第19話 清楚な美少女なんて存在しない
今は昼休み。そう。昼休みなんだ。
昼休みは休む為にあるもんだろ? なのにさぁ……。
◇◇◇
さて、事は昼休みに入った瞬間に起きた。
チャイムがなった瞬間に茜の前に二条が来たんだ。巾着を二個持ってな!
分かるだろう? こいつ、茜に手作り弁当を作ってきやがった!
これあれだ。 昨日俺が席を立った後にそこまで進めてやがった!
どこが奥手で今まで彼氏も作った事がないだよ! ゴリッゴリの肉食じゃねぇか!
はい、では実況しますよー。
まずは俺達の席の並びだけど、俺は窓際の真ん中辺りで、茜はその右斜め前だ。そしてその更に右隣に進藤がいる。んで、今はまた彼女の所に行ってていないけど、俺の前にはいつもつるんでるもう一人の仲間で
で、普段は大体俺と和野の机をくっ付けて、その周りに椅子持ってきて座ってる。
だから今日もそうやって食べようとしてたんだ。
すると、少し離れた所からガタンガタン聞こえる。そして俺達の目の前に椅子と二つの巾着を持ったシュールな姿の二条が立ってこう言った。
「さ、三枝君。あの……昨日言ったお弁当作ってきたの。良かったら一緒に食べてくれるかな? 今日は全部一人で作ったんだぁ……」
「えっ? てっきり冗談かと思ってたよ……。えっと、ありがとう?」
はい、あざとい~! ちゃんと約束した訳でも無いのにいきなり弁当持ってくるとかさすがだわ。これ、絶対断られるって思ってないだろ。さすがアイドル(笑) そして断らない茜よ。俺にはわかる。ちょっと口元引きつってんぞ。めっちゃ警戒してんじゃねえか。わかるけど。
そしてさりげなく【一緒に】って入ってるしな。策士め。
とゆーわけで四人での昼食スタート。ちなみに二条は俺の方を見ようともしない。昨日セリフが被ったの根に持ってんのかな? まぁいいけど。
んで、二条が作ってきた弁当の蓋を開けた瞬間、俺と茜はお互いに目を合わせて戦慄した。
いや、弁当自体は色合いも綺麗で美味そうなんだよ。ただ……これ、茜が嫌いなやつ入ってるじゃん。昨日、好き嫌いまでは確認してなかったのか……。茜はカボチャと里芋が一日中グロッキーになるほど苦手なんだがなぁ。
さて、どうするか……。って考えるまでもないか。しょうがない。俺が犠牲になって教えてやるか。茜は性格的に断れないだろうしな。
そう思って俺が口を開いた時だ。
「さ、三枝君……あーん」
「ひっ!」
いきなりっ!? まだ誰も一口も食ってないのに、先制攻撃すぎるだろ! しかもそれカボチャ! 茜が食えないやつ~! つーかいきなり口の中がモッサモサするやつ~!
つーか、頬染めながらあーん! だってよ。
普通するか!? 色んな視線に晒される教室で、それも恋人でもない相手にだぞ? そっちは顔赤くしてるけどこっちは真っ青だわ!
清純派ヒロインやべぇ……。
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