174.漂流ネットカフェ/押見修造 とオタキング推しのハニワットな武富氏の鈴木先生に通じる何とやら
今回は辛口、というより生理的不快感系。
「漂流ネットカフェ」は旅先で何だかんだで全巻読んだんですな。
ちなみに読もうと思ったのは、「漂流教室」ネタだったからなんですが。楳図せんせいのあれは名作。
ただまだ作者が別マガで「悪の華」とか描いてた人と頭で一致していなかった+あれほど強烈に個性を出していなかったから、後で「しまった」となった次第。
これと、オタキングが今推しまくってる「古代戦士ハニワット」の作者の「鈴木先生」(ドラマ化あったんだ…… とびっくり)がどっちもKindleアンリミテッドにあったので読んだんだけど。
ダメだー! となったわけだ。
あれだ。日本の古典的純文学の中にある自己曝露的どろどろした何とやら系!
ワタシはあれが全くもってあかんのだよ。
「漂流ネットカフェ」はともかく出てくるキャラがこれでもかとばかりにどんどん嫌な感じになってきて、それでも主人公は…… かと思ったら、全ては主人公の妄想パワーから来たんかい! しかも中学時代の初恋の人をずっと引きずってたんかい!
キモい、とは言わない。きもちわるい。
それを赤裸々に描く辺りで共感できる人には良いと思うんだろうし、ああそういう人もいるんだなー、もあるんだけど、単にワタシにはあかん。生理的に。
で、それが「鈴木先生」にもあったわけだ。いやこれはシンプル。若いかもしれんが中学の男性教師が一人の女生徒に一種の聖域的なもの見ちゃう辺りがもうあかん……
で、だ。
だったら読まなければいい、というのあるんだけどな。
これが夏目漱石の「三四郎」で「こりゃあかん」となったように、文体そのものににじみ出る嫌悪感で「パス!」となるようなものならいいんだけど、オタキング曰くの「マンガが上手い」流れでつい読んでしまって、結果的に不快感もやもや、となる訳だ。
小説は要素が文字を追っていくことのみの伝達方法なんで、そこに不快感があればもうアウト。「文章として上手いのかもしれないけど何か上から目線で腹が立つ」を地の文で感じたらもう読めない。
ところでマンガで辛口になる時で「きもちわるい」と「腹が立つ」の二つがあるんだけど、後者は「びわっこ~」の様に、「中途半端な知識な奴が偉そう」「他者と自分を比べて相手を貶めて自分を上げようとする」の、自分にどっか共通項がある場合なんだわな。
自分の中にそういう部分がそれこそ幼少時からある(これは小さな頃にそうワタシに言った母親の呪縛かもしれんが)ので、こういう作品の場合、「買って」文句を言うことにしてる。じゃないと何かフェアではない気がするんで。
でもそれはやっぱり「自分と似てるから」という自責オナニーかもしれんがな。
で、もう一方は「きもちわるい」だな。
「キモい」という言葉は好きではないので使わないんだわ。内容のえぐさに対して軽すぎる。やっぱり感情を込めて「きもちわるい」と言いたい。
ちなみに内容が酷い、性格が酷い登場人物の話というものは女性コミックにも散々ある。というか結構楽しんで読んでる。ただそれは大概他人事程度の軽さで描かれ、なおかつおそらく作者も「仕事として」描いてるんだなあ、というのが透けて見えるからなんだけど。特にコンビニ系な雑誌用なものは。
一方で女の生々しいえぐさというものとか描いて問題作とかされるものとかに関しては、これはこれでそもそも共感もさっぱりできないのでやっぱの他人事なんだよな。視点は女性で、しかも男性相手の恋愛系だったりすると、もう本当に理解不可能な世界なんで、ああ関係ねえ、とまず見ない。マンガとしての仕掛けをあまり作っていない場合も多いし。
だから「きもちわるい」系が、一方で話題作とされるのは判るのよ。「マンガとして上手い」がある訳だから。そこに赤裸々な純文学的内面が出されればだな。
だがその男の隠しておきたい何とやら、とやらというのはこっちとしても「見たくねえ」ものなんだよな。
日本の純文学の伝統に直結しているとは思うけど、これはやっぱり「きもちわるい」のだわ。
ワタシの専攻が近現代文学だったとしても、所謂名作がどーしても馴染まなかったし研究もしたくなかったのも、そもそも「読めない」からだった訳で。
その系譜にある作品だよな、と思った次第なんだわ。
しかし何というか、男は中学の時の初恋とか少女にそんなにこだわるもんかいな。
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