第29話 うう・・・みんなでよってたかって・・・

「え?・・・に、忍者・・・?隠岐先生が・・・?え?忍者って本当にいるの・・・?」


 おお、混乱してるなぁ先輩。


 あれから、部室に着いて暁月達を待つ。

 ちなみに、夜夢は四之宮と一緒に部室に来たようだ。


 【小悪魔】と【癒やしの妹】が一緒にいる状況は、さぞかしヤロー共を刺激しただろう、と思っていたのだが・・・


「ああ、八田さんが『ついて来ないでくれる?嫌いになっちゃうよ?』って言ったら散り散りにどこかへ行きましたよ。」


と、四之宮から聞き納得。


 まぁ、そりゃ夜夢や四之宮のファンにしてみたら、嫌われるのはきついだろうからな。

 

「い、いや、ちょっと!?なんであなた達は普通にしてるのよ!?忍者よ忍者!」


 おっと、先輩が俺の胸ぐら掴んでガクガクと揺すりやがる。

 気持ち悪くなるからやめてくれませんかね?


「まぁ、俺は元々知ってたし。」

「ウチも。」

「夜夢ちゃんも〜。」

「私はこの間聞きましたから。」

「お姉ちゃんと一緒です。」

「・・・」


 先輩の言葉に答える俺たちを唖然として見ている先輩。


「結城。お前の異能では私の心を読めないから気が付かなかったのだろう。だが、私のように訓練を受けた者であれば容易い事だ。あまり異能を過信するのはよくない。」

「・・・ええ、そのようですね。肝に命じておきますよ。これからよろしくお願いします、隠岐先生。」


 改めて隠岐先生にそう挨拶をする先輩。

 

 気を取り直したって感じだ。

 しかし、その表情には複雑なものが見える。


 まぁ、先輩にしてみたら自分は特別だって思ってたら、意外にいっぱい特別がいたって感じだろうし、そりゃ複雑だろうなぁ。


「・・・それにしても面白い者たちが集まったものだ。」


 そんな時、隠岐先生がポツリと呟いた。


 それぞれ隠岐先生を見る。


「普通の人生を歩んでいたら、まず出会う事がない者ばかり。私もそうだが、祓魔師である斬来と暁月、異能者である結城、それに魔法使いときた。それに九重と八田は妖魔。まったく、人生何があるかわからない。」


 ほんとそれな〜。

 俺は普通になりたいだけだったんだが。


 気がつけばこんなスペシャル人材の中に・・・


「って駄目じゃん!?」

「いきなり何よ?」


 俺の叫び声に顰め面でそういう暁月。

 いや、だってさ?


「俺、普通になりたいって言ってたのに、こんなに異常者の群れの中に、ぐえっ!?あだっ!!ぎゃっ!!!」


 一斉に殴られる。

 ひどい!


「あなたが一番異常者でしょうに!」 

「そうよ!ただでさえ祓魔師なのに、祓魔は格闘技だし、それに魔法も使える?超能力も効かないみたいだし、あんた一体どうなってんのよ!!」

「零士さんが一番おかしいです!!」

「零士、あんた・・・誰を異常者呼ばわりしてんのや?凍りたいんか?」

「レージったら、今日もおしおきだね〜?」

「斬来、お前が一番化け物だ。自覚しろ。」


 うう・・・みんなでよってたかって・・・


 俺だって普通になりたかったっつーの!!



 その後も一頻り殴られてから食事。

 いや、マジでひどくね?

 

 そして話題は俺のあまり言いたくないところへと。

 つーか夜夢がバラしやがった。


「桐谷先輩と同棲!?ソレ本当なの!?・・・先輩流石ね・・・行動が早いし大胆だわ。一体どうやってこの二人を説得したのかしら···?」

「桐谷・・・そうか・・・という事は・・・ふむ。」


 それぞれ、反応が違う。


 先輩はかなり驚いている・・・いや、それだけじゃない?何かを考えている。

 暁月と四之宮はしてやられた表情だ。

 なんでそんな表情してるんだかねぇ?

 そして隠岐先生は先輩とお同じだ。

 何かを考え込んでいる。

 そして、


「斬来。久しぶりに桐谷と話をしたい。今日、家に行っても良い?」


 そんな事を言った。


 俺は別に構わないが・・・


「舞さんいつ帰るかわからねぇよ?」

「かまわない。」

「なら、良いっすよ。」

「頼む。」


 ふむ。

 久しぶりにガールズトークでもしたいんかね? 

 でも、舞さんも隠岐せんせもあんまりそういうイメージねーけどなぁ。


 ま、良いか。


「ちなみに、ご主人さまはもう舞っちに食べられてるよ。」

「「「「!?」」」」


 あ、


「零士〜!!あんたって奴は〜っ!!」

「零士さん!!」

「あなたは〜〜〜〜っ!!」

「・・・流石桐谷。だが、それはそれとしてなんだか腹が立つ。」


 あ!?

 ちょ!?

 痛い!!

 待って!

 関節はそっちに曲がらないから!!

 首絞められたら死んじゃうから!!

 燃やされても斬られても死んじゃうから!!


 待っ・・・ぎゃああああぁあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!



















 なんとか致命傷は避け、自前の回復魔法で命は助かりました。

 

 つ〜かなんで夜夢はすぐにバラすんだよ・・・

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