第18話 事実無根にも程がある!弁護士を呼べ!
「ただいま〜・・・。」
「おかえりなさいませ、主様。・・・で?どんな話をしてきたんや?」
おお・・・ピリピリと来んなぁ。
怒りを無理矢理押さえつけてる感じがすんぜ。
「いや、大した事は話してねぇぞ?」
「夜夢。」
「おわっ!?」
「えっへっへ〜。つ〜かま〜えた〜♡」
しまった!!
殺気放ってたのこれが狙いか!?
玄関から中に入り、靴を脱いだ所で廊下の奥でスタンバってた雪羅に気を取られていたところ、影移動で現れた夜夢に背後から抱きしめられて捕まった。
そして二人にずるずると引きずられて、
ドサッ!
夜夢に捕まったまま、ベッドに横倒しになる。
すぐさま雪羅も倒れこみ、俺を挟んで左に夜夢、右に雪羅の状態で至近距離から睨みつけられた。
「ご主人様?なんか浮気したんだって?」
「なんだ浮気って!?別にそんなもんしてね〜ぞ!」
見に覚えはまったくない!
雪羅は夜夢にどんな説明をしたんだ!!
事実無根にも程がある!
弁護士を呼べ!
「浮気やろ?ほいほい他の女について行きよって・・・」
「だからちげぇって!先輩からちょっと提案があっただけだっての!」
まったく!
なんだ浮気って!!
そもそも俺にそんな相手はいねぇ!
・・・まぁ、そりゃ雪羅と夜夢とはそういう事をしてるわけだが、別に付き合っているわけでもなんでもない。
いや、そりゃちょっと薄情か?
使い魔ではあるわけだし。
それに何かあれば守るつもりもあるし、幸せにしなきゃいかんとも思っている。
それだけの覚悟がなけりゃそういう事をしようとは思わねぇしな。
そこに妖怪だの妖魔だのは関係無い。
付き合いたいとか結婚したいとかは良くわからんが、男としての責任は果たさなきゃいかんと思うし。
「で、どんな話ししてきたの〜?」
「はよ言えや零士。返答次第によっては・・・」
うわっ怖っ!!
夜夢は笑顔の向こうに凄みがあるし、雪羅はめっちゃ目が座ってやがる。
あ〜、こりゃさっさとゲロッちまった方が良いな。
別に隠すようなことでもねぇし。
「だから大した話しじゃねぇっての。ただ、生徒会長補佐って役職を振られただけだ。」
俺は先輩からされた話を二人にする。
そのメリットをしっかりと押し出して。
「「・・・」」
ふっ!
どうやら、杞憂だと理解したようだな!
まぁ、これで安心しただろ。
とりあえず、腹も減ったし、飯食って風呂入ってゆっくりしてぇな〜。
さてと、そろそろ離してもらって、
「・・・なぁ、零士?あんさんそれ本気で言うてんのか?」
あれ?
「あの人、やるね・・・夜夢ちゃん、ちょっと油断してたかも。」
離してくれるんじゃないの?
むしろ腕が締まってきてるんだけど?
ギリギリいってるんだけど?
そろそろ痛いんだが?
「ふ、二人共、そろそろ離して・・・」
「なぁ、零士?」
「な、なんだ?」
あの・・・なんでそんな綺麗な笑顔なんですかね雪羅さん?
逆に怖いんだけど?
「レージさぁ、そ〜んなにお仕置きされたいんだ〜。ほんとドMだねぇ。」
「誰がドMだ誰が!つ〜かマジ離して・・・」
夜夢?
夜夢さん?
サキュバス出ちゃってますよ?
その妖艶な表情、完全に18禁ですよ?
いや、俺は腹が減って・・・
「誰が離すか阿呆。」
「そうだねぇ。レージにはちょ〜っと分かって貰わないとね。その身体に、ね。」
「な、何を、むぐっ!?」
あ、ちょっと!?
待って!?
なんで!?
俺、なんかやっちゃいました!?
あ”___________
しくしくしく。
結局、俺が開放されたのは4時間後。
代わる代わる・・・俺、汚されちゃった・・・
お腹ペコペコなり・・・
なんでこうなった・・・?
俺、平穏に昼飯食えるようにしたかっただけなのに・・・
・・・ん?
二時間位前に舞さんからLINが来てる。
LINってのはSNSだ。
普段あんまり使用しておらず、雪羅や夜夢から家の関係の連絡が来るくらいであまり気にしていなかったんだが・・・
『零ちゃん、あのね?週末にちょっと用事があるから時間ちょうだい。』
なんだ?
別に構わないですよっと。
お?
もう既読ついた。
『ありがと〜。待っててね♡』
?
一体なんだろ?
つ〜か、舞はさんもう、理恵子さんから俺の家に来る制限解除して貰ったのかね?
理恵子さんってのは舞さんの母親で、クソ親父の姉だ。
俺を居候させてくれた本人でもある。
本当に世話になったので、頭があがらない。
それと、舞さんに俺の家に来る制限をつけたのも理恵子さんだ。
舞さんは当時、俺が居候をやめる事に最後まで抵抗し、まさかの行動に出た経緯がある。
そう、監禁しようとしたのだ。
零具の手錠と足かせのテストをして欲しいと言われ、俺がそれをつけた後、
「これからは私が面倒を見てあげるからね〜♡」
と言って、部屋から出そうとしなかったのだ。
あれは怖かった。
るんるんしながら、尿瓶とおまるを取り出した時には背筋が凍ったし、
「あ!年頃だし性欲も発散しないとダメだね!大丈夫だよ零ちゃん?私、経験ないけど頑張るね?」
こう言われ服を脱ぎだした瞬間、俺は理恵子さんに助けを求めるために叫んだ。
聞きつけた理恵子さんは、施錠されていた舞さんの部屋のドアを破壊して助け出してくれたんだ。
いや、マジであの時は怖かったわ。
舞さん、その後理恵子さんにすっげぇ怒られてたなぁ。
もっとも、当の本人である舞さんは不服そうにしてるだけだったけど。
まぁ、別に舞さんが嫌いなわけでもないし、むしろ家族に近い好意もある。
だけど、流石に居候させて貰った恩のある相手の娘を襲う・・・いや、この場合襲われそうになったのは俺だが、それでもそういう関係になるのには思う所があるのだ。
にしても改めてあの時の事を思い返すと、舞さんの思考回路は相変わらずぶっとんでるなと思う。
あの人は、すっげぇ頭がいい。
じゃなきゃ天才なんて言われないだろう。
現に、俺が本気を出さなかったにしろ、俺の力を抑え込めるほどの零具を作っちまったんだし。
だけど、そのせいで周りと隔絶し過ぎていて、普段は周りに合わせているのだ。
それは理恵子さん相手であっても変わらない。
さぞ生きづらかろうと思う。
だからもうちょっと気楽に生きて貰いたい。
俺は素の舞さんも好きだしな。
従兄弟としてだが。
監禁されかけたとしても、俺があの人に受けた恩は変わらないし、嫌いになる事はない。
だから俺の態度が変わる事もない。
ま、いいや。
俺は飯を食って、風呂に入りながらそんな事を考える。
さっさと寝て、明日に備えよう。
うん、そうしよう。
だからさぁ、
「とりあえず普通に寝させて貰っていい?」
「「駄目」」
そっか駄目かぁ。
自分の部屋に戻ってドアを開けた瞬間に、スタンバってた二人にそう告げるも、却下された。
そして、ほぼ徹夜でキャッキャした。
・・・明日も寝不足だぁ・・・
くすん。
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