58.イシュタルの娘 全16巻/大和和紀

 1.2巻は今電子で無料で読める……

 ……そしてそれに引っかかった訳ですよ…… 


 だがしかし大和和紀マンガでは最長じゃね? ……知らないのがあるかもしれないけど。この方コンスタントに出してたから。

 まーとりあへず代表作とかで見ると、はいからさん7巻、ヨコハマ物語8巻、あさきゆめみし13巻だぜ。

 そんだけどこれ16巻!


 やっぱり大和和紀まんがは紙で読みたいので、1~14巻までをやっっっっすく購入して、15巻は何とかぎりぎり通常で買えて、16巻は「取り寄せ/時間がかかる」のでまあ何というかで入手。紙の新刊がぱっと取り寄せにくくなってるなあ。


 大和和紀せんせいだからまあ、「一人のキャラが大人になっていく描き方はできるんだけど老いまではできない」というのがある…… というのはある。主要人物以外は一種書き割りの様な部分があるから、ばあやはずっと老女的な。


(よしながふみが顔のキャラストックが少ないけど一人の人間が微妙に老いていく様を描くのが非常に上手いのとか、里中満智子は絵の劣化はあったとしても、昔からキャラストック多くて、大河ドラマ上手いひとだから、多人数の時間の流れ、老いを描くことに躊躇が無いのとも比較すると面白い)


 それだけど「小野於通」という謎の戦国~江戸初期を生きた書家の女性のあちこちに出てくるエピをつなぎ合わせて一生を作りきるのはやっぱり凄いと思うー。

 そんでやっぱり何よりも少女マンガ文法のエンタテイメントな方なんだよねえ。


 主人公の於通は人のエネルギーとか漂っている邪気とかみえるひと。

 そんで戦火の中、父を亡くし母と身を寄せた九条家の大御所さまとその辺りで通い合うものがあることから、書と不思議と両方の力をつけていき、またその書の関係で知り合った男とずっと正式ではないけど続いていく、という。

 ただしこの男に関しては正体不明なので、現実の近衛さんと同一人物ということにしてもらったという(笑)。

 ドラマとして面白いからいいです(笑)。


 で、信長-秀吉-家康に一目おかれ、大政所・淀君・お江与・春日局から師匠と慕われ、真田兄弟から妹と言われるというゴージャス感(笑)。

 いやこんだけありえない役満だったら嫌味になってもいいんだけど、そこは何というか「字(及び文化)」と「不思議」という反則級のものが(笑)。


 ここでその「不思議」の代表・飯綱太夫とその配下…… ははは、の忍び「ぬばたま」が大御所さんのおかげで付けてもらえたおかげで彼女は何というか(笑)。


 まあ何というか、大和和紀のキャラというのは、その辺りの役満が「ま、いっか」と許せてしまうタイプと、コマの端々に出てくるギャグ感が嫌味にさせないんだろなー。

 春日局にしても「稲葉ふく」としてのバックをちゃんと出しているから、どんだけ怖いことしても憎めないキャラになってるんだよなあ。


 この「基本的に誰も悪人ではない」という描き方はこのひとの美点だとしみじみ思うよ。

 たぶん「フツーに描いてる」はずなのに「え?」と感じさせる庄司せんせいとは()

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