第40話 くくく・・・完璧だ!!

 ネチネチと暁月と四之宮に文句を言われながらも、先輩を家に住まわせる事になった。

 まぁ、実際こんな事があったばっかりだからなぁ。


 先輩もそりゃ人寂しくもなるだろうし心細かろう。


 それに、一人はやっぱ寂しいだろうしな。


 幸い、雪羅も夜夢もなんにも言ってこねぇし、かすみさんも特に文句はなさそうだ。


 後は舞さんだけだが・・・


「ん〜?良いんじゃないの〜?」


 ほら、こんなんだし。

 

 帰宅して夕食時に提案してみたら、特に反対も無く了承してくれた。


 これで問題はねぇな。

 それに、実は俺が先輩の住み込みを了承した経緯にはある隠している事がある。


 ふっふっふ!

 それはだな?


 先輩が住むようになれば、こいつらが俺の寝室に来る頻度が減るんじゃねぇかってこったな!


 いや、別にするのは嫌じゃねぇよ?

 気持ち良いのは確かだし、スッキリもするし。


 なんだか、最近はしてから寝ると、本当に深く寝られるしな。


 それは雪羅でも夜夢でも舞さんでもかすみさんでも同じだ。

 やっぱ、かすみさんの時に感じたのは気の所為ではなかったらしい。


 一体、なんでこうなったのかよくわかんねぇんだけど、あの泣いて・・・ん”ん”!!


 目から汗が流れてから、不思議とくっついて寝ると深く眠れるようになったみたいなんだなこれが。


 なんだか、不思議ではあるんだが、別に俺に悪い事があるわけでもねぇ。

 

 むしろ、疲れが取れて・・・いや、これは身体の疲れってよりか心の疲れってのかねぇ?

 そういうのが取れて、清々しいって感じ?


 だからするのは良い。

 するのは良いんだが・・・なんであんなにするの?

 

 もうちょっと回数減らさない?


 いや、むしろ、しなくてもいい日もあると良い、と俺は思うんだ。

 一緒に布団に入って寝る、だけでも良いと思う。


 だから、先輩の同居はむしろ、チャンスなんだ!


 くくく・・・完璧だ!!


 先輩が住み始めるのは今週末って決まった。


 引っ越しはみんなで手伝ってくれるらしい。

 もっとも、俺のアイテムストレージで持ち運びするから、荷造りだけしてもらえばすぐに終わる。


 部屋はまだ余っているし掃除は週末までにすれば良いしな。


 いや〜待ち遠しいぜ!


 








side夜夢


「んで?レージはどう考えてると思う〜?」

「決まっとるやろ。結城が住むからウチらの夜の相手せんでもええっと思っとるんとちゃう?」

「甘いよねぇ〜零ちゃんも。そんなわけないのにねぇ〜。」

「仕方がない。主はそういうとこ単純。」


 今、レージがお風呂に入っているんだけど、その間にみんなでガールズトーク中なんだ〜。


 それにしても、


「よく雪羅っち納得したねぇ?」


 そう言って雪羅っちを見ると、雪羅っちは苦虫を噛み潰したような顔をした。


「・・・しゃーないやろ。実際、零士は変わってきよる。舞の仮説が当たっとるって証拠やないか。ウチは零士のためならなんだって受け入れるわ。」


 だよねぇ〜。

 それは夜夢ちゃんも同じだし。


 それにしてもすっごいねぇ舞っちは!

 あったま良いんだねぇ。


「ふっふっふ!それだけじゃないよ?結城ちゃんはと〜っても優秀だから、将来的にも唾つけといた方が良いんだよ〜?どんな未来を迎えるにしろ、できることが多い人は多いに越した事が無いしさ〜?」


 舞っちがドヤ顔でそう言う。


「・・・マイ。実際の所、この先どうなると思う?」


 かすみっちがそう言うと、舞っちはすこし考えこんだ。

 そして、


「そうだねぇ・・・まず、順風満帆とは行かないだろうねぇ〜。今回は結城ちゃんが狙われたけど、私も、雪羅ちゃんと夜夢ちゃんも、そしてかすみちゃんも狙われる可能性は充分にある。それに、零ちゃんだってそれは同じだしさ?後・・・暁月ちゃんと四之宮ちゃんもどうだろうねぇ・・・結局のところ、私達は固まって将来を生きるのが一番安全かつ幸せな気がするんだよ。それに、」


 舞っちはそこで言葉を切った。


「零ちゃんを治すのには多分、結城ちゃんだけじゃまだ足りないと思う。零ちゃんはかなり良くなって来てはいる。でも、私が思うに、最後の最後に決め手になるのは多分・・・」


 いつものふんわりした雰囲気が無くなり、真顔で虚空を見上げながら呟く舞っち。

 たまに、舞っちってこうなるね。


 人によっては、怖がるかもしれないなぁ。

 ま、夜夢ちゃんには関係ないけど。


 だって舞っちは舞っちだもん。

 おそらく、雪羅っちも同じように考えていると思う。


 かすみっちもそうなるだろうね〜。


 だってそうでしょ?


 どんな舞っちだって、一番大事に想っているのはレージの事、それだけは変わんないんだから。


「は〜〜〜〜!いい湯だったぜ!おっ先〜〜〜!」


 あ、レージが出てきた。


「じゃ〜次も〜らいっと!レージ!待っててね〜?寝てたら・・・能力使うから♡」


 今日は夜夢ちゃんの日だもんね! 

 頑張っちゃうよ!!


「ね、寝ねぇよ!?だってお前、能力ってあれだろ?夢に入ってくるヤツ!!あれやられると夜が引き伸ばされる感じがするし、いつまで立っても終わんねぇんだ!!だからぜってー寝ねぇ!!」


 にっしっし♡

 レージったらぶるぶる震えちゃって♡


 誘ってる?


 早くお風呂出てがんばっちゃおーっと!!

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