第23話 追放された景馬~

 その日の昼、二条は俺達のところに来なかった。理由は多分こいつだ。


「うおぉぉぉぉん! 翔平に美桜に茜! 聞いてくれ! 俺は……俺はぁぁぁ!」

「うるせえよ。また振られたんだろ?」

「その通りだ心友。よく分かったな」


和野わの 景馬けいま】俺達のグループで最近はずっと彼女の所に行ってて昼になると居なかった奴。俺と茜とは中学から一緒だ。こいつの事を簡単に説明するならば、超がつくイケメン。街を歩けば逆ナンされた事もスカウトされた事もあるくらいに。

 簡単に言えば、ただしイケメンに限る、を体現したような奴だ。けど性格が軽すぎるのがなぁ……。ヘタレだし、来る者拒まずだし。


「んで、今回は何したんだ?」

「ヤッてる時にうっかり元カノの名前で呼んじゃった。しかも彼女の友達だった」

「「ギルティ!」」


 俺と美桜の声が重なる。

 茜は固まっている。


「お前それはダメだろ……」

「和野、美桜がそれされたらへし折る」


 何を!? 後茜よ、顔真っ赤だ。お前美桜との事想像しただろ?


「ふっ、速攻で家から追放されたぜ……」

「さすが追放けいまー」

「その呼び方は止めてぇぇ~」


 追い出されたりすんのこれが初めてじゃねぇもんな、お前……。

 ちょっと前だって彼女の親が見てるのに胸触ったり、彼女の目の前で他の子にメッセID教えたり……自由すぎだわ!


「やっぱり俺にはお前ら心友がいれば十分って事がわかったよ」

「それ、何回も聞いたぞ」

「何回も言うほど噛み締めてるのさ!」

「いや、そう言う意味じゃなくてだな……」


 ブブッブブッ


 机に置いていた景馬のスマホが震える。一瞬見えたけど、女の名前っぽかったな。


「あぁぁぁぁぁぁ!!」

「っ! こ、今度はなんだよ!?」

「三年のお姉様から、【彼女と別れたんでしょ? なら放課後映画行かない?】だって! いくいく~!」

「「「…………」」」


 コレだから何もしなくてもモテる奴はっ!


「ねぇ深山に三枝」

「あん?」

「進藤さんどうしたの?」


 美桜が可愛らしいメモ帳を出して言った。


「和野、今度はどのくらい持つか賭けない? 」

「俺は一週間にジュース」

「僕は二週間にジュース」

「美桜はそもそも付き合えないにジュースね」

「おっけ」


 さて、今度はどうなるのかね?


 ◇◇◇


 放課後、和野は三年のお姉様の元に。美桜は部活。茜には委員会がある事を伝えて先に帰って貰った。茜が教室を出た途端に二条と明乃も教室を出ていったが……大丈夫だよな?

 そしてちょうど教室の前の方の入り口をみると、知ってる影が見えた。


「深山くん。来たわ。行きましょう」


 東雲さんだ。

 今日はもう少し仲良くなれるといいけど……。

 さて、どうなるかな?

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