第4話 そんなに問い詰められても・・・(1)

 と、言うわけで冒頭となる。

 冒頭?俺は何を言っているんだ?

 電波?

 これ、電波なの?


「ちょっと!聞いているの!!黙ってたらわかんないでしょ!!」


 まぁ、それは良いとして(よくない)、目の前で暁月真奈が俺を指さしてプンプンしている。

 何?

 なんでこんなに怒っているの?

 

 激おこスティックファイナリアリティプンプンドリーム(死語)なの?

 

 結局あの後、家の前で美人&美少女達が騒いでいるもんだから、ご近所さん達が集まって来て、門扉越しにこっちをみながらひそひそとしているので、取り敢えず家の中に入って貰う事にした。


 ここは俺の家の中にある居間だ。


 何故か俺は床に正座させられ、暁月達に囲まれている。

 まぁ、雪羅と夜夢は俺の後ろの少し離れた所で立っているのだが。


 しっかしどうしたものか。


 俺としても、なんでこいつらがこんなに怒っているのかわかんねぇんだけど、詳細に説明するのには問題がある。

 というのも、俺の問題だけじゃなく、こいつらそれぞれ人に言えない秘密を抱えており、俺はそこにがっつり絡んでいるのだ。


 なので、俺がどうしてこいつらと知り合いなのかを説明しようとすると、そこについても詳しく話す必要が出る。


 ぶっちゃけ、俺を正座させ怒るような奴らの事なんか知るか!全部ゲロっちまえ!!と考えなくもないが・・・まぁ、勝手に話すのもバツが悪い。


 ど〜すっかなぁ・・・


「零士!!」


 暁月、四之宮、結城先輩、それと舞さんからひとしきり問い詰められ、最後に俺にずいっと顔をよせて凄む暁月。


 まぁ、可愛い。


 って現実逃避をしても仕方がない。

 

 一応、俺は話す気にはなって来ている。

 だが、こいつらが信じられるかどうかはわからんし、そもそも、それでも言って良いものか悩む所だ。


 くそっ!めんどい!!


 そんな俺の思考に気がついたのだろう。


「・・・ねぇ、斬来くん。もしかして、あなたが話す事で私達が困る事があるのかしら?」


 うぇ!?

 相変わらずキレッキレだなこいつ!


 でも、その言葉で、心当たりのある暁月、四之宮は固まった。

 舞さんは特段変化は無い、いや、納得した表情をした。


 まぁ、心当たりはありすぎるだろうしな。


 雪羅と夜夢は変わらん。


 多分、どうでもいいと思ってやがるんだな。


「そう・・・なら、覚悟を決めないとけないわね。」


 俺の顔色を見て納得したのだろう。

 先輩はそう言って暁月と四之宮、そして舞さんに向き直る。

 視線の先には雪羅と夜夢も入っているだろう。


「実は私には人に言えない事がある。で、彼はそれに密接に関係しているわ。私以外にもいるかしら?」


 そう問いかける。


「・・・あるわ。あたしもある。」

「・・・わたしもです。」


 真剣な顔をした暁月と四之宮が頷く。

 そこで、先輩は舞さんを見た。


「う〜ん、お姉ちゃんにもあるんだよねぇ。というか、暁月ちゃんのことは実はちょっと知ってるの。もっとも名前だけなんだけどさ〜。暁月ちゃんはとある分野じゃ若き天才って言われているものね。」

「え!?って事はあなたはもしや関係者なんですか!?」

「というか、私、零ちゃんの従姉妹なの。それでおわかり?」

「・・・ああ、なるほど、そういう事ですか・・・」


 舞さんの言葉で暁月は納得を見せた。

 

「全然わかりません・・・」

「私もよ。・・・え?嘘?これ本当?」


 あ、しまった。

 先輩、先走りやがったな?


 困惑してやがる。

 まぁ、こいつの場合は仕方がない、とはいえ・・・ちょっとフェアじゃねぇな。


「結城先輩、アウトっす。後で自分の事も話て下さいよ?」

「・・・これ、本当なの?ちょっと信じられないのだけど。」

「どの事かわかんないっすけど、本当だと思いますよ。」

「・・・」


 俺たちのやり取りに、暁月と四之宮、そして舞さんが小首をかしげている。

 まぁ、わかるわけねぇよな。


「・・・ま、まぁ、良いわ。それで、九重さんと八田さんは、」

「その前に、その鬱陶しいのをウチに向けるな。」

「そうだよねぇ。モラル低くない〜?」

「ぐっ!?な、何これ!?読めないし、寒気が!?」


 先輩は最後まで言葉に出来なかった。


 雪羅と夜夢が結城先輩に殺気を放ち、威圧し始めたからだ。

 

「え!?これまさか妖気!?くっ!!」

「魔力!?それも濃密な!?『燃え盛る炎よ・・・』」


 暁月と四之宮が驚いて対応しようとする。

 おいおい、ここを戦場にする気か!?


「あ〜、こらこらやめなさい二人共。結城先輩が怖がってるでしょ?」

「・・・っち!」

「は〜い。」

「それと暁月と四之宮もだ。」

「でも!!」

「そうです!だって・・・」

「い・い・か・ら!・・・あ〜、先輩、大丈夫っすか?」

「・・・いえ、大丈夫よ。でも・・・そっか、本当の事だったのね。・・・よしっ!」


 渋々といった様子で殺気を抑えた雪羅と夜夢、そして戸惑う暁月と四之宮。

 

 最後に、先輩に確認すると、両頬をパンと張ってそれぞれに向き直った。


「まずは、皆さんに謝る事があります。」


 そう言って神妙にした。


 どうやら、謝るようだ。

 力を向けた事を。


 ・・・こういうところが、この人の嫌えない所なんだよなぁ・・・


「どういう事です?」

「・・・私は、実は超能力が使えるのよ。」

「「「はっ?」」」


 暁月、四之宮、舞さんが鳩が豆鉄砲を食らったような顔をした。 

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