181.70年目の告白~毒とペン~ 1巻/高階良子
ガキの頃読んでいた大御所作家さんが「そろそろ……」と自伝を描くというのは割とあるんですが。
いやこれは凄い。
一度電子で購入して読んだのち「これは紙で買って買い続けよう」と思ってとりよせましたよ。
何が凄いって高階せんせい、よくある女性作家の加齢によるクオリティの劣化なく、むしろ何というか、迫力が。
絵の方は、加齢に連れクオリティ劣化という問題が出てくるんですな、特にアナログの方は。
で、更に女性の場合、手に力が入りにくいから、という問題も出てきて引き上げる場合もある。
もっとも、加齢クオリティ劣化まで描き続けていられるということは相当大御所なんですがね。だから某庄司せんせいの様に頭でっかちデッサン狂いが滅茶苦茶になってきていても話を読みたいというひとがいるから出してくれることがあるんだろうけど。
河惣せんせいも絵の劣化は確実にあるし、メロディ本誌ではトーン貼ってないことが多いくらいんだけど、殆ど一人製作ということと、何だかんだで世界情勢とかへのアンテナはちゃんと張っていてその中で物語作ってるし、自分の政治スタンスも隠さない辺りがいい。無論あの方がメロディという、まず「大人少女マンガ」誌、メジャーというにはどうかな隔月誌において固定ファンが買い続けている状況であるからできることなんだよな。少女誌は何だかんだ言って週刊少年誌の様に買われないし、特に「大人少女マンガ」というのは基本昔からのファンのためにあるようなものだし。
で、高階せんせいなんだけど。
ワタシが最初に読んだのは小学校1年だよ! 「昆虫の家」だよ!
「コレクター」と「謎の館」「寄生バチ」ネタが詰め込まれた付録本一冊ぶん読み切りなんだが、いやーインパクトは強かった。つか最初がもうチョウの標本作る場面だぞ!
で、「なかよし」の看板作家の一人だったので、その後これでもかとばかりによく読んだなあ。「はるかなるレムリアより」大好きだったよ。あれは何というか、マジ転生・地球空洞説・神様いろいろとか「ムー」ネタ+幼い頃に体験した不思議を誰にも信じてもらえなくて孤立した少女が~な、中二心(小学生だったけど)のミックスフライ弁当なお話なんだよな。
かと思えば横溝・乱歩のコミカライズだったり、「十字架に血のさかずきを」なんて、マルキ・ド・サドの「残酷物語」からとってるよ。後になって知って読んでみたけど、よくここから取ったなー、キャンディ・キャンディとか載ってる雑誌に、と今になれば思うざんすよ。
その後講談社はこういう系列の話やらなくなったせいか、秋田書店のボニータがずーーーーーーーーっと今の今まで延々高階せんせいの場所だったんだけど。
秋田書店という存在はでかいね。ミステリーボニータという雑誌は地味に延々この類の話の書き手を生き続けさせてくれた。
それにせんせいご自身もアナログ的に、それでも画面アップデートしてくれていたし。
もう何というかこの方の場合は何というか、存在は地味なんだけど、一貫して少女ミステリ・サスペンス界で描き続けてきてずっと安定してたんだわな。まずそれが凄い。
そして、画力が落ちないのが更に凄い。
その画力でもって、毒母にこれでもかとばかりに育てられた子供時代、中学卒業して自立するまでのが一巻なんだけど、……いやもう、今の時代とは違う物理精神両面の酷さだわ。
その中で自分を卑下する心がずーっとついてしまったというのも当然。
ただここで昭和であり、「動く・働く習慣」が身についているというのは今の子供に比べて強い。
さて来月だか再来月に二巻が出るんだけど、どういう展開になるのやら。
そもそもタイトルが「70年目の告白」ですよおい。これはそうそうつけられるタイトルじゃないって。
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