第79話 15歳Gカップなんてファンタジーだと思ってた頃がありました

 不思議な事をいう彼女に俺はもう一度聞き返す。


「えーっと、彩月ちゃん? 告白? 俺に?」

「はい〜」


 どうやら聞き間違えじゃなかったみたいだな。

 けど何故だ? 香帆と一緒にいる時くらいにしか会ったことないんだけど。それにもう一つ妙な事言ってたよな?


「なるほど。で、既成事実ってのは?」

「抱いてもらおうとおもって〜」

「…………はい?」


 え?最近の中学生はこんなに進んでんの? 香帆とかドラマのキスシーンとかでも顔真っ赤にするんだけど。


「ちなみに処女ですよ〜」

「そういうことを聞きたいんじゃないんだけど!?」

「でもどうすれば良いのかはわかってるので〜、こうちゃっちゃと〜」

「軽い軽い! ヘリウムより軽い!」

「こう見えてGカップはあるから重いですよ〜?」

「その重い軽いじゃないから!」


 いや待って。G!? その歳で!? うそやん。でかいでかいとは思ってたけどまさかそこまでとは……ってそれはどうでもいい。俺には千衣子がいるんだから。


「いいかい彩月ちゃん。そういうことは好きな人と段階を踏んで、ちゃんと気持ちと覚悟が固まってからした方がいいんじゃない?」

「めんどくさい〜」


 めんどくさい! 今、めんどくさいって言ったよこの子! なに!? 若い子怖いんだけど!


「それに私〜、翔平さんの事ちゃんと好きですよ〜?」

「ちゃんとってどこを?」

「顔ですね〜」


 ほんっと軽いなぁ……。さて、とりあえず断るか。俺には彼女いるしな。


「悪いんだけど俺は彼女いるんだよ。だから彩月ちゃんとは付き合えないし、そういうことも出来ない」

「彼女さんいるのは知ってますよ〜?」

「へ? ならなんで?」

「私の好きなタイプって〜、相手がいる人なんですよね〜。だからそんなこと気にしないで手を出してもいいんですよ〜? 翔平さんは香帆ちゃんのお兄ちゃんだから初めてを上げてもいいくらい特別です〜。だから何してもいいんですよ〜? その内私の事好きになりますから〜」


 まじかよこの子。なんつー自信だ。きっとエグいくらいモテてきたんだろうな。自分が選ばれないなんて思ってない感じだ。確かに可愛いし、ふわふわしたおっとりした感じが庇護翼を誘う。そしてこのスタイルの良さだもんな。分からないでもない。でも……


「どうですか〜?」

「断る」

「……え?」

「悪いけど彼女以外に興味ないんだよね」

「で、でも……ほら〜! 都合のいい彼女でもいいんですよ〜?」

「あのさ、そういうの俺、嫌なんだよね。だから彩月ちゃんのことはそういう対象で見れない。そんな適当な関係でいいって言う子は好きになんてならない」


 ちょっと言いすぎたか? でも、このくらい言わないと伝わらなそうだしな。ま、どうせ勢いとからかい半分だろ。


「う……ううぅ……」


 あ、あれ?


「うえぇぇぇ〜〜〜。ふぇ……うわぁぁぁぁん!」


 ちょっ! 待て! マジ泣きかよ! やばいやばいやばい! そんな大声で泣いたら……


「彩月どうしたの!? って……しょう兄ちゃん!? 彩月になにしたのよ!」


 あ〜ほら。めんどくさいのが出てきた……。

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