第80話 可愛さ増し増しな山場の後のコメディ回ってなんか訳わかんないよね? この話もだけど

 凄い剣幕で階段を降りてきた香帆が俺と彩月ちゃんの間に入ってきた。


「彩月! しょう兄ちゃんに何されたの!?」

「ふぐぅ……フラれたのぉ〜」

「しょう兄ちゃん! なんで!? しょう兄ちゃんには彼女いるでしょ!」

「だから断ったんだよ」

「彩月聞いた!? 彼女いるのに断ったんだって! ありえなく無い!?」


 おいコラちょっと待て。


「香帆ちゃん〜。私悲しいよぉ〜。二番目でも都合のいい女でも良かったのにぃ〜」

「ほらぁ! ねぇ聞いた!? 今の聞いた!? 都合のいい女とかってありえなくない!? バッカじゃないの!」

「か、香帆ちゃん〜?」

「何!?」

「今、バカって言ったの〜?」

「当たり前じゃない! 二番目より一番目でしょ!?」


 おいおい。


「おいコラ香帆てめぇ。前に自分は茜の二番目でもいいから〜って言ってなかったか?」

「言った! だって好きなんだもん!」

「えぇ……。香帆ちゃんそれはちょっと……。えぇ……」


 ほら、彩月ちゃんも少し引いてるじゃねぇか。つーかコイツ、自分で何を言ってるのかわかってないだろ。勢いだけじゃねぇか。


「香帆、よく聞け」

「なによ!」

「俺は今、彩月ちゃんに告白されて、だけど彼女がいるから断ったんだ」

「え、そうなの!?」


 ほら、やっぱり理解してなかった。頭の中どうなってんだよ。


「彩月はこんな人のどこが良かったの!? 血の繋がってない妹の前で裸で歩くんだよ!?」

「顔〜?」

「顔かぁ。なら……うん、しょうがないかなぁ〜。でもこの人はオスとして終わってるからやめといた方がいいよ。こんなに可愛い私が下着姿で目の前に立っても「邪魔だどけもやし」って言うような人なんだから」

「おいやめろ。事実をバラすな」

「翔平さん〜。私はもやしじゃないですょ〜。香帆ちゃんとは比べ物にならないくらい胸ありますから〜」

「彩月!?」


 こいつらほんとに友達なのかよ……。

 と、そこでポケットに入れていたスマホが震え、画面を見ると千衣子からの電話だった。


「あ、悪い。電話だ。んじゃ」

「あっ! 逃げた!」

「香帆ちゃんのせいで話がぐちゃぐちゃになっちゃった〜! なんでいつもバカなの〜?」

「んなぁあぁ!? いつもバカってなに!?」


 よし、香帆ナイス。お礼に今度、ポッキーのチョコが付いてない部分だけお前にやるからな。さて、


「もしもし」


 騒ぐ二人を放置して自室に入るとすぐに通話をタップする。


「…………」

「もしもし。千衣子? どうした?」

「翔平くん。私はもうダメかもしれません……」

「どうした!?」


 いったい何があったんだ?


「全部……喋らされました……。昨夜のことも……」

「…………え?」

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