惚れるとデレちゃう隣のクラスの地味子ちゃん(旧題)陰キャ扱いされている俺の幼馴染みが眼鏡外して前髪上げたらイケメン扱いされてるけど、お前ら頭おかしいんじゃねぇの?
第89話 触ってほしいって?あーもう!いい所で邪魔が……入りませんでした。
第89話 触ってほしいって?あーもう!いい所で邪魔が……入りませんでした。
「ところで翔平くん」
「…………ん?」
「翔平くん以外は誰もいないし、この汗ですから下着が透けてるのは承知の上で脱いだんですけど、さすがに見すぎです。さっきからずっと私の胸としか会話してないじゃないですか」
「なん……だと!」
なんてことだ。胸ばかり見てるのがバレていた。
だけどこれはしょうがないんだ。だってジャージの下の濡れ透け姿が見れる機会なんて滅多にないのだから。だから見た。それはイケナイことか? いや、むしろ見ない方が失礼だろう。
見つめるってことはイコール魅力的だってことなんだから、俺がどれほど千衣子のことを好きなのかの証明でもある。つまり顔や性格、声に体に至るまで、千衣子の全てが好きだということだ。
だから俺はあえて話しかける。胸に!
「やぁおっぱいちゃん。調子はどうだい?」
なーんて──
「ちょっと汗で服がくっついてイヤなの。それに締め付けられるのも実は苦しいの」
………………へ? なんて?
いつもの声とは違う、少し高い声で聞こえてきた普段の千衣子なら絶対に言わないような耳を疑う言葉。
これはとうとう俺の頭がおかしくなってきたか? 千衣子が好きすぎて胸の声まで聞こえるようになったのか? いやいやまさかそんな。さすがにそんな訳はないだろう。それなら今の声はいったい? そう思いながら千衣子の顔を見ると、その顔は真っ赤になっていた。
「…………」
「…………えっと……今の……」
なるべく控えめにそう声をかけた瞬間、千衣子は両手で顔を隠し、そのまま膝に顔を埋めるように体を丸くしてしまった。
「違うんです違うんです違うんです! ち〜が〜う〜の〜! こ、これはアレです。勝手に胸が喋ったんです!」
「千衣子さん!? ちょっと落ち着こうか?」
「あー全部嘘です! 胸が喋るわけないじゃないですか! 何言ってるんですか!?」
「俺は何も言ってないが!?」
「これは違うんですよ。アレです。アレなんです。翔平くんって友達と話す時こんな冗談言ったりするじゃないですか! だからです!」
「えっと、それはつまり俺と同じことをしたかったって解釈でおけ?」
「〜〜〜〜〜っ!」
なんだこの可愛すぎる行動は。ちょっとズレてるところがまた可愛い。ヤバイ。これは……もっと見たくなる。
「そうか。そうだったのか。ところで千衣子の唇さんに首さんに胸さんにお腹さん? どうやら俺の手は冷たくて気持ちいいらしいんだけど、どうして欲しい? ちなみにここには誰もいないんだけど?」
なので少しいたずらっぽくこんなことを言ってみる。もし怒られたら謝る。だけど、どうやらそんな心配はいらないようだ。
だって驚いたように顔を上げた千衣子が、やけに潤んだ瞳で俺を見てくるのだから。
「さ……て……」
この距離じゃなかゃ聞き漏らす程の小さな声が聞こえる。
「さ?」
はっきりと聞きたくて聞き返す。
「触って?」
そう言われた瞬間、俺は千衣子の唇に、自分の右手の親指を優しく押し付けた。
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