第13話 こっちが聞きたいわ!!
「なぁ斬来!お前暁月さんや会長、それに氷姫や小悪魔と知り合いだったのか!?」
「そうだそうだ!それに氷姫や小悪魔なんて腕組んでたらしいじゃねぇか!どうなってんだよ!!」
・・・あ〜、面倒くせ〜。
ほらな?絶対こうなるって思ってたんだよ。
詰めかけているクラスの男どもを見ながらため息をつく。
あの後、
「お、おはよっす。あの〜、俺、便所行きたいからさっさと校内に入りません?」
とすげぇ格好悪い言い訳をし、ジト目で俺を見る5人から目を逸しつつ、雪羅と夜夢の一瞬の隙をついて腕から抜け出し、逃げるように校舎に逃げ込んだんだ。
隙を作るのは簡単だった。
雪羅や夜夢は精気を吸う生き物だからな。
そこには快楽も伴う。
良質な俺の霊力を一瞬で大量に腕から二人に流し込むと、二人は「ん♡」「はぅ・・・♡」と力が抜けたのでその隙をついたのだ。
なんとか教室まで逃げ込み、一息ついたのだが・・・
「なぁって!斬来!」
「おい!俺の事紹介してくれよ!友達だろ!?」
こうやって囲まれてるってわけだ。
いや、友達ってそりゃ話はするし、たまに飯に誘われたりはするけど、別にどこかに遊びに行ったりはしないし、それって友達なのか?
「お〜い、何を騒いでいる?ホームルームを始めるから席に着け!」
そこへ担任が来たので、なんとか時間ができた。
しかし困った。
こうなる事が分かってたからあいつらと人前で接触しないようにしてたんだが・・・ど〜したもんかねぇ?
なんとか放課までに方法を考えね〜となぁ。
「・・・というわけで新学期も始まっているが、今学期は文化祭もあるし、体育祭も・・・」
担任の言葉を聞き流しながら、俺は睨みつけるような男共の視線を感じつつも頭を働かせるのだった。
「それじゃ一日頑張るように。」
「起立、礼。」
よし、終わったな。
ってなんにも良くねぇ!!
な〜んも考えつかなかったし!!
こうなったら・・・
「斬来!って」
「はやっ!?」
「俺ちょっと用事あるから。」
三十六計逃げるに如かずってね!
授業が終わった直後にすぐに後ろのドアから廊下に出て、急ぎ足でトイレに向かい窓際の個室に駆け込む。
「どこ行った!?」
「わかんねぇ!!」
廊下から俺を探す声が聞こえてくる。
しっかし、マジでどうすっかな〜。
紹介っつってもなぁ・・・
『・・・凍りたいんか?』
『搾られたいの〜?』
・・・あかん。
雪羅と夜夢でちょっと想像しただけでも結果は分かる。
どっちも俺が迷惑を
あ〜くそっ!
なんで俺がこんな目に・・・
『・・・いじ。ちょっと零士!!』
ん?声が聞こえる?
これって・・・
俺は窓を開ける。
そこには、紙・・・というか、霊符が浮いていた。
外国語を使って書かれたソレから聞こえる。
『零士ってば!』
「聞こえてるっての。なんだ暁月?もうちょっと声を絞れよ。居場所がバレちまう。」
俺は小声でそれに答える。
なんだってトイレにまで?
つ〜か、よく分かったなここにいるのが。
『仕方がないでしょ!?なんだか知らないけど、いろんな人があたしのとこに来てそっちに行けないのよ!よくわかんないけど、あんたとの関係を聞きに来るのよね。でも、祓魔師関係の事は言えないじゃない?だから適当に誤魔化してるんだけど。で、今はトイレに逃げてるんだけど、壁の向こうからあんたの気配がしたからこうやってるってわけ。にしても・・・なんなのこれ?鬱陶しくて仕方がないんだけど!?』
いや、それを俺に言われてもな。
お前はもうちょっと自分が目立つ存在だっての自覚した方が良いんじゃね?
あたし美人だから〜?とか言った方がよくね?
・・・んな事言ったら、煽ってんのかってキレそうだけどな。
『なんて言えば良いのかしらね・・・』
「そんなん、別に幼馴染で良いだろ?向こうに引っ越す前に別の県で一緒だったとか。」
『・・・そっか。幼馴染・・・』
「口裏は合わせる。それで良いだろ?」
『そうね・・・って、それは良いとして、押しかけてくるのはどうしたら良いのよ!』
「そんなんこっちが聞きたいわ!!」
なんで俺がキレられなきゃいけね〜んだっての!!
どっちかって〜とお前らのせいだからな!?
「今声気こけなかったか!?」
「どっからだ!?」
あ、やば!?
「おい、俺はまた逃げる・・・つーかもうすぐ授業始まるな。もう終わるぞ?」
『ええ・・・あ、そうだ。お昼一緒に』
「じゃあな!」
『あ、待ちなさい零士!』
あぶねぇ。
こいつと一緒に飯食ってたらこれ終わんねぇんだよなぁ。
絶対に死守しねぇとな。
・・・あ〜、つ、疲れる・・・ようやく昼だ。
毎放課よくまぁ、諦めずにいるもんだ。
なんとか逃げ切っているが・・・
だが、まだ気が抜けん。
昼放課前の授業が終わるにつれて、だんだんと男共から感じるプレッシャーが高まってやがる。
なんとか逃げ切らねぇと。
弁当よし!
あとは、授業が終わった瞬間に・・・
「起立、礼!」
「きり」
俺の名前を聞き切る前に移動を開始する。
唖然とした男共の顔。
逃げきれる!!
よし!後はあのドアから、
「零士さんいますか〜?」
出ようとした瞬間、四之宮が目の前にひょっこりはんしやがった!?
慌てて急停止する。
な!?
なんでここに四之宮がいんの!?
ていうか早すぎねぇか!?
どうなってやがる!?
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