閑話 破滅の序章

注 かなり血なまぐさい事になりますので、苦手な人はご遠慮下さい

******************


「ここか?クソ野郎どもの親玉の住処すみかは。陰気クセェところだぜ。ま、ドブネズミの住処にはもってこいかもな。」


 んだぁコイツは?

 部屋に入って来たガキ。

 ふつうの高校生くらいに見える。


 だが、こいつ・・・何だ?

 何か雰囲気がある。


 ま、人でも殺した事があるんだろうさ。

 だが、甘めぇ。

 俺がこいつくらいの時には100人近くを手にかけている。


 たかだが一人か二人殺したくれぇじゃあな。


「な、何よコイツ?ガキじゃないの!さっさと消しなさい!!」


 相棒がそう言って部屋にいる奴らに指示を出す。

 この部屋には能力者しかいねぇ。

 それも、この組織でも強力な能力を持った奴らばかりだ。


 たまたま今日の会議を見せる為に全員集めといたんだが・・・コイツにとっては運が悪かったな。


「ガキ、てめぇが何もんかしらねぇが、死んでもら、かひゅっ!?」


 ・・・何?


 部下の一人が近づいていった瞬間、首が不自然に折れ曲がって崩れ落ちた。

 首には渦を巻くように凹みがあり、ガキが拳を突き出していた。


「おいおい、間合いだろ?馬鹿なの?」

「てめぇ!!」

「おい!殺せ!!」


 部下がいきり立って殺到する。

 拳銃を向けているものもいる。

 

 こりゃ、部屋が血まみれで臭くなる・・・な!?


「なんでサイコキネシスが効かないんだ!?ぎゃあああ!?腕が!?」

「ふ〜ん?先輩の方が強かったな。大したことねぇなアンタ。ほいっと。」

「俺の腕・・・ぎっ!?」


 動きを止めようとした部下が手を向けて能力を発動していにも関わらず、平然として蹴りで腕をへし折り、そのままボディに一撃。

 目と耳、口から血反吐を吐きながら倒れ込む。


「くそっ!この!!俺の【風神】が無効化されている!?なんなんだこいつ!?」

「風神?そよ風の間違いだろ?俺の手刀で壊せるのなんかに御大層な名前を付けやがって。そんなもん、能力なくてもできるっての。こうやってな。」

「・・・けぺっ」


 風を操り、大木すら切る事ができる能力者が腕を振るい能力を発動するも、同じように腕を振るって能力ごと潰し、そのまま腕を振るい首を切り飛ばした。


「当たれ!当たれよ!!なんで銃弾が掴めるんだ!?」

「熱っつ。返すぞ?」

「へ?あ・・・そんな馬鹿な・・・」


 銃弾を加速させ放てる能力者が撃つ銃弾を掴み、そのまま指で弾くように放ち眉間に直撃させる。

 そして、そのまま眉間には穴が空いていた。


 額から汗が落ちる。

 背筋に冷たいものが走る。


 こいつはいったい、なんなんだ!?


 どんな能力使っているのかわかんねぇ!! 

 

「ちょ、ちょっと!?なんなのコイツ!?」

「下がって下さい!!おい!小僧!!俺が相手だ!!」


 ・・・こいつは身体を鋼鉄並みに固くさせられる。

 ただ殴るだけでも受けたほうは致命的だし、殴られた場合でも、相手の骨は砕けるだろう。

 俺のような能力ならともかく、こいつなら・・・


「死ね!小僧!!」


 ドゴンッ!!!


 凄まじい轟音が室内に響く。

 腹にモロだ!!

 これは死んだだろ!!


「がぁ!?こ、拳が!?」

「へぇ?中々だなぁ。だが、俺の骨を折りたきゃ、古龍クラスの力が無きゃ駄目だぜ?なにせ、俺はドラゴンと殴り合いでタイマン張れるんだからな?」


 ド、ドラゴン!?

 こいつ何言ってやがる!?

 狂ってんのか!?


「殴るってのは、こうやるんだよ。ふんっ!!」

「ご・・・へ・・・?」

「キャアアアアアア!?嘘でしょ!?」


 ガキの拳が部下の腹を突き破ってやがる!!

 鋼鉄並に硬てぇんだぞ!?

 それも、鍛えてるから胴回りがすげぇあるってのに!?

 どうなってやがる!!


「さて、後は二人か。」

「くっ!!おい!さっさ来て加勢しねぇか!!!」


 俺は、地下全員に聞こえるようにアナウンスする。

 しかし、


「あ〜無駄無駄。もう、全員動けねぇか死んでるから。」

「な!?くそっ!!」


 嘘だろ!?

 能力者が50人近く居たんだぞ!?

 

 ちぃっ!

 だが、俺は最強だ!!


「お?」

「・・・てめぇがナニモンか知らねぇ。だが相手が悪かったな。おい、下がってろ。」

「気をつけて!そいつ普通じゃない!!」


 能力を発動させながら相棒を下げる。


 この能力は巻き込んじまうかもしれねぇからな。


「炎と氷、か。へぇ?相反する能力を同時に仕えるのか。」

「そうだ。防御も攻撃も完璧だ。どんな能力を持っているか知らねえが、てめぇは焼きながら凍らされて死ぬのさ。」

「ふ〜ん?やってみれば?」

「抜かせ!!」


 右手を向け、炎の渦をぶつける。

 死んでいる部下が燃え上がるが、知ったこっちゃねぇ!

 炎がガキを包む。

 よし!どんな能力か知らねぇが、これなら・・・


「破っ!!!!!!」


 ドシンッ!!

 という音とともに、炎が吹き飛ぶ。

 そこには、火傷一つ無い拳を突き出したガキ…だと!?


「馬鹿な!?どうやった!?くそっ!!凍れ!!!」


 左手を向け、今度は冷気を飛ばす。

 

 数秒もあれば、体表が氷始めるレベルの凍気だ。

 

「うぇ、俺、寒いの苦手なんだよなぁ。す〜ふう〜・・・ふっ!!!」


 何故か深呼吸し始めたガギが気合を入れる素振りをした瞬間、ガキの全身が薄っすらと光り、そして、


「よし、久々だったけどできたな。これなら凍気も関係なく動ける。だけどあれだな〜。俺、なまってんな。ちょっと鍛え直さねぇと。」

「う、うそ・・・だろ・・・?」


 熱も氷も通じねぇだと!?


「・・・ねぇ、あなた?目的はなんなのかしら?」


 その時、俺の後ろから相棒が出てきた。

 そうか!

 相棒の能力なら、男なら無条件で・・・!!!


「ん?いや、先輩を狙うクソ野郎ども、つまりあんた達の殲滅だけど?」

「そう・・・だけど、あんな女よりもアタシの方が良くないかしら?大人の魅力、教えてあげるわよ・・・?」


 そう言ってガキに近づく相棒。

 相棒の能力は【魅了】だ。


 これにあらがったヤツはいままで一人もいねぇ!!

 これでこのクソガキは俺たちの言いなり、


「いくら見た目が良くてもあんたみたいな心の醜い奴に興味はねぇな。」

「な!?あぎっ!?は、鼻!?アタシの鼻が!?」


 目を光らせて近づく相棒にそう言い放ち、相棒の鼻を拳で突きへし折りやがった!

 効いてねぇのかよ!?


「ほいっと。」

「ぎゃ!?い、痛い!!痛い!足があ!?」


 そのまま、ローキックで相棒の足も折る。


「弱ぇぇ【魅了】だな?俺の使い魔の方がもっとずっと強力だぜ?耐えるのマジできっついし、それに比べりゃちょっと匂いの強い香水みてぇなもんだ。あいつ昔は隙あれば使って来やがったからなぁ。耐えに耐えて、お陰で俺の精神体制MAXまであがったけどな。ありゃきつかった・・・っと、お前もな。」


 わけのわからねぇ事を呟いていたので、反撃しようとした瞬間、眼の前にガキが現れる。

 は、速、


「とりあえず、大人しくしてろ。」


 ボキィッ!!!!!


「ぐあああああああああああ!?」


 一瞬で両足、両腕を折られた。

 両手にはそれぞれ能力を発動していたにも関わらず、ものともせず。


 ば、バケモンだ・・・


 その時だった。


 プツッ


 部屋に備え付けのモニターが点灯する。

 そこに映し出されたのは、会議室だった。

 

 

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