第26話 マジ、死ぬ・・・

 う〜ん?

 なんでこうなった?

 

「とりあえずこの部屋空いてるからここで良いすか?」

「ありがと〜!なんなら一緒の部屋でも・・・」

「舞、こっちや。」

「舞っち〜?早く荷物運ぶよ〜?」

「あ〜ん!二人共〜!!ちょっとくらい良いでしょ〜?」

「「駄目」」


 ずるずると引きずられていく舞さんと引きずっていく雪羅と夜夢。


 いや、仲良すぎない?

 君たち、いや、特に雪羅は人見知りだったでしょ?


 なんだか意気投合しているように見えるんだけど?


 にしてもデカい家で良かったぜ。


 この家、居間とか以外に俺の部屋、雪羅の部屋、夜夢の部屋、今決まった舞さんの部屋以外に、2つ部屋がある。

 格安とはいえそこそこの値段したからなぁ。

 

 一応、地下もあるが今はまだ使ってねぇ。


 ここは少し街の中心部から離れていて、すぐ裏手が山となっていて、そこも俺の所有になっている。

 山って意外に安いんだぜ?

 知ってっか?


 なんで山買ったかって〜と、身体が鈍らないように訓練したり、なんかあった時に逃げ込むためだ。

 まぁ、ほとんどそんな事態にはならないだろうけどな。


 ちなみに、舞さんにそれを話したら、


「研究室作って良い!?」


と凄く食いついたので許可を出した。


 研究室は自分のお金で作るらしい。

 まあ、好きにしてくれて良いんだけど。


 さっそく業者を手配してたよ。


 舞さんも金持ちだからな。

 暁月も言ってたように、『極東の天才霊具師』らしいからな〜。

 霊具って一つ一つがクソ高けぇし。

 その中で天才なんていう舞さんのはさぞかしいい値段で売れているんだろうしな。

 実際、親父さんを亡くして経営が傾いてた実家をすぐに立て直して大幅黒字経営にしてるからな。

 すっげぇ才能。


 とりあえずこの日は、引っ越し業者が来て、舞さんの部屋に家具を搬入して設置し、昼飯と夕飯をとる。


 みんなで飯を食って俺は一番風呂を貰う・・・のだが、


「零ちゃ〜ん!お姉ちゃんが来ったよ〜!」

「帰れ!!いやちげぇ!風呂から出てけ!!」

「え〜?」

「そうや。舞は出ていきなはれ。背中はウチが流すよって。」

「いや、お前も出ろよ雪羅!!」

「そうだよー!夜夢ちゃんが流すからだいじょーぶ!」

「お前もだ夜夢!つーか少しは隠せ!!」 

「「もう見慣れてるのに?」」

「うるせぇ!それとこれとは別だっての!!」

「む〜!お姉ちゃんもバスタオル外す!!」

「うわぁ!?舞さんやめて!?見えちゃう!見えちゃうから!!」

「零ちゃん!ちゃんと見て!」

「あかん!あかんで零士!そんな駄肉見たらあかん!!」

「ふっふーん!夜夢ちゃんは負けてないもんね〜!」

「あ”?殺すぞ夜夢?」

「あーーーー!もう!静かにしろっての!つーか出てけーーーー!!」


 ・・・しんどい。




 








 結局、なし崩し的に一緒に入浴する。


 勿論、俺は極力舞さんを見ないようにした。

 いや、だってね?

 なんか理恵子さんに合わせる顔が無くなっちゃうんだよ。


 大事な娘さんの裸を俺みたいなのが見ちゃうってのはさぁ?

 これまでも際どいのは何度もあったけど、決定的なのはなんとか避けてたんだよ。

 

 視界に入ってこようとする舞さんと目をつぶる俺。

 しかし、敵もさるもの、俺が目をつぶるとすぐに舞さんがマイサンを隠すタオルを剥ぎ取ろうとしてくるんだ。


【剥ぎ取り名人】のスキルでもついてるの?

 そこにモンスターはいませんよ?


「いや、おるやろ。」

「うん。でっかいのがいるよね。凶暴化するヤツ。」


 やめて?

 心読まないで?


 君たち、先輩と違って超能力者じゃないんだから。




 そんなこんなで入浴を終え、ぐったりしながら寝室に向かう。


 ベッドにごろんと転がる。


 つっかれた〜・・・

 まさか初日からこんなに疲れるとは。

 ちょっと早まったかな、舞さんをここに住まわすの。

 

 でもなぁ〜、舞さんには世話になってるからなぁ。

 できることなら要望は叶えてやりてぇ。


 コンコン。


 ノックの音がする。

 

「どうぞ〜?」

「はいりま〜す。」


 あ、しまったかもしれん。


「ま、舞さん?どうした?」

「零ちゃんちょっと真剣な話ししても良い?」


 おっと、思ったよりも真面目な話しっぽいな。


「ああ、勿論良いぞ。」

「じゃ、座って良い?」

「おう。」


 舞さんがベッドに正座で座る。


 スプリングが弾む。

 俺も正座し向かいあう。


 一体、何の話しだろう?


「ちょっと顔見て話しづらいから、電気消して良い?その方が話し易いし。」

「え?まぁ良いっすよ?」

「ありがと。」


 リモコンで電気を消す。


 さて、なんの話、


 ガシッ!!


 ・・・あれ?


「舞さん?」

「うっふっふ。零ちゃん?油断はいけないよ〜?」

「ほえ?舞ぶぐっ!?」

「雪羅ちゃんと夜夢ちゃんの許可は貰っているからね〜?」

「むぐっ!?むぐっ!?む〜〜〜〜!?」


 し、しまっ・・・あ!?ちょ!?ま!?


 ア〜〜〜〜〜〜〜!?


   










「あたた・・・思ってたよりも痛いんだねぇ〜。」

「・・・いや、どうしよう?理恵子さんに合わせる顔がねえ・・・」


 やっちまった・・・耐えれなかった。

 いや、無理だろ?

 だって、舞さんすっげー美人だし、スタイル良いんだぜ?

 あんな風にされたらすぐに反応しちまうって!


 そりゃ、雪羅や夜夢としてなきゃ童貞的思考で耐えれたかもしれねぇが・・・今の俺には無理だ・・・

 だってそもそも俺舞さんの事好きだし。

 家族としてだけど。


 泣きながら迫られたら耐えられるわけない。

 一応拒否ったんだぜ?

 でも、すぐに泣き落としされて・・・げふんげふん。


「零ちゃん?私の愛、受け取ってくれたかな?」


 愛、愛、か・・・


「わかんねぇ・・・ごめん。」

「ん〜ん。良いんだよ?ゆっくりわかるようになろうね?」


 ああ、罪悪感が・・・ごめん舞さん・・・


「だから、いっぱい頑張ろ?」


 ん?


「というわけで、次は雪羅ちゃんで〜す!頑張ってね〜?」

「零士、次はウチの番や。」

「レージ?その次は夜夢ちゃんね〜?」

「その後はもう一回私でーす!零ちゃん!頑張って愛を理解しようね〜?」

「ちょ!?」


 嘘だろうおい!?

 そんなん身体がもつわけ・・・むぐっ!?


 















 チュン

 チュン


「・・・し、死ぬ・・・」



 結局、朝まで・・・マジ、死ぬ・・・

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