92.大和真也の80年代SFシリーズ2/スターゲイザー

 いやもう明らかに杉真理の「STARGAZER」から取ってるよな、なタイトルなんですが。

 未完!しかも書き下ろし系4冊完結の予定の4だけが出なかったという!

 この話はやっぱり「ひっかかりがあったから何度も読み返した」のよ。

 以下記憶で書く。すまぬ。 


 表紙と挿絵はめるへんめーかー氏。

 ドラゴンとか出てくるし主人公は当初は「風の国」で皆一緒に育てられ、進路として「塔」で勉強する様になる…… あたり、FTっぽいですしおそらく半分以上は作者もその感じで作ってたとは思うんですが!


 1巻(カバーは卵色)と基本設定。

 世界は「偉大なるガリー」が作った階層状で、皆「上の国」に行きたいと思って勉強してる。そのガリーには「聖なるギャヴィ」という妹がいて、「塔」の元締め。何かこの二人はたまーに出てくるんですが、人に乗り移ったり、何かしらの能力を持った「十人衆」を持っているあたり。

 子供が育つところと、農場と商業都市と研究都市と「塔」が進路。

 本当の親は知らない。と言うか主人公達は「卒業間近」状態。まああれだ。地球へ…… の教育ステーション状態。

 主人公マーはできれば研究都市に行きたいけど自分の後見人が裕福ではない農民ってことで、無理だろーなー、と思ってる。のだけど、何故か「塔」からお誘いが。実は彼は「ギャヴィの息子」らしいということで。実際は「ガリーは本名を全て把握していることで皆手中においている、だが彼にだけは本名がないから支配から外れた存在」だったらしい。

 何だかんだでガールフレンドのキリーとお別れして塔へ行くことにして、そこで御勉強とか風の観測とか。この世界では風が光を運んでくるから、とか何とか。んでその塔のある地に少女が落っこちてくると。文字通りに。彼女は夏菜。当初は記憶がなかったけど、実は十人衆「歌うたい」の娘だったけどガリーに反抗して落とされた、という。

 で、同様に実は「器用な手」のジュニアだったキリーの親友サナ(「僕」一人称で美容師。商業都市に行くまで意図的に成績を中の上にしていた)が別口で呼び出され、光の目詰まりになってるドラゴンを皆さんと一緒に何とかしまして、という。

 そんでその後マーは「青の国」へ勉強しに。夏菜はサナと一緒に商業都市で暮らすことに。なおその時点でサナはキリーをおさんどんのために、ということで同居。ちなみにサナはキリーのことが好きだった、というんですが。

 短編が一作。「太鼓たたき」の弟子「鐘ならし」がガヴィと出会って話するおはなし。


 2巻(カバーはベビーピンク)になると、サナやキリーや夏菜や、塔の先輩ガヴィ(名前が似てて!)の話。

 どうも世界のエネルギーを秘めた意思を持ったぬいぐるみのポムとか、サナが学園都市に行って新たなガリーのプロジェクトに参加するとか、そのプロジェクトの言い出しっぺが二つ下の世界から上がってきたやり手の女で、自分の腹で子供を育てて産んだというレア人物だとか。キリーは塔でその間預かってもらうけど自分の好きなマーの知る世界をもっとわかりたいと勉強するとか。

 ただそれを地の文で言ってから、キャラに驚かせるという手法が何というか。で、その息子も「最近知って」というあっさりぶり。

 サナは一応それにつきあいつつ、何か探ってみる感じなんだけど、具体的に何をしているのか謎。

 一応この話の区切りとしては、サナとガヴィが一応くっつくことと、皆が育ったとこの校長? なひとが死ぬ前にガリーに取り憑かれてて、夏菜と話して「ジュニアが裏で手を組みだしてる」宣戦布告をするとか。


 3巻(カバーは柔らかい黄緑)はマーの青の国の話になって、飛行機を飛ばす話+この世界の構造(実は移民用コロニー型宇宙船団でした!)が語られるという。

 ここではマーよりはその友人…… 名前忘れた…… 守護天使ポムタムトジィという存在にギャヴィから任命される彼と、マーに今一つ失望してふらふらしていた夏菜の話でもあるという。

 だからおはなしとしては「この世界の人間の高所恐怖症は何か関係あるのか?」とか、飛行機(絵的には複葉機だったかな)を飛ばそう的な。

 てなことやっているうちに、最終的にパスワードを入れたら「脱出艇」切り離しスイッチを入ってしまって、という。

 そこで彼と夏菜が一緒に~というとこで終わってるからなー。

 

 ……なんですが。

 めるへんめーかー氏の絵だしSFだしドラゴン出てくる世界なのに、食い物がもろ日本なのよ……

 まあ1巻でイングリッシュマフィンを「ぶっこぶっこ」するのはいい。だが2巻!

 米を炊くとか焼き肉とか玉ねぎを炒めた上に水切りした豆腐って!

 世界観どこー! になってしまうんですね!

 絵と内容と世界構成力って難しいですねえ(空目)  

 


 

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