50.玄椿 全12巻/河惣益己

 まあ「グロ椿」とか言われてるところもあるけど、個人的には「祇園とかの知識ありがとー」マンガ。


 河惣益己の本ってのはふっと思い出した時にざーっと読みたくなるんだよなあ……

 で、「玄椿」ですが、京都の祇園を舞台にしたおはなし。

 メロディを毎度買い出した頃にはもう終わり近くだったのでよく判らなかったけど何か気になって安く全巻買ったら大体期待裏切らず面白かったんだよな。


 ただしこの話は初っぱなが「自分の舞を伝承させる子供が欲しい」で色んな舞踊的才能のある男と寝てる展開だったから、そこで退くひとは居たかもしれない。好かない人は好かないだろうなあと思う。


 つか、河惣益己は基本ツーリングEXPに代表されるようなスリリング系男×男ものと、ジェニーシリーズやサラディナーサの様な特殊な血筋のチート女傑の話を描くひとなんで、その後者と思えばさほど違和感は無いわけで。

 ただその舞台が戦場とか歴史やFTでなく現代の京の祇園というだけのことでして。


 ちなみにこの話、全12巻が大体3パートに分けられてると思えばいい。

 1~4巻はヒロイン胡蝶(結花)自身の舞と人間関係と、あと神様とか異界のものとの関わりのこと。

 5~7巻では新たに舞妓を入れて、彼女達の舞妓としての成長と、彼女達に教えるという形で祇園の文化が楽しく出てくるという部分も。まあこのあたり終盤でそれまで胡蝶の旦那と祝言あげるとかあるけど。(ただししきたりで籍は入っていないという面倒さはあるんだけど)

 8巻だけは番外的に東京の神楽坂の話。途中から胡蝶達も出てくるけど、基本的にこの巻だけは東京の芸者世界のはなし。

 個人的にはこの舞妓になる子達の話が好きだなあ。

 陸上やってた170センチ越えの子がだんだん所作覚えていったり、正月エピとか、肺活量が凄いことから笛を本気でやるとか。

 で、最後の9~12巻は元女将と連れ合いが亡くなった後の遺産相続と本家、胡蝶の旦那の従兄弟達との話が入ってくるんだけど。

 まあ基本的に最後に向かった構成だわな。舞妓ちゃん達は4人居たんだけど芸妓になったのは二人。とか次に入ったのは祇園出身の女医さんのハーフの娘。

 そんで前述の従兄が胡蝶に惚れて、真面目さに彼女もなかなかそれはそれで相手して。やっとこさ子供ができて生まれて。

 そもそもの胡蝶の母親は実のとこ稲荷山の神様と人間のハーフでしたと。彼女がいろーんな神様とかに好かれるのもその辺りの血があったとかなかったとか。

 これが出てくるのが最終巻なのだから、ちゃんとそこに持ってこようとしていたんだろなー。


 最終的には「芸妓をしながらも自分の流派の舞も作って」これからも好きな様に舞って生きてくよー、という。


 何だかかんだで上手く構成されてるなーとは思う。

 ただ妊娠出産で〆るのはジェニーとだぶるかもな。

 とは言え、この話の冒頭が「自分が母のそれを継いだように自分の舞を継いでくれる子供が欲しい」だったから、そこは整合性とれてるのよ。

 ……まあおそらく、連載時はやはりトーン無しとかもあったんじゃないかと思うけど、今の様な絵の崩れはなかった華の時期のまとめあげかなあ、と思うざんすよ。


 ちなみに今連載している「蜻蛉」は国際情勢をかなり当てこすった古代FTなので楽しいざんすよ。

 この方何だかんだ言ってずーっとツーリングやジェニーやってるから国際情勢や軍事も調べて見てるので、割と現在の中国と周辺諸国、それに日本との関係とか透けて見えて楽しいw

 最近は仕事が減ったせいか連載のほうにもちゃんとトーンが貼ってあるしな…… 微妙だけど……

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