19.ブルーピリオド 1~7巻/山口つばさ

 キンドルアンリミテッドで1巻読みしたらやられた……

 んでもってこれは電子ではあかん、紙の本でないと、と思って即買い。とりゃず前半は6巻までのこと。



 「藝大受験」で2年生の半ばからがーっと突き進む6冊どす。

 藝大だぜ! 他の美大ではなく、東京藝術大学!


 1巻表紙の主人公は2年の半ばまでフツーに成績もいいDQNコミュ充だったんだけど、生の「絵」に出会って努力と集中でもっておっそろしいスピードで進化してくんだよな。

 いやしょーじき、「そうとう『いい』目」とそれを「開く」メンタル持ってねえとそれはできねえ。


 デッサン一つにしたとこで、その対象をしっかり見据えることができる精神していないと、まず努力以前の話。あの作業は実際どんどん頭が真っ白になってくんだよな。

 そんでだんだん描く時のポイントを先生にだんだんアドバイスしてもらう+ともかく描く・考える・手を動かす・そんで何より見る。そんでまた考える。

 そうするうちに自分との対話にどんどんなって行くし、テクニックが上がってもセンスは? とか色々、どんどん「あ、自分わかってねえ」ってのに気付くとか。


 3巻表紙は美大受験予備校で出会った天才。ただしコミュ障系。自分で「自分は上手い」と言えて、それがまた本当な奴。

 4巻も予備校クラスメート。メンタルめちゃくちゃつぉい。ともかく楽しむひと。

 5巻表紙はやっぱり予備校ともだち、藝大首席合格した姉を持つという女子。それはそれで色々あるよね…… そして藝大……。゚(゚´Д`゚)゚。

 6巻は部活の先輩。武蔵美に行った、主人公が絵をやるきっかけになった絵の描き主。この先輩の最初のデッサンの描写の時のイってる目はやっぱり正しいと思う。


 ワタシは大学の教育学部で木炭デッサンを1年やって(国語科だったんだけど、美術科の授業取って単位にできたシステムのおかげで)、その後美大予備校の通信教育をやりかけて…… 挫折した組。

 デッサンは本当にタメになった。夏休みには「スケッチブック一冊埋めてこい」が課題。

 教育学部の美術ってのは、必ずしも滅茶苦茶上手いという人の集団ではなかったからワタシが混ざれてできたんだけど。しょーじき美大予備校より素人が多かったと思う。

 その中でともかく木炭デッサンを、ちゃんとした先生に週一で教わって、来たい時にデッサン室に来てもいい、という許可をもらえたのは大きかった。ワタシがあの大学で学んで今でも有効だと思う数少ない一つなんだよな。

 実際そこで得たのは対象を物体として捉える「目」。たぶん美術部とかで真面目にやっていたら普通に習っていたことかもしれないけど、……高校時代はともかく中学の反動で部活したくなかったからなー……


(ちなみに他は古典の先生の「一次資料にあたれ」と、教育史の楽しさと、ラジオ体操の正式なやり方と、ロシア語の先生の「ともかく辞書を引けるようになれ」。……全然教育学部らしくねえwww)


 そのあと「美大予備校の通信教育」を取り寄せたんだけど、挫折。

 理由は単純で、「デッサン課題に必要なモチーフを用意できなかった」が第一。

 「スニーカー」だったらまだ何とかなったけど、その後「バケツとレンガと花」のように、モチーフを指定されて課題を出されたけど、そもそもそれが近場に無い。

 「ちょっと待ってそんなもの何処にあるの?」。


 そこからが「できるか/できないか」の違いでして。

 それでもしたい奴は、そのモチーフを根性で入手する訳だ。

 「その場」に行けないデメリット、だけど「その場」に通う費用を惜しんでいる以上はその努力を怠ってはいけない。

 けどそれで心が折れる程度だったら、それ以上は無理だわさ。

 ということで、ワタシは「美大生に憧れる・絵」に関してはすぱん、とあきらめたざんすよ。


 この主人公その意味では高校時代にマトモな先生とモノのある美術部に飛び込めたことが幸い。

 んでもって彼のもの凄く真面目に一段一段やってくとこと、やり出した時の集中力も。

 ついでに言うなら、学校の成績がいい段階で、「頭が回る/人の言葉の解釈ができる」ということかな。まあそれが裏腹になることもあったけど、「天才」でない(……努力できて約一年で何とかなる時点で凡人ではないけどよ!)奴が一つ一つ上っていくプロセスはやっぱり楽しいですわ。合格おめ!


 ワタシはここの主人公と違って「したいこと」はどんどん生まれてきたけど、「試してみて無理」をこうやって色々あって削って削って削って、残ったのが文書きと自転車に乗ることだとは思うんだけどね。

 ただそれでも「金が取れる文書き」になる努力はできないというのが、今のとこの結論ではあるんだけど。


**


 そんで7巻が出まして。藝大編スタート!


 これはフツーの大学でも言えるかもしれないけどさー……

 特に! こういう場所の場合はなあああああああああああ。


 ワタシは教育学部っー、少なくとも一般教養時点の二年間は何となーくある授業をできるだけとって出席してそれなりに可以上取って奨学金や授業料半免除とか寮追い出されないとかそういうこと考えて大学生していれば良かったけど、こういう人達はもう当初からやることがどーん! と自主性に委ねられてるっーか、それしかねえっーかの世界だからなー!


 そもそも入る時点でワタシが大学行ってた時に心配してたものなんかのことは考えちゃいねえ! の集団だしなー……


 んで7巻。

 ただでさえ八虎主人公はよりによって! ど素人から一年半で最難関藝大を受けて受かったひとだから、……そら「表現したいもの」どころじゃねえわな……

 それまでがふらふらしてた小器用なウェーイ君だった訳だから、やっとできた「したいこと」が「絵を描くこと」ってことでだーーーーーーっとやってきた訳だから、まあ、なあ。

 でもまあ自分がからっぽだったってことが判ったことはいいよね。

 一個一個何年も試して「やっぱりこれは駄目だった、次!」より彼の生き方は不器用なれどがんばれって気になれる。

 つか、ホント天才君、時にはこのひとの凄さ言ってやって欲しいわ……

 一年半で立方体の形もとれなかったど素人からそこまで行けるって異常なんだって……

 それだけのおっそろしい集中と繰り返しと試行錯誤と努力が短期間でできるってことが凄いんだって誰か彼に言ってあげてーーーーー。゚(゚´Д`゚)゚。

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