惚れるとデレちゃう隣のクラスの地味子ちゃん（旧題）陰キャ扱いされている俺の幼馴染みが眼鏡外して前髪上げたらイケメン扱いされてるけど、お前ら頭おかしいんじゃねぇの？

第54話 クラスの女子に名称とかイタすぎる

　香帆が部屋を飛び出して行き、ようやく静かになった。

　いや、ホントにうるさかった。しかも二番目とか言うし。昼ドラかよ。

｢ごめん翔平、僕、なんかやっちゃった？｣

｢いや、大丈夫だ。それよりも茜、その｢なんかやっちゃった？｣みたいなセリフは異世界転生無双物の鉄板セリフだぞ？｣

｢……あ！ 言われてみれば確かに……。あれは流石に鈍感が過ぎるよね？ 普通気付きそうなものなんだけど。けど、面白いからよんじゃうのは読んじゃうけどね？｣

｢あぁ……うん？ ま、まぁ……な？｣

　……お前も大概鈍感だと思うんだけどな。

　まぁ、これは言わないでおくか。香帆といい、二条と明乃といい、行動が行き過ぎてて好意なんだかネタなんだかが、茜には分かってないのかもしれない。

　それか、美桜しか見えてないからかもしれないな。

｢そういえばさ、香帆ちゃんが言ってた【黄昏の窓際令嬢】ってなんだろね？｣

｢それっ！ 俺もそれ気になってた！ あれなんなんだ！？ 香帆の奴、学校でどんな行動してんだよ！ しかもなんであんなに誇らしげなんだ！？｣

　まだ【黄昏の令嬢】とかなら乙女ゲーっぽいけど、なんで【窓際】が付くんだ！？ 頼むから誰か教えてくれよ！

｢黄昏ってことは……夕日に照らされてるとかしか思いつかないよねぇ……｣

｢ぶはっ！ ひぃぃぃ～！ 茜やめてくれ。あいつの場合、夕日に照らされてる令嬢ってよりは、夕日をバックに拳を合わせてる師匠と弟子みたいな光景しか頭に浮かばねぇわ｣

｢翔平笑いすぎだって｣

｢だってさぁ……。あ、そういえば二条も【クラスのアイドル】とか言われてるよな？｣

｢あぁ、うん。でも、美桜ちゃんはそう言ってるけど、二条さんも明乃さんもちゃんと他に呼び名あるみたいだよ？ これは和野君から聞いたんだけどね｣

　…………ん？ なんだって？

　呼び名？ アイツらに呼び名？ 嘘だろ？

　そんな話、初めて聞いたぞ……。

　よし、まずは心を落ち着けよう。何を聞いても動じないように鋼の精神を作らないといけない。ただでさえ、香帆の変な呼び名のおかげで豆腐の精神になっている。

　笑いの沸点もマイナスまで下がってるこの状態で聞くのは絶対に危険だ。

　あれだな、茜の家族に鍛えられたおかげで腹筋は中々強くなれたのは感謝しておこう。

　──よしっ！ 今の俺なら茜の鼻毛が出てたとしても笑わない。いざっ！！

｢で、いったい、なんて呼ばれてるんだ？｣

｢えっとね、確か二条さんが【微笑みの向日葵姫】｣

｢…………｣

｢明乃さんは【琥珀の皇女】だって｣

｢………………あは｣

｢しょ、翔平？｣

｢あははははははははははははははは！！！｣

｢翔平！？｣

　まじか！ すごいなおい！ 本名をもじったあだ名とかならともかく、そんな呼び名を受け入れてる二人がすごい！

　俺がもしそんな呼び名付けられたらすぐにやめさせるけどな。

　いやぁ……ホントに勘弁してくれよ。 そんなのはラノベの中だけで充分だよ……。