17.軽井沢シンドロームSPROUT/たがみよしひさ

 次世代話+オヤジ達になった元メンツの今、という感じで。

 やっぱり主要キャラが表紙に出てくる形。


1巻。

 一応主人公の相沢薫平くんぺい。耕平と薫の一人息子。

 高校→一浪→W大学の工学系の学生→中退→渡米→レーサー。

 一応彼の恋愛沙汰で区切るならば、長い付き合いの葛西綾愛かさいあやめちゃんとあと二人の女とふらふらして、最終的には気持ちは戻りつつも、それぞれ別の場所で仕事するようになる、という。

 そしてやはり走り屋の血は父親譲りなんだが、ここではバイクが出てるけど基本車ですな。

 一応恋人がいるんだけど後輩から惚れられたりやったり何だり。高校生の時点からそれかいお前的な。

 この時点で父親の耕平が「ファインダーのぞくと目が回る」状態。ただし仕事しなくなるまでに相当稼いでいたということで。

 ……正直巻末たがみ氏の近況マンガ見ても、何というか、身体が大変なんだな、というのがもの凄く。

 ちなみに純生(耕平の奥さん薫の弟)は絵里と結婚して二人の子持ち。

 つかこの世界、本当に血縁関係だらけなんだよな……


2巻

 ドゥカディに乗る「姐さん」。田口友子。次世代メンツでは一番年上。

 そらまあ、旧作のほうで女房と別れた田口が紀子か舞か迷う中に居た女の子がこんなに立派に。

 前作で探偵業だった田口と阿川がやってた吉崎匡一よしざききょういち出資の稼業が「吉崎なんでもサービス」になってて、田口一家がそこで動いているという状態。阿川は弁護士に戻って旧姓吉崎まなみ(匡一の姉)との間に子供が。

 そんで匡一は久美子と結婚していて三人の子持ち。

 田口は舞との間にも子供が居て四人家族。

 でまあ、この友子が妊娠して戻ってきたのちに流産してしまうというエピ。


3巻

 朝倉義時。彼がこの巻の冒頭で死んでしまうという。その後彼そっくりの久遠寺涼(紀子の親戚)が出て来るんだけど性格はまるで違う。

 んでもってこの義時の彼女がだんだん涼に惚れてくという展開ではある。

 ちなみにこの涼を追って木下由未子ゆみこ(久美子の親戚)がやってくるんだが……

 あとこのあたりで昔の耕平リスペクトな格好をしているダイさん(耕平のかつてのマネジメントとかしていた)の上の息子成瀬光なるせひかるが報道カメラマンとして登場。恋人の春原美咲はるばらみさきも一緒に出てくる。

 んでこの光が綾愛と言葉を交わす程度に偶然関わってくるという。正直この偶然はやりすぎ。

 ちなみにあいかわらず「ら・くか」のマスターやってる箕輪みのわ高成と奥さんの弥子さんの間にも子供が居るんだがそっくり……

 ただちょっとこの辺りからたがみ氏自体の後書きに身体の不調のことが出まくってくるんだよな…… つらい。


4巻

 義時の恋人だった千夏と、深い付き合いという意味では薫平の二番目の女な藍須あいす。ごめんすげえ印象薄い。

 千夏はまあ最終的には涼とくっつき、藍須はその後薫平とは別れ、族とヤクザの絡んだごたごたの中で傷害事件を起こしてしまう春原玲士れいじ(美咲の弟。これも偶然にしちゃ略)を「待つ」ことに。

 なおこの辺りからだんだん絵が濃くなってくるというか……

 この巻は割とガキのいじめられてる→反撃問題とか、薫平の三角関係のぐだぐだとか。息子のほうは父親のように全員を納得させるだけの力はねえ、という感じか。


5巻

 この時点の耕平ちゃん。40代半ば。じーさまが亡くなって遺産を受け取るために米国に行ったことでようやく立ち上がることができた、という。

 というのも、かつての仕事仲間のダイさんと、その秘書/元モデル/耕平の三人目の女だった久野縁くのゆかりが米国で射殺されたことでまるで駄目になってしまってるのだわ。ちょうど自分が行けなかった米国出張の際だったことも大きいんだよな。

 まあそれで何とか再起動して、放り出したままのジープを二郎に整備し直してもらったという。

 ダイの息子である光と昴と幸は相沢家のサポートで学校を出ていたり写真稼業に入ったり逆恨みしたりするんだけど。それは6~7巻。

 この巻はまあ春原玲士が綾愛をたまたま助けて(……略)から始まる身体ぬきの関係とか、由未子が涼を追いかけてやってくるとか、族とヤクザがらみの話とかのはじまり。


6巻

 で、表向きはこの↑の三人が問題解決のぶちかましに乗り出す……

 んだけど、実際は暇を持て余した大人ども(耕平・田口・匡一・二郎)が弥子さんの弟の一弥に奥さんの光子に伝を求めてだな。彼女は前作の最後辺りで出てきて唐突に一弥とくっついた(これはもう絶対ご都合だったと思うが)ヤクザの家の出なのだ。

 そんで族のおおもとである組の方に話を通して、ガキどもの行動をそれ以上広げないようにしたという。

 親父世代、最近こういうことがないから、とわくわくして手伝うメンツなのが何というか。

 知らずにあれこれやってる息子世代あわれ。

 という中で成瀬の次男の昴が耕平に逆恨みでやってきて殺そうとするんだけどー、ってとこで次巻。


7巻

 そんで次巻の続きで「あんたのせいで親父は!」状態な昴を兄貴もだが由未子がなだめて。

 よりによって、何も考えていなさそうな久美子そっくりの彼女が、実は交通事故で家族全部亡くしていて、しかも一度はその犯人の家族を殺してやろうとまで思ったことがあるという。

 ただその時には既に家族が自殺してた、という経験から恨んでもどうにもならないということを説くんだな。久美子と同じ顔で超シリアス…… 

 しかも昔の久美子がずっと学生でも職についてる訳でもないのと違ってフラワーコーディネイターで働いてるよ……

 そのまま久遠寺別荘に(涼が住み始めてから後やっぱり皆の溜まり場になっていた)昴も居着いて、まあこの二人もくっつく。

 てな中で紀子が子供つれてカナダから帰国。レーサーやってたらしい。耕平の子供なんだが、そのことは告げてなかったと。帰国の理由は彼女自身がガンでこのままでは余命幾ばくもないと思っていたからという。

 でまあ、耕平は米国で受け継いだ資産かけて彼女の治療に費やすし、薫さんは「やっと立ち直ったあのひとを(死ぬことで)苦しめないで」と生きる気力を出せと鼓舞。

 一方自分に母親違いの弟がいると知った薫平ときたら。

 もともと七年がところパニック障害で一見だらだら、だったことから父親を馬鹿にしていたけど、過去どういう奴で~とか知ってから更に苛立ち。とうとうケガしてるのに直接ガチンコ。さすがに耕平の勝ち。年季が違う。

 途中、戦場カメラマンの光が撃たれて下半身マヒ的になったりリハビリするとか何とか色々。

 んでもってようやく薫平は自分が何ももってないことに打ちのめされて大学中退。バイトして金貯めて渡米して、数年でレーサーになってましたとさ、という。


 何つかあらすじが上手く言えない話なんだよ相変わらず! 

 いや皆それぞれの物語を交錯させながら生きてるんだから仕方ないんだけど、前作よりは偶然が多すぎると思うんだよな。

 まあそれはたぶん、舞台が軽井沢だけではない、というのが大きいとは思うんだけど。

 軽井沢中心の耕平達の話と、遠距離な薫平と綾愛と光達の話が並行しているからややこしくなるんだよな。


 ……そして絵も変わるが…… 作者がもの凄く…… しんどそうな状態であったのが…… つらい……

 いやまじ本当にたがみよしひさ自体が身体がぼろぼろだったー、というレポなんだわ。

 それとは関係無いけど、兄貴の小山田いくもまだまだ若くして亡くなったわなあ。何というか。

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