114.エスカレーション/倉田悠子

 いやびっくりですよ。

 まさかその昔、大学時代寮の皆で興味しんしんで見た「くりいむレモン」の二番目、「エスカレーション」の三部作ノベライズが復刊するとは!

 いや以前何処だったかな…… 文庫で手に入れたことあったんだわ。そん時は「うわぁその後そういう展開になるんかいな」とびっくらしたんだけど。

 それにしても。

 いやこの本の…… というか「倉田悠子」氏が、稲葉真弓氏の変名だったというのがそこで出てきてですな。(とは言えすまん稲葉氏自体知らなかったんでぐぐったらびっくりだったよ)

 当時のラノベはですね、正直今と比較して無茶苦茶文章が上手い人が多かったんですよ。

 つか、ノベライズと言っても自分の個性がもろ出てる人も多くって。小野不由美だってゴーストハンターシリーズは元々ホワイトハートの前身のもっと軽い奴だった訳でなあ。

 誰でもが小説を書ける、というか認められるまでハードルが高い時代だった訳ですよ。そういう中で出版社から声掛けられて書くラノベなりノベライズってのは、まあ何というか実に文章として出来がいいものが多い訳です。

 つか、まだ「ラノベ」じゃなく「ジュブナイル」だった時代かな。

 コバルト文庫にしたってもっと行間が詰まっていたし、ちゃんと「小説」として読めたざんすよ。いや…… 例外もあるが…… まあそういう場合は淘汰されていったし。

 中学の時なんぞ、地元の人がソノラマ文庫で明らかに「夏への扉」インスパイアなタイムトラベルミステリーな本出していたしな。「猫の尻尾も借りてきて」だったかな。どう見ても対象が中高生~大人だったざんすよ。中学校に一番近い本屋(小さい)で地元の~と平積みになっていたざんすよ。その時買ったんだけど! 何度も読んだんだけど!

 ブログ2012年までやられてた様ですな。凄くすっきりさっぱり読みやすくいいおはなしだったのに何ですかこの一冊しか出なかったんですね……(T_T)

小林弘利氏もよく高校の時に読んだけど、え、太陽それで大丈夫なの? とか死んだはずと思われてた行方不明になっていた間の人々どうやって生きてたの? とかツッコミどころはあったけど読みでがあるジュブナイルだったよなー。


 とか何とかいう時代の中で倉田悠子氏はくりいむレモンシリーズをノベライズ化した訳ですよ。いやまじこれは今でもとっておくべきものざんすよ。

 つかくりいむレモン製作側、「禁断の愛」としてまず義理の兄と妹を出してきたのはわかるが、二番手にこれだったのはどういう……

 いやまあ、そのショックたるや凄かったのは事実なんだけど。


 ともかく当時懐かしいと思われる方は今はもう鬼籍に入られた氏のこの時代のみずみずしい文章を堪能あれ、だわさ。

 こういう部門をきちんと上手く書けるからこそ、その後のご活躍もあったんだと思うぞ。


 

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