14.大奥 1~17巻/よしながふみ
隔月刊MELODYを基本このために買っているワシである。
現在14代家茂(右)が亡くなってしまいました…… そろそろまじ幕末です。
で、締めの14代は(15代は大奥に入らないから最後)、最初の三代家光では否定的に扱われた異性装を自主的肯定的に持ってきたこと、毒親問題、それに最後のまとめはシスターフッド、同性間で子供を持っても構わないのではないか、というものまで盛りだくさんだわ。
和宮はとりかえばやでやってきた「本物の和宮の姉」の親子で、ずっと母親に放っておかれて、何とか自分の方を見てほしいと思っていた娘。
なのだけど、家茂があまりにも健やかな精神の持ち主であったがためにだんだん癒されていくというのはええよな、と思う。
母親がどうしても息子に会いたい、と思い思い詰めてしまったので、親子が頼んで京都に帰してもらうことが決まった時、母親からの言葉にどうしようも無い諦めの表情。
そう、嘘でもいい訳だ。こういうのは。
嘘でもいいから可愛い、愛していたということを言ってほしかった、というのがある訳ですよ。
でもその嘘すらつけない母親に親子はさすがにもう諦めの表情になるしかないわな。
そんで母親を帰してくれたことを感謝して自分はどうなってもいい、という彼女に家茂は「自分が居る」という訳だ。
実際将軍という立場にあると、同等の友人というのはできない。頂点にあるだけに、全て臣下ということになる。御台所だって通常なら下になってしまう。
だけど彼女達の場合、「宮」であることで上下が曖昧になっているという特殊性があった訳だ。
この曖昧さが、立場は家茂が強いにせよ、「同等」にさせている。ここで「女の友情」が出てくると。
で、家茂は持病の脚気がどんどんひどくなって、とうとう若くして不妊にまでになってしまう。
それ自体はきつい現象なんだけど、何と言っても家茂の性格が前へ前へと行くものなので、それこそ親子がびっくりする様な提案(二人で養子を取ろう)をしてしまう訳だ。
ちなみにこの和宮に関して、「足が不自由なはず」「手首の先が無い」というアレは、「和宮替え玉説」を使ったな。有吉佐和子の「和宮様御留」でやった。
しかしとうとうこのとっても良い(善い)性格の家茂! 史実通りお亡くなりになってしまった…… 最後に「親子さまに会いたい」と言い残して。それで今(2020/4時点)和宮も呆然として何もかも辛くなってる。
*
でもまあ、ともかく慶喜が男と出ているし、彼は大奥には用は無かったから、この人達のエピでラストなんだよなあ。
んでまあ、代々にあった「女であったことの辛さ」とかだと。
三代家光
・そもそも存在が。
・意に染まない男装→これは時代の移り変わりで率先して女装に変更。
・度重なる妊娠出産→による早世
・好きな男との間には子供ができない
四代家綱
・母親の側室に惚れたけどどうにもならない
五代綱吉
・「父の娘」。父親を裏切りたくないがために必死で跡継ぎを作るふりをする。
・一粒種の子に死なれるが、次を作ろうとしても既に生理が終わっていて作れない。
六代家宣
・病弱。
・相和していた正室との間に子供が育たなかった。
七代家継
・病弱→早世
八代吉宗
・為政者としては優秀だったが、母親としては?
・後継の家重の身体不自由→大御所
九代家重
・言語不自由+身体が自由にならないのに知能は通常、もしくは高いからのジレンマ
十代家治
・一粒種の早世
・仲の良い正室との間に子はできなかった
十一代家斉・十二代家慶は男
(だがしかしこの時の家斉の母親がサイコパスだったという恐怖)
この間の女性としての何とやらは、
・出る釘だったゆえに当時としては優秀すぎて打たれた田沼意次→娘を殺される
・男として生きたかった、学問と女を愛する平賀源内
十三代家定
・父親による繰り返されるレイプ
・女としての母親の嫉妬から見捨てられる
・父親から正室との間を嫉妬されて毒を盛られる
・三人目の正室によって女としては幸せを得られる
・だが毒の後遺症→早世
十四代家茂
・毒の後遺症→身体が弱い
・女の和宮を送られてくる
・早世……
何というかもう。
まあ男子も面倒ではあるけど、女子だと「世継ぎも産んで政治もする」というのは大変すぎるわな…… 時代が時代だけに。
女系は「確実にそのひとの子供」であることはわかるんだけど、子供の致死率が高い時代には向かないわな…… それこそ、産める身体であることが一番の価値になってしまう。
……んでまあ、次の巻からは史実的に考えれば家茂亡きあとの徳川家を残った三人(親子・天璋院・瀧山)+青木と津川で組んで何とか残していくという話だろなあ。
大本の「続徳川の夫人たち」の最後は天璋院が立ち退く時に大奥に幻影を見る、という感じだけど。よしながふみはどう〆るかなー。
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