88.若草物語/オルコット
ちょっと昔からのお付き合いな読書のことについて。
端的に言えば、「少年少女世界名作文学」っーぶ厚い本で何度も何度も小学生の時繰り返し繰り返し読んで、その後文庫とかでできるだけ内容が沢山あるもんを探したり訳によって違ったら時によってはそれも揃えたりー、というものですな。
ちなみに。このぶ厚い本達はうちの小学校ではまず誰にも読まれることがなかったんで、ワタシが読み放題だったざんすよ!
なのでとりあえずまずはこれだ。「若草物語」。オルコット作。
「四人姉妹」と言えばこれ。「四代目~」でもこのパタンを使ってるわな。
性格が違う四姉妹とその周辺のひとびとの話。「アン」よりはこっちなんだよ。
これが一番よく知られているのは最初の話。実際は「第四」までありまして。
最初が少女時代。
次が青春と結婚。
そんで第三からはアニメで「ナンとジョー先生」ってのが作られたけど、ジョーがマーチ伯母さんから貰った家を使って「扱いにくい子供」ばかり集めた学校を開いているという。
第四はその少年少女が大人になったり、いきなり作品がブレイクしたジョーさんが人気で大変なことになったり、という。ローリーが作った大学に通ったりですな。
ただしこの中の元少年がジョーさん達の知らないとこで事件に巻き込まれて囚人生活をしてきたこともあった、とか、その末に亡くなってしまうとか、重い話題も多いよ!
実際のとこ、三と四は読みづらい。人が増えすぎるんだな。「その後」話の難しさは既にそこに出てますがな。
なのでだいたい映画になるのは「続」まで。
ジョーさん(オルコット自身がモデル)が結婚する辺りまで。
彼女を軸にして映画とか作ると、どーしてもそういう構成になるわな。
ちょうどお隣のローリーと、続編で都会で一人家庭教師している時代に出会うドイツ出身ベア先生との対比が目立つ。と、同時に彼女のファザコンぶりも判る!
かと言ってこの姉妹の親父が果たして本当にいい親父かというとまた微妙で!
おはなしの中では「瞞すより瞞されるほうがいい」みたいな感じだったな。友人に金貸してそのまま返って来なかったという。
まあスタンスとして、最初の話でも長女メグが金持ちの友人のとこに招かれて、綺麗なドレス着せられて化粧してもらって~という話のタイトルが「虚栄の市」。そういう世界で聞いた夫人達のこそこそ話にうんざりして家に帰ってきてほっとする、という。
とは言え、彼女達は質素に暮らしていけば一応格別に働かなくても良い程度の中流ではあったんだよな。
おうちはちゃんとある訳だし。
メグの家庭教師もジョーの伯母さんのとこでの小間使いも一種の小遣い稼ぎのアルバイトだった訳だし。
そもそも家にハンナというばあやが居て、その視点での「貧乏って嫌よねえ」なんだから、まあお察し。
親父は従軍牧師ということなんだけど、戻ってきて別に仕事らしい仕事していないということで、まあ不労所得は存在していたということだな。
まあそれはともかく。
長女メグは金持ちだった時代を知っていて、非常に「普通」に「綺麗なもの」「金持ち」とか好きだった訳だけど! 結局はローリーの家庭教師だったジョン・ブルックさん(そもそもこの名前のある意味匿名性が!)と結婚するんだよなー!
で、その若奥さん時代が「続」の結構見どころなんだけど、当初は張り切る訳よ! だけどやっぱり途中で「金持ちじゃない」コンプレックスに押しつぶされそうになって。「いつか君はそういうと思っていたよ」と少しぎくしゃく。そこんとこお母様と相談して何とかなって、何だかんだで双子出産でその後は難なく!
まあこの双子を育てるというのに、教育者でもあるお父様の存在が役立つ訳ですが! 近くに住んでる祖父母、という奴ですな。
で、ジョーさんはまあこの少女ではなく青春から大人の時代はこの性格のせいでぐだぐだになっている訳ですが。
これは読書や物書きスキーの女子、そんでもって「女の子らしくない」と言われてきたある世代にはがっつり来るタイプだった訳ですね。だけどその性格のせいで、マーチ伯母さんの欧州行きにはついて行けなくなるんですな。
この時期にはエイミーがマーチ伯母さんのお気に入りになっていたんですな。最初の話ではガキ! だった彼女の青春真っ盛り。
彼女は自分で言うところの鼻の形以外は美人だったし、ベスが猩紅熱で寝込んでいた時に隔離でマーチ伯母さんのとこに行かされた時に結構それまでのわがままがたたき直されたということがありまして。それ以来、ジョーよりお気に入りになっていた節があるんですな。
で、ジョーさんにふられたローリーは傷心のままやっぱりじーさまと欧州に行くんだけど、そこで再会。その間にベスが亡くなったり、取り巻きの金持ち青年に求婚されたり色々あるんだけど、何だかんだでローリーとくっつくという。
振った方のジョーさんはともかくその時期ベスのことで手一杯だった訳で、ローリーが「考え直してくれないか」と手紙送っても「それどこじゃない!」だった訳でして。結局は同じタイプのジョーより、自分の生活において上手くいくだろうエイミーとくっついたという次第。
んでベスですがな。
最初の話で猩紅熱やって……
それ以前に! 彼女はそもそも「学校には通えない人見知り」という設定がありましたな。
この時代だから家事とある程度の読み書き計算ができればおうちに居るというのも可能だったんだな。それでも歳より幼くて猫や人形と遊んだり一人きりの世界に…… で、ジョーさんと気が合うというそれって。
まあ何というか、社会には出られない子だったよなあ、というのをさりげなーくだか、当時の普通の見方として書いてますがな。
で、猩紅熱やった後はまためっきり弱くなってしまって、何処がどうという訳ではないけど、どんどん力が抜けていって、時々手芸するくらいになってしまい、次第に起き上がれなくなって、とうとう亡くなってしまうという。
途中ジョーが懸賞小説の賞金をベスとおかーさんの保養に使う、というのもあったな。ベスの亡くなる原因は露骨には書いてないんだけど、まあ当時はそういうのがよくあった、ということかもしれない。
んだが、ジョーさんはこれでどーんと落ち込んだ訳だ。彼女と、ローレンス老人もだな。孫娘の様に可愛がっていたから。
そのどん底のとこでフラットに物書きしたら何か今まで書いてたものとは違ったかんじでいいものができてきたという。
で、それを読んだベア先生が訪ねてきて求婚するという次第。雨の中ですよ! ロマンスですよ! メグ(マーチ伯母さんの追求のどさくさ)やエイミー(小舟に一緒に乗っていて)よりどらまちっくではないですか。そこはやっぱり作者投影ですな。
……ということを何も見ずに書けるくらいには数十…… ではないにせよ、十数回よりは多く読み返してるんだよ。これ。
なのでまあ、ついぱっと思いつかないと使ってしまうのがこの四姉妹設定ってことで(笑)。
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