第31話 暴走お姉ちゃんはFカップ

「あははははは! びっくりしたかい? びっくりしたよね? その顔が見たかったんだ!」

「お姉ちゃんってば……」


 こ、このやろう……!

 手を叩いて笑ってやがる!


 それにしても性格似てなさすぎだろ!

 顔は……東雲さんが髪ほどいてメガネ外したら似てるかも? でもどっちかって言うと、東雲さんは可愛い系で、この人は綺麗系だな。


「まぁ、東雲さんと先輩が姉妹なのはわかりました。それで俺達を呼んだ用件はなんですか?」


 俺がそう聞くと、先輩は再び椅子に座ると手を組んでそこに顎を乗せ、机の上に胸も乗せるとたっぷり十秒程溜めてからこう言った。


「芽依子さん、って呼んでくれないか?」

「失礼しました」


 俺は回れ右してドアに向かう。


「残念だがそのドアのカギは既に閉まっているよ。これを見てごらん?」


 振り返ると、先輩の手には何かリモコンのようなものが握られていた。え、何? この部屋そんなハイテクなの? 嘘でしょ!?


「まぁ、嘘だけど」

「東雲さん、この人一体何がしたいの!?」

「すいません深山君。姉は昔からこうなんです。少し頭おかしくて、人をからかうというか小馬鹿にするというか……。私はもう慣れたんですけど……」

「ちいちゃん辛辣」


 な、なんつー迷惑な……。

 チラッと視線を向けると、すんごい笑顔をしていた。うわぁ~すげぇ楽しそう。

 てか東雲さん、姉ちゃんにはちいちゃんって呼ばれてるのか。


「さて、後輩弄りはここまでにしておこうかな。ちゃんと用件はあるから安心してくれたまえ。ちなみに私はGに近いFカップだ」


 いや、なんでいきなり胸のサイズ聞かされなきゃなんないんだ? 友達とグラビア見てる時や好きな子のは聞いてテンション上がるけど、ほぼ初対面でいきなり言われても反応に困るんだけど。ましてや東雲さんの姉ちゃんだし。


「はぁ、それで用件ってのは?」

「き、君は朝から反応が冷たくないかな? Fだよ? F。それに私は結構モテるんだよ? クラスでも男子がコソコソと「まじで東雲って美人だし胸もでかいよな! 付き合いてぇ~! 何カップなんだろうな?」とかって言ってるんだけどな……。ちょっと自信無くしそう。ちなみにちいちゃんのサイズは「お姉ちゃんっ!!」カップだ」


 え、何? 聞こえなかったんでもう一回お願いします。


「み、深山君! 聞いてないですよね!? 聞こえてないですよね!?」

「あ、あぁ、大丈夫大丈夫。聞こえてないって」

「良かった……。お姉ちゃんいい加減にして!」

「ごめんごめん。ついうっかり。いやぁ、さっきわざと机の上に胸を乗せたのに深山君が全然見てくれないからつまんなくて」

「そんなの見せなくていいからっ!」


 いや、一瞬だけ見たけどな。つーかさ、うっかりで話す内容じゃないと思うんだが……。まぁ……聞こえなくてちょっと残念だったのは東雲さんには言えない。


 それにしても話進まねぇな! 用件はよ!

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