54.ドカベン スーパースターズ編 全45巻+大甲子園 全26巻/水島新司
プロ野球編の続きの「スーパースターズ編」一気読みどす。
だだしこれ書くのにまず「大甲子園」読むのが必要だった……
スーパースターズ編には結構忘れてるキャラも出てくるもんだから、そいつらが誰だったか見ておきたいってことがあってなあ……
本当は「ドカベン」本編も必要な気もしたんだけど、これが案外安価には出てない。ということで後回しにした。
ただ思ったよ。
ドカベン~大甲子園は、「ハレ」で、少年達のはなしで、
プロ野球~スーパースターズは「ケ」の大人の物語なんだよな。
キャラの性格が大人であるかどうかはおいとく。そもそも明訓四人衆(微笑は普通のひとだと思う)はバケモノの類なんだから。
で、プロ野球編がだんだんつまらなくなってきた…… というのは仕方がないことで。
あぶさんと違って、現実と架空キャラの比率が悪い。
だからどうしてもバケモノキャラ達が現実の人相手にとんでもねえ記録をたたき出す数年、という話になってしまうんだよな。
そんで、高校生の時に尖がった登場してたキャラが結構大人しくなってしまってる。
大甲子園読んで思ったよ…… 犬飼知三郎、こんな怖いキャラだっけ、と。無茶苦茶怖いメガネだったわ。いや大好物ですが。
というくらい、あまりにもプロ野球編の彼がふにゃふにゃキャラになってしまってるってことなんだよな。
現実にさほど齟齬を起さないように…… ということだと、前回書いたように、「オープン戦~ちょっと~オールスター戦~ちょっと~日本シリーズ~オフ練」の繰り返しなんだな。
そんで現実の人出すぶん、架空キャラ達の物語が進行していかない。そこで何つか、フラストレーション。
なので、とりゃずオールスターズ編に関しては、「そっか~あの高校生達もとうとう家庭をもっちゃったのね~」に尽きる。
岩鬼と里中はまあ予定調和って言えば予定調和。
岩鬼はやっっっっっっと夏子さんと、里中は「まあこうなるだろうなあ」サチコと。
岩鬼がどんどんいい人になっていくなあ~と思わざるを得ない。
だいたい13~20巻が、岩鬼殿馬里中がまとまる段階で、29巻なんてもろ1冊ほとんどが里中とサチ子の結婚式関連だよ!
山田だけ↑の時期で「出会って」→「おつきあいして」→「遠距離恋愛になって」→「最後に結婚写真」。
これだけ考えてもこいつらが大人としてまとまる話って感じなんだよなあ。
そう、岩鬼。
プロ野球編のわりと最初のほうで、ずーーーっと好きだった夏子さん(この世界においては客観的に不美人に相当するが岩鬼的審美眼では美女)が実は政略結婚していて、訪ねていったら出産直後だった!ショック! だったんだけど。
この夏子さんが夫の会社経営が傾く→夫や姑から愚痴言われまくり→愛人つくられてしまった→娘(そっくり)連れて離婚して新潟に。
んで、ふと思い出したのか何なのか、涙交じりの「一見何ってことない手紙」を出したことで岩鬼が訪ねて行って、そこから良い方向へ。
岩鬼のいいのは、娘の遥ちゃんに最初から可愛い可愛い対応していることだな。まあ夏子さんそっくりということもあるんだけど、それでも前夫の娘でもあるのに……
そんで再会
→仕事と住処と小学校用意しておく
→引越し(神奈川の岩鬼のマンションの隣)
→しばらくしてから娘ちゃんが「岩鬼さんがお父さんだったらいいのに」
→プロポーズ→籍・写真だけ
→一戸建て買って引越し。
……殿馬のマンションの近くだったけど。嫁さんつきの。
単に描写省いただけかもしれないけど、一人暮らしの時のマンションも綺麗だし、一人で朝飯食う時も自分でちゃんとしたメシ作ってるような。
まあで家事はできる可能性はあるのよ。山田のとこの長屋に入り浸っていたんだし。両親がその辺りに引っ越したこともあるんだし(だがそれ以降彼の家族は大甲子園にすら出てこなかったが!)。
で、マンションの時点でも一緒にごはん食べたり~だし、無論その後の描写は絵に描いたような仲のいい家庭。娘ちゃんと一緒にランニングしたり、食卓囲んで~だし。友人も呼んでごはんだの集まったりもするし。
何かなー、彼に関しては、生い立ち的にホント、「温かい家庭に飢えてた」んだろうと思うよ。
没落したけど、金持ちの三男。ただしタイプが上の二人と違ったせいで、母親から疎まれて関西出身の乳母に育てられるんだよな。これが夏子さんタイプ。んで関西弁→うつる。
で、それこそずーっと家の中では無視されるほうだったんだよなあ。なんだけど、父母には「お父様お母様」呼びだし、どうも母親にはいつも好かれたそうだったし、ドカベン本編の中で、母親が過労で倒れてしまったときには、兄達よりずっと母親のこと心配してる。情が滅茶苦茶あつい。
そういう彼としては、それこそ望んだ家庭がやっと手に入ったんだなあ、としみじみしてしまうわけよ。
んで、最終的に近くに住んでた殿馬。
……彼に関しては、このスーパースターズ編初登場の女性野手「マドンナ」こと正岡華子さんが相手。
四国アイアンドックスのお偉方の娘で、バレエをずーっとやってたけど突然転進。そこはプロってことで、ちゃんと足は速いし投げるのも内野ならOK。打撃もそれなりにいけるし、使えるってことで採用。
この彼女が初めてスーパースターズと対戦したとき、殿馬の状況判断と理解・分析の速さにふぉーりんらぶ。それからずーっとアプローチ。全然隠れてません。すげえ肉食。
んで、正岡家に昔殿馬を教えたかったアルベルト・ギュンターのピアノがあるっていうんで出向いて。そこで自分のピアノで踊る彼女を見て何やら「お?」。
そこからどーもそれなりにつきあってたようでして。
なかなか結婚に至らなかった事情も、自由を愛するからこそなんだけど、そこんとこもマドンナの「生活は今まで通りでいい、ただ自分のものにしたい」ってことで基本別居という…… アーティスト同士の結婚ですな。
東京で試合があるときに一緒に暮らす、ということで。四国ではマドンナ自身が調子を崩したくないときには、殿馬が寄っていかない、ということもある、もの凄くお互いの元々の生活を尊重しているというか。
まあどっちも引退したら、音楽とバレエがあるってことで、これはこれでいけるってことだよなあ。殿馬の感情表現が決して多くないんで、そこに入り込んだこの肉食女子は凄い。
んで里中。
……ワタシは基本的にあまりこのひとはどっちでもいいんですがwwwwwww
いや、どー見てもサチ子が好きって感じには思えなかったし。そもそもサチ子自身(まあ彼女のキャラ自体が水島テンプレの勝気古風女子になってきつつあったから、更にどーでもよくなったし、プロ野球編では何故か岩鬼に何か傾いて、岩鬼もちょうど審美眼がおかしくなっててど真ん中が打てた時期だったし…… というのが一番なんだけど)っていうより、山田の妹ってのが一番頭にあったとしか思えないんだよなあ…… 別に腐な意味ではないんだけど、「山田家と親戚になりたい」が奥底にあったような感じが……
結婚自体はいいのよ。身体の弱い(大甲子園では死に掛けてるし)里中母と皆仲いいし。
ただどーしても恋愛っぽくないなあ、というのは…… もう水島マンガの美男美女という奴に求めても仕方ねえが。
山田は~
プロ野球編でちら、と好きな女子がいたっぽかったけど、それは無いことにw
で、今回は幼稚園の先生が好ましい感じで、何となく交際していた感じで。
その後母親の身体がよくないと新潟(また!)に戻って、……文通。とメール(さすがに時代だ)。
んでまあ、新潟に訪ねてったときに「結婚を前提として交際~」ということになって、だんだん話がじわじわ進んで。
新居は何と長屋のままがいい、と彼女のほうが言い出すという……
で、最終ページが彼等の式写真。
地味っ!だが山田らしすぎる!
……絶対こいつ等皆魔法使いだったと思うわ、結果として。結婚はしたけど。
ともかくそういう彼等の大人な事情が進展していくのは、長い間の読者としては、ほっとするところでありやした。
だが週刊で見てたらたまんなかったかもしれん。
そういうかんじ。
あ、大甲子園はこれを読むための参考資料として読んでました(笑)。
一応昔リアルタイムで読んでたので(笑)。
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