農家手伝いながら通ったのではないかと。

 で、近年探してみると、おそらく卒業後、通信教育で法学とか学んでいたとかそういうのもあった。

 ちなみに母親もやっぱり似たような経歴で高校一年で中退して洋裁学校に行ったというひとなんで、まーワタシが全くもって裕福ではない家で、学歴だけは沢山つけることに何の問題も無かったのはそのせいが大きいかと。

 で、その父親が毎週とか毎月何かしらの雑誌をご町内の本屋に注文して購入してたんだな。プレイボーイとか平凡パンチとか週刊朝日とか、時には週刊百科事典の類いも。母親には「婦人百科」とかのNHKのテキストとか、後にはNewtonも買ってたんだが…… 

 で、これは記憶の断片なんだが、三歳上の兄に、それ以前にテレビマガジンとか他の雑誌も買っていたんだと思うけど……--

 スペクトルマンとかケンちゃんチャコちゃんとかモーレツア太郎とか記憶にあるんだけど、それが何の雑誌だったかまではどうも今一つ記憶がたどれない。


 テレビマガジンは割と長い間買っていたのかもしれない。仮面ライダーストロンガーのコミカライズまでは記憶にあるんだから。タックルが「スーパーサイクロン」で死んだ回のコミカライズも記憶して、後に復刻版も買っているので間違っていない。

 まああと「宇宙の騎士テッカマン」とかもきっちりした絵であったなー、と思ったしなあ。

 テレビマガジンはテッカマンとかキャシャーンとかのコミカライズが綺麗だったんだよな。


***


 という訳で、1973年、昭和48年、ウチの両親は6歳の夏からワタシに「なかよし」を、兄貴には「少年チャンピオン」を買ってくれる様になったのだわ。


 まあ、これに先んじて、この時期、ワタシが左腕折ってしばらく遊べない時があって暇だったというのもあったとは言える。母親がアートフラワーの講師やってた婦人会が使ってた公民館の前にあった、何かのでかい金属製の入れ物から落ちたんだよな。あれ何だったんだろ……

 とはいえ、元々足が遅かったり身体がでかかったり、つか太かった!

 その上、家がぽつんと一軒家で、友達の家に走って遊びに行くということが少なかったんだわ。

 ……もうそれ以前に早口すぎて()


 自転車に乗るようになったのはその後だったな。

 自転車自体は必要な地域だったんだよな。「ご町内」が広かったし、まだ普通に野犬が居たから。居たんですよ! 走って追いかけてくるんですよ! 吠えるんですよ! 怖かったんですよ! 

 ……だから今だに可愛いなーと思っても触れないんですよ! くーーーーーっ! 逃げるために必要ってのがありましたわー。

 運動神経のいい奴はもう幼稚園の時から乗れたりした時代さ…… 幼稚園に小さいけど補助輪無しのものがあったりしたもの。

 まあ一年二年でだいたい皆乗れる様になったざんすよ。必要だったんだから。


 あと、気付いた時には「サザエさん」の姉妹社版が63巻まであった。これもでかい。

 ワタシのサザエさんに対するこだわりはここから始まってる。この時期に散々全巻繰り返し読んでいるから、頭に絵で叩き込まれているのだわ。

 何巻にどんなエピが載ってるというのは、大雑把にどの辺りか言えるぜ。絵の違いがあるから、10巻単位くらいでどの時期かは。


 まあそんな奴なんで、「小学一年生」だけじゃもの足りないだろう、というのと、あとあれだ。

 小学一年で腕折ると、ギプスとったあともなかなか腕が戻らないのでマッサージに整形外科に通った。

 この時に医者に水野英子の「ブロードウエイの星」前後編の後編だけあったんだよな…… 後で両方買ってもらいましたよ。ワタシが最初に買ってもらった単行本はこれだな。ストーリーマンガに目覚めたんだと思う。


***


 小学館の学習雑誌のマンガは…… 年齢に即すと簡単過ぎたんだわ。

 マンガに関しては兄貴が読んでしまった後に貸してもらっていた。学習雑誌というにしても、そもそも「そういうところ」は読んでいなかったし。

 結局4年だか5年までしか買っていないんだよな。「芸能関係だったら明星の方がいいしマンガは別冊マーガレットのほうが」……マーガレットに変わったのはまた事情があるんだがそれは後で。親が泣くような理由だなww

 なおこの小学館の学習雑誌で印象深いのが幾つかあるんだけど。バレエ以外は兄貴の方だったな。

 「~の星」のタイトルのバレエ漫画。

 いやーこれはまじ面白いぞ。

 それとわたなべまさこの「ばらの中のリザ」。これは全部記憶にあるんで兄貴の「小学四年生」だったかもしれない。


 ……恐ろしい価格になってるんで記憶にあるストーリーを出しておく。


・孤児院に居たリザは友人の代わりにウェールズのケルト家へと孫として引き取られていく。

・道中、生まれたときに持ってたという小さなおもちゃの鍵を取られる。

・そこは何と大豪邸。貴族……? 優しい彼女は可愛がられる。

・そこへまた別の孫と名乗るキャンドルが顧問のケラー弁護士の義理の妹クリスチーナに連れられてやってくる。何故か取られた鍵をキャンドルがもっている。何かわからないと放り出された鍵をリザは大切に保管。

・そもそも孫に関してはケルト氏が勘当した娘のところをそっと覗いた折の後ろ姿の金髪しかわかっていない。二人とも一応同等の扱いを受けて育つ。

・そんな中でリザは小間使いの少年マイクとも仲良くなる。

・なのだがそこをキャンドルが邪魔する。勝手に溺れたキャンドルをマイクが助けるのを見てざわ。

・リザが偽物だ、という疑いが! リザを可愛く思っているケラー弁護士は何か証拠はないかと探し回る。するとケルト氏の娘がもっていたらしいオルゴールが見つかる。

・鍵はオルゴールのものだった。だが中に入ってたテープは何故かケラーの亡くなった妻の遺言だった。責任を感じたケラーさん姿を消す。

・心労でケルト氏ダウン。責任を感じたリザ出奔。キャンドルが看護。

・リザ出て行って入水しようとする。だがそれを助けたのはクリスチーナだった。どうやら何かしら彼女とリザの関係があるらしいことを口走る。

・マイクが眠っているリザを見つけて保護。クリスチーナがその後殺されて発見。

・ケルト氏は甲斐甲斐しく看護してくれたキャンドルを後継ぎにしようとする。戻ったリザはおつきとして披露パーティに。

・ところがその披露パーティで死んだと思われていたケルト氏の娘マリアがやってくる。

・何とマイクはマリアの子だった! 彼は甘やかされるのを恐れたマリアによって、あくまでお付きとして雇われていたということに。

・マリアの口からリザはケラー弁護士の娘であることが知らされる。キャンドルは全くの他人。身を引いて出ていこうとする。もともと詐欺目的だった。

・リザはキャンドルに孤児院時代の友人を紹介する。

・キャンドルは肉屋の看板娘として心を入れなおして働く。ところが配達に行った精神病院で知った顔が! ケラー弁護士が記憶を失くしていた。

・知らせて再会。記憶も戻った彼はまたケルト家に。そしてクリスチーナを殺したキャンドルの実の父親を弁護。皆で幸せに……という予感で終了。


 あんまりにも印象的な話だったんで結構細かく覚えているんだけど、キャンドルの父親が~のくだりだけ記憶から飛んでる。まだ理解しづらかったんだと思うわ。絵が暗かったのかもしれない。


 秘密戦隊ゴレンジャーの「小学五年生版」。

 このEAGLEがどんどん壊滅していった中で生き残りの五人が集結して~というのが胸熱だったんだよな……

 少年サンデー版とはその辺りが微妙に違う、こっちの版の出だしにときめいたよ……

 ……だからその後、サンデー版が「ごっこ」になった「らしい」となった時には「ちょおま」的な感じだったんだよなあ……


 あと「ラ・セーヌの星」。まあ兄貴が途中で旺文社の「時代」の方に切り替えてしまったんで、これとゴレンジャーはどうなったのかわからなくなったんだよな……


***


 で、「なかよし」なんだけど。

 時期が特定できたのは「高階良子の『昆虫の家』が別冊ふろくでついてきた号」が最初だった、という記憶から。これが1973年8月号。

 いがらしゆみこは「ひとつ屋根の歌」を連載して、まるやま佳が「トリオ・ザ・新撰組」をやっていたのではないかという記憶。

 連載途中から入ったので結構展開が訳わからない部分もあったので、「昆虫の家」のインパクトはでかかった! 

 というのも、これ「コレクター」と「寄生バチ」がまた大きな要素になるんだよ! 

 いやもうワタシはもうこの時点で芋虫系と蝶はまじダメで、それで学研の「かがく」で虫のページ見せつけられるようなことされたりもしたんだけど! つか今でも「アカムシ」を見開きで出した「科学」! 何考えてるんだ! と言いたかったよ……

なんだけど、この「ふしぎな虫」に関してはずっと頭にあって、まー何というか、今でもそれがテーマになってるマンガとかは好きなんだけどさあああああ。


***


 一方のチャンピオン。確か「ブラック・ジャック」が「古賀医院」の回だった号だったと思う。バセドー氏病にかかった子供の描写がなかなかえぐかったので記憶に焼き付いてる。

 この辺りからチャンピオン黄金時代に入ったので、非常にいいタイミングだった。「がきデカ」も「ドカベン」もあったし。

 「エコエコアザラク」も「のんのんばあ」もあった。石森章太郎の「番長惑星」は何かときめく展開だったんだが、訳がわからないまま最終回近くになっていったという。「魔太郎が来る!」は終わって、「ブラック商会変奇郎」がもうじき出るよー、という時期だった。


 チャンピオンは兄貴が中学入って卒業する辺りまでずっと買っていたので、当時の移り変わりが非常に印象深かったざんすよ。

 それとSFへの目覚めもチャンピオンだったよなー、と思う。この雑誌は「なんだかんだで巻末になってしまうけど原作つきSFを結構載せる」時代だったので、萩尾望都の「百億の昼と千億の夜」や、真崎守の「エデンの戦士」は今思っても、よく週刊でこんなクオリティの高い作品描けたよなーと…… あれ、もしかして巻末だったのって締め切りの問題だったのかも? 書き込み凄かったものなー。


 ちなみにこの翌々年辺り、ウチは裏に増築し出した。

 これは「土曜の家族マージャン(BGMにGメン75)半荘の途中で外に作った仮設トイレに行かざるを得なかった/んでその時の月がまた煌々と冷たく輝いて綺麗だった」という記憶のせいなんだけど。

 ただしこの増築、超中途半端で…… 実際全部は終わらなかった。未だに未完成の部分があるってどうですか…… まあともかく、それで内装ができるのが、兄貴が高校に入る辺りだった。

 で、ワタシはこの板張り天井の梁むき出しのところにチャンピオンのバックナンバーを順番に並べて延々読んでいた記憶もある。

 この「順番に並べて」「延々と」という辺りがもうオタク人生のはじまりだよなーwwww

 仕方ねえのよ。活字に囲まれてそこまで育ってきて別に外で遊べと言われなかった…… か、言われたかもしれないけど聞かなかった子供だったんだから……

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