第5話 そんなに問い詰められても・・・(2)

「・・・私は、実は超能力が使えるのよ。」

「「「はっ?」」」


 ま、そうだろうな・・・普通そうなるよなぁ。


「で、さっきあなた達の心を読心で読んだのよ。で、知っちゃったわけね。あなた達の抱える秘密を。」

「「「・・・」」」

「もっとも、九重さんと八田さんは読めなかったのだけど。まぁ、そこの知らんぷりしている斬来くんもそれは同じなのだけどね。」


 まぁ、俺たちはなぁ。

 というより、暁月と四之宮が隙がありすぎるんだよ。


 こいつら平和ボケしすぎだ。

 特に四之宮は。


 舞さんは仕方がない。

 戦闘なんてしない人なんだから。


「勝手に読んだのは謝ります。自分の能力を話したのは、せめてもの誠意と思って。」


 そう言って頭を下げる先輩。

 ・・・しゃーねーな。


「と、言うわけだ。って事で、俺も話しをするならそれぞれの事を話さないとできねぇって事だ。俺から言うより、自分で言った方が・・・」

「零士、ちょっと黙ってて。」


 ・・・え〜?

 今、俺が良いこと言うところじゃねーの!? 


「結城先輩、でしたね?じゃあ、今私が何を考えているのか当ててみて下さい。読んだ事をそのまま言葉にして。」

「・・・ええ、わかったわ。『誠意を受け取りました・・・うそ!?本当に超能力とかあるの!?すっごーい!!なら零士の気持ちも分かるの!?あ、でもさっき読めないって、』」

「あ、あれ!?誠意を受け取りました、で終わりじゃないの!?てゆーか思っている事ってそこまで深く分かるの!?」


 何やら焦っている暁月。

 相変わらず格好つかねぇなこいつ。


「ええ、軽く思っている事も、深く考えた事も分かるわ。ごく稀に読み取りにくい人はいるけど。・・・あなたは素直なのね。」

「〜〜〜〜っ!!!!」


 お〜お〜、真っ赤になっちゃってまぁ。

 ん?でもキリッとしたぞ?


「・・・分かったわ。じゃあ、私もきちんと言うわね。私はエクソシストなのよ。こちらで言う祓魔師ってやつね。悪霊を祓ったり妖魔を倒したりするのよ。」

「え!?お姉ちゃんそんな事をしていたの!?」


 そんな暁月の言葉に、四之宮は驚いている。

 

「そうなのよ。あなたには祓魔が出来るほどの能力がなかったから、お父さんとお母さんが離婚した時に、一般人だったお母さんに引き取られたのよ。」

「そうだったんだ・・・」


 ああ、これで確定したな。

 この二人は血を分けた姉妹だ。

 

 名字が違うし、暁月の幼馴染の俺が知らなかったのも頷ける。

 まぁ、そう言う四之宮も、なぁ。


「あ、私は暁月ちゃんと違って祓魔はできないよ〜?私は霊具師だから、その為の道具なんかを作るだけの人。霊具師のキリヤって言ったら、多少は有名、くらいかな〜?」

「え!?霊具師のキリヤ!?極東の天才霊具師のキリヤ!?すっごい有名人じゃないですか!?」

「いやいや、”若き天才美少女エクソシスト”マナ・アカツキには負けるでしょ〜。」

「いやいや。」

「いやいやいや。」


 あ〜、二人共そんな有名だったのか。

 俺、面倒くさくて全然情報収集とかしてないから知らんかったわ。


「・・・やっぱり本当だったのね。という事は四之宮さんも・・・」

「・・・お姉ちゃん、そうだったんだ・・・うん、じゃ、じゃあ私も・・・」


 何やら信じられないって顔している先輩と、気合を入れている四之宮。

 

「あ、あの!実は私も・・・隠している事があります!」


 そんな四之宮の言葉でみんなの視線が集まる。

 そして意を決した四之宮が口を開いた。


「じ、実は私は異世界で大魔法使いって呼ばれていました!!」

「・・・大魔法使い・・・魔法使い!?」

「い、異世界?へぇ〜・・・」


 それを聞いた暁月と舞さんは唖然とする。


「信じていませんね!?じゃあ・・・『水球ウォーターボール』!!」

「「「!?」」」

 四之宮が無詠唱で魔法を使い、バレーボール位の水の玉を生み出し、虚空に浮かべる。

 ・・・ていうか、家の中ではやめてほしいんだけど?


「・・・ほんとだ。」

「・・・へぇ。確かに水だね。」

「この目で見ても・・・何故浮いているのかしら?」


 まじまじと水球に近づき、触ったりしている暁月と舞さん、そして先輩。


 雪羅と夜夢は特に変わりは無い。


「こ、これが私の抱えている秘密です。・・・あの、そちらのお二人は・・・?」


 俺の許可を取り四之宮が窓を開け、水球を庭にぶちまける。

 

 そして続く言葉に、全員の視線が雪羅と夜夢に向く。

 そうなるよなぁ。


「・・・あ〜、二人共、どうする?」

「ウチは、主様のご指示通りに。」

「あはは、夜夢ちゃんもそれで良いよ〜?ていうか〜、そこの大魔法使いちゃんは夜夢ちゃんと会った事あるんだけどね〜?」

「え!?八田さんと!?で、でも・・・」

「まぁ、夜夢ちゃん、あの頃は今と違ってもっと痩せポッチだったからね〜。格好も今と違うし・・・えいっ!」


 PON!!!


 あ、こいつ変化解きやがった!!


「そ、その姿は・・・まさかサキュバス!?あ!?あの時零士さんと居た子供サキュバス!?」

「あったり〜!!」


 今の夜夢には頭部から角が二本生えていて、背中からはコウモリのような羽が生えている。

 格好はメイド服からボンテージ・・・それも、際どい、いや、際どすぎて色々とコンニチワしちゃいそうなボンテージを着込んでいる。


「なんでこっちに!?」

「えっへっへ♡ご主人様が〜、忘れられなくて〜?」


 あ!?こ、こいつ!?


「どういう事ですか零士さん!!」

「あ、いや、その・・・雪羅!お前も正体を現したらどうだ!?」


 と、とりあえず誤魔化そう!!


「・・・はぁ、仕方がないですね。・・・ほら、これがウチの本性ですよ。」


 BON!!!


「・・・スノウウーマン・・・雪女!?それもこんな巨大な力を持った・・・全然、気が付かなかった・・・」

「まぁ、ウチの隠蔽は完璧ですからね。主様位の力がなければ気が付かないでしょう。」


 メイド服から白装束の浴衣のような物を纏った雪羅を見て、暁月達は息を飲む。


「・・・どうやってこれほどまで巨大な力を・・・」

「ウチは雪女の女王になりましたし、これほど強くなれたのは主様の精気を頂いて」

「「「「は?」」」」

 

 あ、こいつ!!

 悪そうな顔してしれっと言いやがった!!


 お前、女はそう言う話し聞くの嫌うんじゃねぇのかよ!!


 ほら〜!

 暁月と四之宮、先輩と舞さんのこめかみに血管が浮いてんじゃん!


「・・・零士?」

「話して」

「くれるわよね?」

「零ちゃ〜ん?どういう事かなぁ?お姉ちゃん、ちょっと聞き捨てならないかも〜。」

「ひっ!?な、なんでそんなに怒ってるんだ!?」


 圧が強い!!

 なんでそんなにキレてるんだよ!!


「「「「きりきり吐け」」」」

「イエス!マム!!」


 くっ!仕方ねぇ!!

 時系列で話せば良いか。


 俺がどうやって生きて来たかを。

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