第27話 もじもじジレジレ
「バイバイ三枝君、またね♪ ちゃんと返事くれないと私拗ねちゃうからね?」
「茜ちんじゃあーね! 後で写真送るかんね~」
余計な一言を言い残した二条や明乃と別れ、
「もう少し話したいけど。お母さんの手伝いしないといけないからまた明日ね、茜君。夜、メッセ送るね?」
香帆も手を振りながら家の中に入っていった。……いや、お前手伝いとかほっとんどした事ないだろ! なに無駄にポイント稼ごうとしてんだ!?
そして今は家の玄関の前に俺と茜だけだ。
「翔平、なんであんなことを……」
「だってあぁでも言わねぇと収集つかなかったろ?」
「そうかもしれないけど……。進藤さんに知られたら……」
「いやいやいや、別に連絡先交換くらいじゃなんも思わないって! 普通普通! 俺だって何件も入ってるし」
入ってるだけで連絡取るのなんかはホンの一部だしな。向こうから来れば返す。そんなもんだろ。
「そうなの?」
「そうそう! だから気にすんなって! ……ってあれ? お前って美桜の知ってたっけ?」
「……し、知らない」
おぅ……そこからか。
さて、どうすっかな? 余計なお世話の様な気もするけど、このままじゃ聞けずに終わりそうだしなぁ。それに美桜も聞きずらそうなんだよな。
こないだ夜にメッセ来た時もなんか遠慮気味だったし、「三枝が良い奴なのはわかってたけど、今更……ねぇ?」って言ってたもんな。
多分、見た目が変わってから好意を抱いた事に戸惑いと嫌悪感があるんだろう。そういう奴は応援したくなる。手のひらクルンクルン高性能モーターな奴らよりよっぽど良い。よし!
「ちょっと待ってろ」
「え?」
俺はスマホを出して美桜のIDをコピーして茜に送る。
「え、これって」
「それ美桜のな」
「はいっ!?」
そして更に速攻でとあるメッセを作って送る。相手は美桜。内容は、
『茜が美桜と連絡先知りたがってるから教えていいか? まぁ、もう教えたけど。だからこれ茜のIDな』
ピロンッ♪
おっ、早いな。
『へっ!? ちょっ!? えっ!?』
『あ、茜の性格何となくわかるだろ? 美桜から送ってやれよ? まぁがんばって』
『あ、えっと、ありが……と? ってちょっと待って! 頑張ってって何!? 電話する!』
~~♪
メッセが届いた後、すぐに美桜から電話がかかってきた。俺は茜に一声掛けて少し離れる。美桜の奴声でかいからな。下手に聞こえてもまずいし。
「はいはーい」
『はいはーい、じゃないでしょ! ちょっとどういうことなのさ!』
「どうって、友達なら別におかしいことじゃないだろ?」
『いや、まぁ、それはそうなんだけどさぁね……。けど、なんかこう……なんか恥ずかしいというかなんというか……あぅ。あーもうっ! 深山に変なこと相談するんじゃなかったぁぁぁ~! あれだからね!? まだそうだと決まった訳じゃないからね!? 』
往生際の悪い……。
「それに関して何か言ってもいいけど、今一緒にいるからな?」
『ひ、ひゃうっ! そ、それを早く言ってよっ! バカアホ深山っ!』
ブツッ!
あ、電話切れた。そしてその直後、茜の元に戻ると茜のスマホが震える。
「あ」
「ん? どうした?」
「し、進藤さんからメッセきた……」
「ほう、早いな。んで、なんて?」
「こ、これ……」
そこに書かれていたのは、
『進藤美桜です。よろしくお願いすます』
だけ。いや、誤字ってるし。なんだ? 緊張してんのか?
それにたいしての茜の返事も、
『三枝茜です。こちらこそよろしくお願い致します』
これだ。……いや、お前ら固いわ! 初対面の自己紹介かよ!!
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