13.ジェニーとナッキー。/何でもできちゃう歳はどうしたの金持ち毒母もちヒロイン二人。/河惣益己・庄司陽子

 ……いやー、「生徒諸君! 最終章・旅立ち」で完結してくれたと思ったら最近「kids」が出てきてましたよおい! ……はあ……

 ということで比較対照ちとしてみる。

 ワタシはジェニーは何だかんだ言って「ま、いいか」だけど、ナッキーは「……どう結末つけるつもりかい」というつもりでずっと買ってましたよ…… もう買いません……


**


 ナッキーは生徒諸君のヒロイン・北城尚子。

 ホテル王の娘。

 どうもこの最終章になってから建築会社も持ってるようだからホテル中心の北城グループのお嬢様だな。

 で、頭よし運動よし皆が彼女を大好き、だけど彼女には病弱(循環器に問題があったとこの最終章では言ってる)知能も低い姉が居て、母に捨てられ~

 しかも姉の死んだときに自分の存在を母に忘れられた時期もあり~

 まあ毒親ですね。おかーさん自体も悪い人ではないけど「運が悪かった」系の。

 ただこれが延々っっっっっっとナッキーを蝕んでて、一つ前のシリーズ「教師編」までつきあってたはずの中学時代からの友人→恋人の岩崎君と別れることに。

 で、この最終章になって…… 何つか…… 昔からの読者が皆引いてしまったというか。もしくは「それまでもやもやしていた部分の正体が分かった」。


・まず愛より教育っーでフィンランドへ留学。二十代後半なのかな。

・そこでも結構な「いい男達に好かれる」が肘鉄。

・戻ってきて自分の育った「過疎化の村に理想の学校」を作ろうとする。

・父やら恩師やらいろーんなツテで会社を誘致

 →その社員の子供達を手始めに理想の学校ないしは学校村みたいなものを。

・その後教師編で彼女に惚れていた「当時の中学生がやってきてまた求愛」。ちなみにこいつが沖田くん(死んだ一番好きだった人)とフンイキが似ている。

・なお友人達は皆それぞれにキャリアを。岩崎くんはアメリカでちゃんと家庭を築ける女性を見つけてクリスチャンになって養子婿入り。……描かれ方がもうまるでモブのナッキーマンセーキャラになってるのが凄い。吹っ切ったと言えば聞こえはいいんだが、「うん、今聖書勉強してる」にはさすがに引いた。

・ナッキーは年下彼氏とくっついて結婚はしない子供は育てられる性格ではないと、同棲のみ。

・何だかんだ文句は言われるが、「結局彼女の言葉に皆何か同意」してしまう。

・わだかまりがあって会えなかった岩崎君とも和解。

・んでそろそろその学校から更に外に出たくなったらしい。世界の教育の不便なとこに出て行ってしまった。


 ……ははははははは。

 そんで終わりかと思ったら、その時既に腹に男女双子できてて、数年後に双子「だけ」で日本に飛行機乗らせて実家に送ってきたという!

 ちなみに「おじい」「おばあ」と「おかあ」「おとう」という呼び方は何なんだ…… さすがにそれはちと……

 しかもその子供が全然母親を恨まない。時々スカイプで会話はしているけど、旦那である戦場カメラマンで、今は両親と一緒に暮らしてる彼は「今は会う時じゃない、こんな形で」と見ないという。おいおい。


**


 一方の河惣益己の「ジェニー・シリーズ」のユージェニー・ヴィクトリア。別名「炎の月」。美人の軍人さんです。

 戦友達は「ジェニー」呼び。家族はヴィクトリアから「トリア」。

 米軍少佐→傭兵→英軍大佐。

 ちなみに彼女とその取り巻き男達にはサザエさん時空が広がっていることは無視します。

 だって「ベトナム戦争で散々な場面を見てきて髪が真っ白になった」という初期設定ですぞ!


 米軍トップ(しかも名前が「ナシオナル」。)+名門の娘。

 なんですが、父親を憎んでいる母親から唯一父親の種の娘ということで憎まれていた。(他のきょうだいは全部別の父親)何度か殺されかけてる。

 かんっぜんなる毒母どす。殺し屋雇うくらいだからスケールが違う。

 ただし父親がそうではないか、いうとこれも怪しくて。

 父親の元帥は、初めて無条件で愛せる存在が娘だった、という育ちだったので、溺愛(+先代の意思もあり)→音楽学校の孤児院出の恋人との結婚を許さない。

 そこでベトナム戦争に志願。そこで伝説の存在になったのち、恋人と再会→結婚。歳も歳だろうし。

 双子を産んだ日に夫が事故死。

 双子が接合児だったことからともかく金が必要→実家に頼りたくない!→特技は戦争→傭兵に→二つ名の女性隊長。


 ……という前提。いやー凄い。無論ここで美人・ピアノが天才的・軍事も天才的というのはもうおいとけ。そういうキャラだ。そういうキャラなんだ! 親父自体がのしあがり軍人なんだから血筋的に!

 そんで、軍に入ったときS&Wを片手で撃てたというのも、ピアニストの握力は~という……

 で。

 一旦傭兵をやめたあと結構とんとん拍子に幸せになっていくんだけど。たぶんここいらからワタシを含めて微妙に皆様引いた部分があったかもしれねえ。


・分離した後も心臓移植が必要だった息子にも何とか臓器が間に合った。

 →こっちは天才軍師的。

・優しかった上の姉の嫁ぎ先だった英国公爵家に、テロで失われた家族の代わりに跡継ぎにと乞われる(この時姉夫婦とその子供達が全て殺されている→公爵に依頼されてテロ犯人達壊滅)

 →子供を育て易い環境と資産が用意される。

・とはいえその後も国際的どたばたがあり。

・ジェニーの母は双子に初めて会ったとき、既に母親と祖母の仲が微妙なことに気付いていた双子の態度に発狂。

・だがしかし発狂したことで娘への愛情だけ取り戻したらしい。双子が世話する。

・のだが退院したとこを国際的何とやらでジェニーに何やら思うとこがある奴らに母殺害され双子の片方誘拐。

 →ジェニーは母への心的決別。

・その誘拐がきっかけでカザフスタンと軍師な息子が関係を持つように。→その後そこの有力者の跡取り娘の婿に。何とイスラムに改宗。

・もう一人は父似で音楽の道へ。アメリカ人のまま英国で暮らす。

・並行して血がつながらないことを知ってから父を男として愛していた下の姉が父とやってしまい(病気だったか一服もられたかで、そっくりな母の若い頃と間違えた)妊娠。

 →中東の国の王妃ということにさせられる

 →出産後弱る

 →死亡

・一方で英国王子(架空の王子なんで名前は違います)が婚約者放り出して女公爵のジェニーに惚れる。

 →一晩の何とやらで子供ができてしまう

 →この時の子供は公爵家を継げて上の子供は自由に。

・どうも戦士の彼女に本気で囚われてしまった王子は戦場で死す。

・その後一番最初から彼女に一途だった部下のレッドに手綱をつけておかなきゃねとようやく。

・ところができた子供が自分以外にちやほやされるのに我慢できなかったレッドが娘を誘拐・逃亡。

・何年かしてようやく捕獲。

・何と育ったその娘は憎んでいた母親そっくり

 →愛せるのか? と疑問

 →だがレッドの育て方が良かった(姿は母そっくりだが中身は野生だし母親を愛せる娘)ことでジェニーは救われる。


 ……スケール違いすぎじゃん。

 なんでナッキーにはむかついて(笑)ジェニーは何か許せてしまうか書いてみて判ったやうな。

 結局、ジェニーの現実的行動力がハンパねえんだよな。

 ともかくちゃんと自分の身体張って命賭けて戦いに出てるし、女王に呼ばれればしたくもない格好もちゃんとできるし。

 河惣益己の女性高貴戦闘キャラと言えばサラディナーサもあるけど、彼女もちゃんとTPOに応じてドレスアップすることには問題無いんだよな。

 それはそれで武器、的な部分があるし。そういう点で現実的な訳だ。ナッキーはどうもそういうとこを自分風の方に寄せようとしてる感がある。

 あと「子供」。

 安定した生活に入ったあと、ジェニーからだけでなく、ばんばん子供が出てきたり生まれたりしてるんだよな。その皆をちゃんと守ろうとしてるし。

 で、そもそも戦う基本は「息子を守る」だったから自分本位じゃない。

 何だかんだ言って彼女は結構場当たり的であっても、生き抜く努力をしてるんだよな。

 ガキの頃母親に理不尽に苛められたときも、ギリギリになってでも父親に助け求めたり。そもそも「死んでおしまいヴィクトリア!」ってほんの小さな頃に言われる子供って…… 

 まあだからこそ、後に家に戻ったときに母親に空砲であれ、銃向けることができたし、後に母親を(任務で)殺したドゥシャを身内に入れるんだろな。

 彼女は母親の死で解放された。狂っていた母親には現実ではない自分が愛されていた、としてもそれはなあ。

 一方で「父の娘」でもあったから、これはこれでややこしいんだけど。

 こっちはこっちで愛憎面倒くさいというか。それでもこっちの基本は愛だから……まあいっかという気にはなる。それに彼への反抗でジェニーはお嬢様から成長したわけだし。そもそもの血が無茶苦茶な戦士なんだしな…… 

 いずれにせよ、愛された記憶があった、というのは強いということか。母親の強烈な憎しみも父親のより強い保護によって何とかなったということかなー。何せ国防会議より娘の電話でしたから、おいキング・ナシオ……


 そんで最後の話に出てくるのが、娘のスカーレット。

 これが姿だけレディの、祖母そっくり。だけど相方のレッドが「このままじゃ俺から離される」と誘拐して(笑)戦地連れ歩いく野生な育ちさせて、その上で「レッドが好き、だけどレッドはママが大好き」という刷り込みを散々しているくらいの愛に溢れさせた子(笑)だったので、ジェニーの「私は(母そっくりの)この子を愛せるだろうか?」という疑問を払拭できるんだよな。

 こういうあたりが河惣益己の(ご都合はあるとしても!)向日性なんだと思うわ。


 だから「え? ベトナム戦争出てたんだよね?」みたいな部分が「……ま、いっか」ということになるんだよな。それを言ったら、同じ作家の「ツーリングEXP」の二人は実はもう幾つのカプだ、ということ考えて恐ろしくなるから!


**


 比較してみると。

 基本ナッキーの行動って、恐れとか逃げとかから来てる感があるんだよな。

 そこに理論武装しているような。

 ただ外見上スキルが高いので、何とかごまかせてるとこがあったようだけど。

 ただやってるのが「教育」である以上なあ……

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る