ハロウィンSS 歓喜!ミイラ女!
おい、今日ハロウィンだってよ!!
仮装? コスプレ? 可愛い格好見れるならどっちでもいいや! とりあえず早く帰って着替えたら駅前いかねーと!
スマホの充電は……よし、七割は残ってる。
とりあえず、「あっ、すげぇ可愛いんで一緒に写真どーすか?」作戦で行こう。それしかない。
あっ、茜も誘うか。好きなアニメの格好とか見たらテンション上がりそうだしな!
「ただいま~」
「おかえりなさい」
玄関には美帆さんがいた。ネコミミを付けて。
「コレどうかしら? もう歳も歳だし、衣装はちょっとね。これくらいなら……」
「いいんじゃないすか? 親父も喜ぶと思いますし!」
「そうかしら? それならいいのだけれど」
おっけーおっけー! なんなら弟か妹もよろしくですよ!
「しょう兄ちゃんおかえり! 見て見て! この衣装♪ ミニスカビキニ吸血鬼なのよ? どう? 可愛いでしょう? 今から彩月と出かけるんだぁ~」
「おう、ただいま。俺は今から駅行ってくるわ」
「へ?」
俺はリビングから出てきた香帆に一言告げると、すぐに階段を上がって部屋に向かう。
最近少し冷えてきたから、ジャケットよりはコートにしとこうかな。
ドダドダドダ
あん? 廊下うるせえな。よし、着替えた! 行くぜ眼福の世界!
「ちょ、ちょっと!? 香帆の衣装見た? 見たでしょ? 見えてるよね!? なんかないの!?」
「パット何枚入れてんだ? 行ってきます!」
「ぬはぁぁあぁぁ!? んがぁぁぁぁ!? んのぉぉぉぉ!?」
日本語喋れ。
◇◇◇
うっし、茜ん家着いたー!
メッセは送っておいたからチャイムを押すと、すぐに出てきた。
出てきたんだが……
「おい、なんだその格好は」
「ううっ……姉さんが……」
出てきた茜の格好は、狼美少年だった。
これはパリピ女子ホイホイだな……よし、茜の姉さんでかした!
「よし、そのまま行くぞ!」
「えっ、ホントに!? ちょっ! えぇぇ~!?」
問答無用!
◇◇◇
はい、駅前到着。
ふっ、ふふふふふふ……ここは楽園かっ!
素晴らしいっ! ちょっと寒いのにそんな露出しちゃっていいんですかぁ? まぁこちらは眼福なんですがねぇ!
それに茜のおかげで茜目当てのショタ好きお姉様も寄ってくるしな! 俺は好みの格好の子に声を掛けてフォルダが充実していくし最高!
まぁ、連絡先は交換しないけどな。そういう目的じゃないし。
ん~そろそろ腹減ってきたな。屋台も出てるし、どっかでなんかつまむか。
「なぁ茜、どっかで飯食わねぇか?」
そう言って振り返ると、そこには……
「三枝君……その仮装かっこいいね」
「三枝やるじゃん!」
「あ、ありがとう二条さん……。二条さんもそのお姫様みたいなの可愛いよ。進藤さんもその狐耳と尻尾が似合ってるよ」
クラスのアイドルゥゥゥゥゥ!! 貴様来ていたのかっ! って美桜と? 組合せが以外だな。
「あーっ! 茜君だぁ! ねぇねぇこれどうですか? しょう兄ちゃんはなーにも言ってくれなかったの!」
「そ、そうなんだ……。に、似合うけど、ちょっと目のやりどころが……」
「えぇ~もっと見てもいいですよ?」
香帆、お前まで……。
「香帆ちゃんのお兄さん、こんばんわぁ~」
「あ、確か彩月ちゃんだよね。そっか、香帆と一緒に来てたんだ」
「そうですよぉ~。お久しぶりです~。ちなみにあたしの格好はどうですか~?」
言われて全身をちゃんとみる。どっかで見た事あるような? つーか谷間の圧力がすごいっ!
「〇〇〇ってアニメのヒロインなんですよぉ」
「あぁ、どおりで見た事あるわけだ!」
「ですです。ちなみに……」
彩月ちゃんが俺の耳元に近づいて囁いた。
「(胸のサイズも一緒なんです。そんなに気になるなら後で調べてみてくださいね~)」
!?!?
「ふふふ~。じゃああたしは香帆ちゃんの所に行きますねぇ~」
……な、なんだあの子!!
俺が突然のことに驚愕していると、ポケットに入れていたスマホが震えた。
誰だ? 画面に出ていた新着メッセをタップする。
【花壇の所に来れますか? 東雲】
っ! 東雲さん!?
これは行かねば!
「茜悪い、ちょっと用事できた!」
「え、えぇっ!?」
右には二条。左は香帆。前には進藤。
何たる布陣。頑張れ!
「じゃっ!」
俺はシュタッと片手をあげてその場を立ち去……ろうとしたその時。
「ねぇ君、一人になったの? 良かったらお姉さんとごはん食べる? 奢っちゃうよ?」
くっ! セクシーお姉さんだとぅ!? 何たる誘惑! しかし今日の俺はクールだぜ!
「あ、いいっす。予定あるんで」
スタイリーシュ!!
いざ東雲さんの元へ!
◇◇◇
少し早歩きで学校まで向かう。うちの高校は駅からだと徒歩十分ってとこ。だからそんなに遠くない。
校門を越えて真っ直ぐ花壇の所に行くと、人影が見えた。
街頭が近くにある為、明かりには困らない。
「東雲さん?」
「あ、こんばんわ……夜遅くにごめんなさい」
「まだ七時だけどね。それでどうしたの? なんかあった?」
「うぅ……」
「ん?」
近付いてよく見ると、東雲さんはフード付きの白いダッフルコートを着ている。更にフードで顔も隠していた。
「あの……今日はハロウィンですよね?」
「ん、そだね」
「そう。ハロウィンなんです。だからなんです。なのでこういうのを着ろって謎のお告げがあったんです」
「お、お告げ?」
なんだろ?
「一回だけですからねっ! ……ふぅ。行きますよ……せーのっ、はいっ!」
そんな気合いの入った声と共に、東雲さんがコートを開いてフードを外した。
そこには……
全身を包帯で巻いたミイラ男ならぬ、ミイラ女に扮した東雲さんがいた。
上手く巻けてなくて所々見える肌色。普段より更に主張された胸。くびれた腰に、真っ赤になった顔。
ん? ちょっと待った。もしかして素肌に巻いてる!? ちょっ! まっ!!
えぇぇえぇぇぇぇっ!?!?
俺は……幸せ者だ……。
「ど、どうですか? ……あれ? えっ、ちょっと深山君? 深山くーん!!」
俺の意識は昇天した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます