第31話 なんでそうなるんすか!?
「いやいやいや、なんでそうなるんすか!?」
「そうや!ふざけた事抜かすな!!」
「う〜ん?どうしてそうなるの??」
俺も雪羅も夜夢も疑問を直接ぶつける。
そりゃそうだろ?
なんだって隠岐先生が?
「うんうん、そりゃ疑問に思うよねぇ〜。でも〜、ちゃ〜んと理由があるんだよ〜?」
へぇ?
いったいなんだっての?
「一つは、この家の防備を更に万全にするためだよ〜?さっき隠岐ちゃんから聞いたけど、隠岐ちゃんって忍者なんだってねぇ?忍者特有の防御術もあるんだってさ〜。霊や妖魔からの防御は零ちゃんや雪羅ちゃん、夜夢ちゃんがいるから大丈夫だろうけど、他の色々からは心配もあるでしょ〜?」
他の色々・・・?
「例えば〜、単純なところで泥棒かな〜?他には〜、ストーカーとか商売敵とか〜、後は権力?」
権力?
「零ちゃん、とんでもない力を持ってるんでしょ〜?零ちゃん本人は負けないとしても、人質とか取られたり、脅迫されるかもしれないじゃん?」
・・・ふむ。
たしかにな。
一応、俺は面倒事を躱すため・・・というか、始めた当初に年齢的な事も考え、偽名を使って正体を隠してやっていた。
知っているのは、俺に最初に仕事をくれたおっさんだけで、その後はそのおっさんの助言でそういう風にしたんだよな。
あのおっさん、解決した俺にすっげぇ感謝をしてくれて、正体を隠したままでも仕事を斡旋してくれたり、無茶苦茶な事を言い出す依頼者からの依頼を断ってくれたりと気にかけてくれている。
そこそこ権力も持っているらしく、他の権力者からも守ってくれているらしい。
本当にありがてぇこってすなぁ。
ちなみに、このおっさんが俺を利用しているという事はない。
一時期は疑っていたが、夜夢がこっちに来てから調査をしてくれたところ、本当に善意だったと判明したからな。
むしろ、無理矢理俺を支配下に置こうとする権力者連中から守るため、色々と便宜を測ったり、場合によってはその権力者に圧力かけたりしてくれていたのだ。
あのおっさん、オトコマエだよな〜。
良い人にめぐりあったもんだぜ。
まぁ、それはそれとして、だ。
つ〜わけで、俺がしたことを知っている祓魔師であれば、俺を敵に回すリスクを考えてやらないだろうが、名をあげたいヤツやそういった権力者から依頼されたヤツが俺を狙わないとは限らない。
なにせ、何も知らなければ、その辺にいる高校生の祓魔師だからな。
それに、雪羅と夜夢が妖魔だってのも分かるやつにはわかる。
普段、力を抑えているから余計に弱い妖魔だって狙われかねない。
まぁ、そんな奴らは雪羅達に敵うわけがないだろうが、それはそれで面倒事に発展する可能性がある。
”人を狙う妖魔だ”とか悪意のある嘘を言いふらされたりとかな。
それに、舞さんもここに住むとなると、舞さんを狙われる可能性もあるし。
舞さんは武力的な意味では無力だからなぁ。
護身術程度はできるって言ってたけど、微々たるものだろうしな。
一般人の男程度なら大丈夫だろうけど、専門家だと厳しいって話だし。
俺たちの誰かがいればいいんだろうが、いつもいつも張り付いていられねぇしな。
学校とかあるし。
隠岐せんせがいてもそこは変わらねぇだろうが、それでも安全性は上乗せできる、か。
「そもそも、隠岐ちゃんって一人暮らししてるんだってさ〜。それに、忍びの里を抜けてからは追手なんかからの命の危険性もあるし、それにそんな状況での一人って寂しくない?」
・・・ああ、そっか。
隠岐せんせはそんな状態だったのか。
そりゃ、一人は寂しいよなぁ・・・俺もよく知ってるし。
「せやけど舞、だからって、」
「雪羅ちゃん、夜夢ちゃん、ちょっとこっちへ。零ちゃんはコレ。」
俺が納得しかけているからか、雪羅が噛み付いたが、そこは舞さんが待ったをかけ、そして、俺に例のヘッドホンを渡してきた。
なんだよ、また内緒の話か?
まぁ、良いけど。
ん?
もう良いのか?
外せってジェスチャーしてるけど。
「主様、隠岐先生を住まわせるのにウチはもう反対しません。」
「うん、夜夢ちゃんも良いよ〜。」
おお?
いったい、何を話したんだ舞さんは?
またしてもこの二人を納得させるとはな〜。
すげぇぜ!!
「隠岐せんせはそれで良いのか?」
「斬来が良ければそうして欲しい。」
「そっか。じゃぁ、よろしく。いつから来る?」
「元々、いつでも逃げられるように荷物はそれほどない。今日は帰宅し準備を進め、明日にでも家に来て欲しい。斬来の技能を借りたい。そうすれば、明日からここに来れる。」
技能?
ああ、スキルか。
アイテムストレージの事だな?
まぁ、別に良いか。
「良いっすよ。」
「じゃあ頼む。桐谷、世話になった。」
「良いの良いの!隠岐ちゃんとの仲でしょ〜?」
おお・・・流石は舞さんだぜ。
あの隠岐せんせと完全に打ち解けてんな。
それにしてもこれでこの家に住むのは五人か〜。
にぎやかになりそうだな!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます