第14話 パンツを見たら正直に
「とまぁね、そんな事があったんだよ」
俺は先程までの教室の出来事を隣にいる子に説明した。
「私にそんな話をされても……」
「だよねぇ~」
隣で壁に寄りかかりながら弁当を食べてるのは同じ委員の東雲さん。彼女の言うことはごもっとも。
「まぁね。ちなみに東雲さんのお弁当は?」
「昨日の残りと冷凍食品です」
「うちもそんな感じ」
「私は料理が好きでも嫌いでもないですね。夕飯はたまに頼まれたりしますけど、朝はよっぽどの事じゃないと。も、もしかして深山君は料理が好きで上手な人がいいんですか?」
「いんや、ぜんぜん」
「そ、そうですか……」
気にした事もないからなぁ。
つーかそれよりも凄い気になってる事あるんだけど、これ聞いていいのか? 聞かない方がいいか?
いやでも……
「なんでここで弁当食ってんの?」
聞きました。
「昨日移し替えた鉢に水を上げるついでです」
「なるほど」
「別に教室に居たくないとかじゃありませんから」
「……そんなこと思ってないよ」
「……はぁ」
ため息!?
「確かに話すような友達は居ませんけど……」
「そうなん? こうして話してて俺は結構楽しいんだけどねぇ」
「……あの、私も楽し「あっ!」……なんですか?」
「私も楽しいって思ってくれてたりした?」
「な、な、な……」
敢えて被せていくスターイル。
とりあえず、反応を見る限りじゃそんなに嫌われてる感じはしないかな? 俺が騒いでるの見てたって朝聞いてからちょっと心配だったけど。
「そういや倉庫のカギさ、今日は俺が借りに行こうか? 今日の俺らの最後の授業の先生さ、いつも早く終わるんだよ。どうする?」
「いえ、今日は借りに行かなくても大丈夫です」
「そうなん?」
「はい、もう私が持ってますから」
東雲さんは立ち上がりながらそう言うと、スカートのポケットからカギを取り出した。
……あれ?
「どうですか? 今度はちゃんとウサギに見えるんじゃないですか?」
なんか少し自信ありげにキーホルダーを見せてくる。あ、確かに耳が長くなってる。
もしかして、昨日俺に言われて耳をつけ直したのか? って、今はそれどころじゃない。
「東雲さん」
「なんですか? これでもまだ変ですか?」
「いや、そうじゃなくってだな? さっきまでは気づかなかったから、多分今そうなったんだろうけどさ?」
「はい?」
「スカートの横のチャック開いてパンツ見えてる」
「!?」
……水色か。
俺が指摘すると東雲さんはすぐに確認してチャックを上げて少し崩れていた制服もなおす。
ちゃんとしていればチャックが開いていてもブレザーで隠れるみたいだけど、さっき座り込んでたせいで少し上に上がってたみたいだ。後、多分胸のせい。多分だけど。
「見えましたよね? って見たって言ってましたね……」
「水色だった!」
俺はサムズアップして答える。
「色まで言わなくていいです!」
「出来ればもっとしっかり見たかった」
「うわぁ……」
「いや、流石にそれは冗談よ?」
見れるものなら見たいけど。
「こんな私のなんて見てどうするんですか……。普段一緒にいる進藤さんとかの方がいいんじゃないですか? 可愛いですし」
なんだ。進藤の事も知ってんのか。
「あいつはダメだ。むしろ自分から見せてくるような感じだからな。それは許さん」
「なんですかそのこだわり……。ほんとわかんない……」
「わからんか。俺的には東雲さんの方が可愛いと思ってるんだけどねぇ……。あっ、そいえばそのキーホルダー昨日直したの? ちゃんと耳ついててウサギに見えるよ?」
「……」
ん? 返事がない。
すると東雲さんは、バタバタと弁当と飲みかけのペットボトルを持つとキッと俺を睨んできた。まぁ、可愛いだけなんだが。
「東雲さん?」
「も、戻りますっ!」
なんだ? トイレか?
◇◇東雲千衣子◇◇
私は早足で教室に戻る。
(可愛いって言われた……。ううん、何となくいった感じだったしそんな深い意味はないんだろうな。それでも…)
顔が熱い。
(そういえば下着見られたんだった。せめてもう少し可愛いのなら……。はぁ、別に減るものでもないけど……なんかちょっと悔しいって思うのはなんで?)
放課後どうしよ……。
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