第52話 ・・・解せぬ
「さて、レイジが変わって無いのは良いとして」
「なんにもよくねぇ。」
ミルがなんかいきなりディスって来やがった。
だが、俺はなぁなぁのイエスマンでは無い。
年上だろうがなんだろうがちゃんと言い返す事ができるロックな男だ。
まったく!
な〜にが変わってねぇだ!!
こちとら花の高校生だっての!!
めっちゃ変わっとるわ!!
変わってねぇのはお前の胸「・・・レイジ?殺すわよ?」・・・すんません。
つ〜かなんでわかんだよ!!
俺まだなんも言ってねぇぞ!!
「目が言ってるのよ態度が言ってるのよ気配が言ってるのよ」
「すんませんっしたっ!!!!!!!」
目のハイライトを消したミルが早口に呟く様を見て土下座へ移行した。
怖っ!!!!!
「んで?零士、その女も住まわすんか?」
正座してミルに謝り倒し、なんとか勘弁して貰ったところで雪羅が美奈を見てそう言った。
いや、それは・・・
「あ、それは多分無理です。本当はそうしたいのも山々ではあるんですけど、流石にママ・・・お母さんは説得できないと思うので。」
・・・へぇ。
美奈はいつもおふくろさんの事ママって呼んでんのか。
なんだよ可愛いところもあんのな。
「・・・零士さん?なんです?なにか言いたい事でも?また土下座します?」
「すんませんっしたっ!!!!」
絶対零度の視線を送る美奈を見て、俺は本日二度目の土下座を敢行する。
なんて弱い俺。
助けて・・・誰か助けてよっ!!母さん・・・父さんっ!!!
親父・・・そういや俺、親父居たな。
あのクソ親父には助けられたくね〜わ。
やっぱ今の無し。
というか、シンジくんはあんなヒゲオヤジに助けて貰いたかったの?
子供を捨ててワイフを追い求める甘ったれだよ?
暗い中でもグラサンの変人だよ?
マダオとほぼ一緒だよ?
良いの?
「・・・またわけのわからない事考えてるみたいね。心のパスが通じたからか、たまに少しだけ心が読めるようになったけれど、これじゃ意味が無いわ。」
「話が進まない。零士、自重しろ。」
琥珀さんとかすみさんの声が聞こえて来たので、エ◯ァについての考察は中断する。
「ま、そういう事ならそれはそれで良いだろ。それに暁月も家にいんだろ?美奈だけこの家に住んだら、居候のあいつは居辛くなっちまうだろし。」
俺がそう言った瞬間、何故か美奈は顔を真っ青にした。
どしたん?
「あ・・・お、お姉ちゃんになんて言おう・・・」
「え〜?ノープランだったの?そこ大事なとこなんじゃないの〜?」
「うう・・・八田さん・・・」
「夜夢で良いよ〜ミナ。」
「夜夢ちゃん・・・どーしよ・・・」
「さぁ?」
「ええ〜っ!?酷〜いっ!?」
なんか知らんが夜夢と美奈がじゃれあっている。
うむ。
可愛い妹分二人がじゃれ合ってるのはなんだか見ていて気分が良いな!
もっとやりなさい!
「また阿呆な事考えよる。」
「レイジ?話進めて良い?いい加減、なんで私がこっちに来たのかあなたに説明したいんだけど?気にならないなら別に良いけど。」
「あ、めっちゃ気になる!何がどうなったんだ!?」
呆れたようなミルに向き直る。
そして、聞かされる笑撃の事実。
アホか!
いや、アホだ!!
夫婦喧嘩で世界を渡るのもアホだし、渡らせるあの
あの
適当な事しやがって!!
「と、言うわけで、戻るまでここに住まわせてくれない?」
「・・・俺は別に良いが・・・」
「「「「・・・」」」」
ちらりとみんなの顔色を伺う。
あれ?
ここ、俺の家だよな?
なんで俺、みんなを気にしてるんだ?
そして、なんでみんな無言?
「・・・良いんじゃない?住んで貰おうよ。ちょっと気になる事もあるし。」
ポツリと肯定の言葉が聞こえた。
「舞さん?」
「ん〜・・・なんていうかこう・・・ビビ〜ッって来たのよここに。私、こう言うのは大事だと思うんだよね〜。」
頭を指さしてなにやら唸っている舞さん。
・・・わからん。
天才の考えることはわからん、けど、
「・・・ほぅ。舞が・・・なら、ウチはええよ。」
「ん。夜夢ちゃんもい〜よ。」
「私も居候だから別に気にしないわ。」
「・・・舞、結論が出たら教えて欲しい。私もそれで了承する。」
・・・わからん。
わからんが、何故か女性陣はみんな納得した。
むぅ・・・なんだか疎外感・・・
「あ〜よかった!これで私も安心できます!!」
あ、決まった?
まぁ、確かに、戦友をどこともしれない別の世界で一人で放り出さずに済んで俺もホッとしてはいるんだけどな。
しかし・・・解せぬ。
「あら?ありがとう。で、え〜っと、マイ、で良かったわよね?後でお話しましょう。ミナとの話の後で良いのかしら?」
「うん。それで良いよ〜てことで、零ちゃんはミルっちを色々と案内してあげてて。その間に美奈ちゃんはこっち〜。」
「あ、はい!」
・・・解せぬ。
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